セルフレジで会計を済ませたあと、スキャン忘れに気づいて、これは万引きになるのかと不安になる方もいるかもしれません。セルフレジのスキャン忘れと万引きの違いは、刑法の窃盗罪と故意の条文から読み取れます。
保険の手続きに携わっていた頃から、記入漏れや確認漏れは、急いでいるときほど起こりやすいと感じてきました。ここでは、刑法の条文で窃盗罪と故意がどう定められているかを、警察庁の犯罪統計で万引きの認知件数とあわせて整理します。
あわせて、スキャン忘れに気づいたときの申し出方と、会計のときにレシートなどで確かめる方法を、選択肢として並べます。
※条文は、e-Gov法令検索「刑法」(明治40年法律第45号)によります。万引きの認知件数は、警察庁「犯罪統計資料(令和7年1~12月分【確定値】)」と、法務省「犯罪白書」(令和6年版・令和7年版)をもとにしています。
1. セルフレジのスキャン忘れは万引きになる?窃盗罪の分かれ目は「故意」で、刑法38条は罪を犯す意思がない行為は罰しないと定める
セルフレジのスキャン忘れが万引きにあたるかを考えるとき、もとになるのは刑法の2つの条文です。万引きは、刑法では窃盗罪にあたる行為で、窃盗罪の刑は次のように定められています。
- 【刑法235条(窃盗)】他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処する
- 【刑法38条1項(故意)】罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない
- 【拘禁刑】懲役と禁錮に代わって創設された刑で、2025年6月1日に導入された
刑法38条の定めから、セルフレジのスキャン忘れでは、代金を払わずに商品を持ち帰る意思、つまり故意があったかどうかが、判断の分かれ目の一つになります。
ただし、故意があったかどうかは、本人の「うっかりしていた」という説明だけで決まるものではありません。それぞれの事案で窃盗罪にあたるかどうかは、そのときの状況をもとに、警察や検察、裁判所が判断することになります。