4. 退職金からNISAと生活費の不足額を同時に出すと?毎年360万円を入れると、3年目の終わりに預金は約390.2万円になる

仮に、退職一時金の平均1623万円から、毎年NISAに360万円を入れ、同時に生活費の不足額の年約50.9万円も出していく場合を試算すると、次のとおりです。

  • 【1年目】NISAの累計360万円、預金は約1212.1万円
  • 【2年目】NISAの累計720万円、預金は約801.2万円
  • 【3年目】NISAの累計1080万円、預金は約390.2万円

4年目に360万円を入れると、預金は約30.2万円になり、その年の生活費の不足額の約50.9万円に約20.7万円足りません。足りない分をNISAの商品を売って出すことになり、取り崩しの時期と値動きが重なる形になります。

生活費の不足額の分を先に預金として分けておくと、NISAに回せる額と年数は次のように変わります。

  • 【不足額5年分の約254.6万円を分ける】NISAに回せるのは約1368.4万円で、入れきるまで4年
  • 【不足額10年分の約509.2万円を分ける】NISAに回せるのは約1113.8万円で、入れきるまで4年(4年目は約33.8万円)

※試算の前提:退職金を受け取った年から、家計調査の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の不足額が続くものとします。預金の利息、NISAの値動き、退職金にかかる税金は考えていません。

5. 退職金をNISAに入れたあと取り崩すときは?売った分は翌年以降に簿価の分だけ枠が戻り、夫婦の枠はそれぞれの名義で使う

金融庁「NISAを知る」によると、NISAで商品を売った場合、翌年以降に、売った商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活します。年間投資枠と非課税保有限度額は、時価ではなく簿価をもとに計算されます。

仮に、NISAの商品が買ったときの1.2倍に値上がりしている時期に、生活費の不足額の年約50.9万円分を売った場合は次のとおりです。

  • 【売った額】約50.9万円
  • 【翌年以降に戻る枠】約42.4万円(買ったときの金額の分)

ただし、売った分の枠が戻るのは翌年以降です。売った年に買える額は、その年の年間投資枠360万円の残りの範囲になります。

NISAの口座は1人1口座なので、夫婦それぞれが口座を持てば、年間投資枠は世帯で年720万円になります。

ただし、国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」は、生活費の名目で受け取ったお金でも、預金や株式などの買入資金に充てた場合は贈与税がかかるとしています。退職金を配偶者の名義のNISAに入れるときは、国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」の基礎控除110万円とあわせて確かめることができます。