3. 孫の教育費が遺産分割で特別受益と認められたら?遺産3000万円なら弟に戻るのは約243万円
仮に、兄の子2人の学費約485万円が、実質的に兄への贈与と見られて特別受益にあたるとします。この場合、遺産3000万円に約485万円を足した約3485万円を相続財産とみなし、兄弟2人で半分ずつに分けたうえで、兄の取り分から約485万円を差し引きます。
- 【特別受益にあたらない場合】兄約1500万円、弟約1500万円
- 【特別受益にあたる場合】兄約1257万円、弟約1743万円
- 【弟の取り分の増え方】約243万円(援助した約485万円の半分)
※試算の前提:遺産は3000万円、相続人は兄弟2人で法定相続分は2分の1ずつとしています。孫2人の学費は、国立大学の標準額で入学料と4年分の授業料を合わせた1人約242.5万円、2人で約485万円とし、遺言はなく、寄与分などほかの事情はないものとしています。
孫の教育費約485万円が特別受益にあたるかどうかで変わる兄弟2人の取り分1/1
出所:e-Gov法令検索「民法」、e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」、文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」をもとにLIMO編集部作成
特別受益と認められても、援助した全額が弟に移るわけではありません。差し引いた分も兄弟2人で分け合うため、弟の取り分の増え方は援助額の半分になります。
4. 孫の教育費を特別受益として扱わない意思があれば?父の意思が示されていれば、その意思に従う
孫の教育費が特別受益にあたる場合でも、差し引かずに済むことがあります。民法第903条第3項は、被相続人が差し引きのルールと異なる意思を表示したときは、その意思に従うと定めています。
- 【意思が示されている場合】遺言などで、学費を相続分から差し引かない意思が示されていれば、その意思に従う
- 【意思が分からない場合】学費が扶養の範囲かどうか、実質的に誰への贈与かなどを、話し合いや家庭裁判所の手続きで判断する
父が生前に「教育費は遺産とは別」と考えていたとしても、それが遺言などで確認できるかどうかで、話し合いの進み方は変わります。
5. 孫が私立大学だったら?援助は約823万円、弟に戻るのは約411万円
学費の額が大きいほど、特別受益と認められたときの差も大きくなります。文部科学省の調査によると、令和7年度入学者の私立大学の平均は、入学料24万365円、授業料96万8069円です。
- 【孫2人の学費】1人約411万円、2人で約823万円
- 【特別受益にあたる場合】兄約1089万円、弟約1911万円
- 【弟の取り分の増え方】約411万円(援助した約823万円の半分)
※試算の前提:私立大学の入学料と4年分の授業料の平均額を使い、施設設備費は含めていません。遺産3000万円、相続人は兄弟2人で、ほかの事情はないものとしています。