「地方移住には興味があるけれど、年収やこれまでのキャリアを犠牲にしたくない」そう悩む30〜40代のビジネスパーソンは少なくありません。しかし今、都会の仕事を100%諦める必要のない「ハイブリッド移住」という選択肢が現実味を帯びています。その視点で注目を集めるのが、長野県茅野市。

新宿から特急「あずさ」で最短約2時間という抜群の立地に加え、雄大な八ヶ岳の自然、都市部並みに整った生活インフラ、手厚い移住支援制度が揃っています。都心で採用・人事を担当し自らも二拠点生活を実践する筆者の視点から、キャリアを維持しながらQOLを最大化できる茅野市の魅力と、失敗しない移住設計のポイントを解説します。

1. キャリアを捨てない「ハイブリッド移住」が成立する、特急2時間の距離感

車山ニッコウキスゲ1/5

車山ニッコウキスゲ

出所:茅野市

地方移住を検討する30〜40代の多くが直面するのが、「地方へ行くと仕事の選択肢や年収が下がるのではないか」というキャリア面の不安です。フルリモートワークが普及したとはいえ、週に1〜2日の出社や対面での商談、人脈形成のために都心との接点は確保しておきたいのが現実的な本音でしょう。

茅野市はその懸念をクリアする絶妙な地理的条件を備えています。中心駅であるJR茅野駅には特急「あずさ」が全列車停車し、新宿駅まで乗り換えなしで最短約2時間。中央自動車道の諏訪IC・諏訪南ICも生活圏内にあり、マイカーでの移動もスムーズです。

この立地だからこそ、完全な定住だけでなく、都心の雇用関係や事業を維持したまま生活拠点を移す「リモートワーク移住」や「二地域居住(デュアルライフ)」が無理なく機能します。平日朝に茅野を出て都内で午前中の会議に出席し、夕方には八ヶ岳山麓の静かな自宅へ戻るといった生活リズムが十分成り立ちます。

私自身、都心のIT企業等で長年採用・人事を担当し、2025年に三浦半島へ移住して都心と地域を行き来する働き方を実践しています。その経験から見ても、「大都市との移動コストの低さ」は、移住後のキャリア継続と精神的ゆとりを担保する極めて重要な要素だと実感しています。

2. 不便を我慢しない田舎暮らし—八ヶ岳ブルーの絶景と整った生活インフラ

「大自然に囲まれたいけれど、買い物や通院に片道1時間かかるような生活は現実的ではない」と考える方にとって、茅野市の住環境は非常に魅力的です。

2.1 標高がもたらす爽快な気候と「八ヶ岳ブルー」

年間を通じて晴天率が高く、湿度が低い爽やかな気候が特徴です。どこまでも抜けるような青空は「八ヶ岳ブルー」と呼ばれ、冬場でも日照時間が長く明るい環境が保たれます。休日の朝にふらりと八ヶ岳や車山へトレイルに出かけたり、蓼科湖周辺を散策したりするライフスタイルが、移動の負担なく日常の一部になります。

八ヶ岳2/5

八ヶ岳

出所:茅野市

2.2 高原リゾートでありながら都市機能が凝縮

茅野市は観光・別荘地としての顔を持つ一方で、諏訪地域の生活拠点でもあります。幹線道路沿いには大型スーパーやドラッグストア、飲食店が揃い、地域医療を支える総合病院も所在しています。日用品の調達や子どもの急な発熱など、日常生活の安全面が整っているため、過疎地特有の不便さに悩まされるリスクが極めて低い点が魅力です。

2.3 「外からの人」を受け入れてきた歴史と適度な距離感

古くから別荘文化が根付いている地域であるため、移住者や二地域居住者に対する住民の受容度が高いのも大きな特徴です。田舎特有の濃密すぎる人間関係に縛られることなく、都市部のような適度なプライベートの距離感を保ちながらコミュニティに参加できます。

3. 初期投資と住まい探しのリスクを下げる!茅野市の手厚い支援制度

住居の確保や初期投資の圧縮は、堅実な資金計画を立てる上で避けて通れません。茅野市では行政・地元商工会議所・宅建業者が三位一体となった「田舎暮らし楽園信州ちの協議会」を組織し、きめ細やかな制度を用意しています。

茅野市の住まい・移住に関する主な支援制度3/5

茅野市の住まい・移住に関する主な支援制度

茅野市公式ホームページの情報を元に編集部で作成

特に注目すべきは、ネット上に出回りにくい優良物件のリアルや冬の寒さ対策について、プロから直接アドバイスを受けられる「ちのくらし物件見学ツアー」や「移住体験住宅」の存在です。感覚や勢いだけに頼らず、データと実体験に基づいて意思決定できる仕組みが整っています。

物件見学ツアー4/5

物件見学ツアー

出所:茅野市

移住体験住宅5/5

移住体験住宅

出所:茅野市

4. 都心の仕事を続けながら地元連携も広がる、柔軟なキャリア設計

キャリアを途切れさせないための支援体制も、人事視点で見逃せないポイントです。

4.1  企業の「働くリアル」を可視化する情報発信

ポータルサイト「八ヶ岳ちのくらし」では、市内企業の求人票だけでなく、職場の雰囲気や働く人々の声を詳細にレポートしています。都内でのキャリアセミナー開催など、転職移住を考える方へ向けた情報提供も精力的に行われています。

4.2 市が公式に推進する「二地域居住」の後押し

茅野市は「特定居住促進計画」を策定し、完全定住にとどまらず、都市部に軸足を置きながら週末や季節単位で滞在する二地域居住を制度面から推進しています。テレワーク拠点やコワーキングスペースの活用が進んでおり、現在の会社に所属したまま「週末拠点」「ワーケーション拠点」としてスモールスタートを切ることが可能です。

柳 奈央子

人事の視点からも、茅野市のように『特急2時間という距離の近さ』と『都市機能の充実』を併せ持ち、二地域居住を公的に歓迎している自治体は非常に合理的だと感じます。

これまでのキャリアや収入基盤を犠牲にすることなく、暮らしの幸福度を底上げできる選択肢です。

5. 子育て環境のゆとりと、大人の趣味を深める豊かな日常

生活の舞台を高冷地へ移すことで得られるQOLの向上は、日々の時間配分に現れます。
子育て世帯にとっては、八ヶ岳の豊かな自然そのものが日常の遊び場になります。駅前には中高生が自主的な活動を行える「CHUKOらんどチノチノ」が整備されているなど、子どもの成長段階に合わせた居場所づくりも進んでいます。

大人にとっても、登山、キャンプ、スキー、温泉巡りといった本格的なアウトドアが「週末の遠征」ではなく「日々の日常」へと変わります。満員電車に揺られる通勤時間をゼロにし、早朝の澄んだ空気の中でランニングをしてからデスクに向かう――そうした時間の使い方が、心身の健康と仕事のパフォーマンスを大きく底上げしてくれます。

人事として多くのビジネスパーソンのキャリア相談に乗ってきた経験からも、2025年に自然豊かな環境へ移住したことで生まれた「思考の余白」は、次の挑戦に向けた大きなエネルギーになると実感しています。

6. 著者のひとこと

柳 奈央子

長野県茅野市は、大自然の心地よさを享受しながら、都心のキャリア・利便性・生活インフラを諦めずに済む、30〜40代の現実派にとって極めてバランスの取れた選択肢です。

・新宿から特急で約2時間の優れたアクセス性
・東京圏からの移住支援金(最大20万円超+子育て加算)
・失敗を防ぐ「物件見学ツアー」や「移住体験住宅」
・スーパーや総合病院が揃う、不便のない生活インフラ

「今の仕事を続けながら、もっと豊かな環境で暮らしたい」と考えている方は、まず公式ポータルサイト「八ヶ岳ちのくらし」や公式インスタグラムをチェックし、オンライン相談や現地見学ツアーへ参加してみてはいかがでしょうか。

都会でのキャリアを活かしたまま、八ヶ岳の麓でQOLを最大化する新しい生活設計を組み立ててみてください。

※この記事は2026年11月現在の情報です。

参考資料

柳 奈央子