6. 【行政取材の視点】検証:実家の解体は「いつ」と「誰が」で税金が変わる
試算から見えるのは、実家の解体で税金を左右するのは解体するかどうかより、解体の時期と、解体するのが売主か買主かだという点です。
固定資産税は1月1日の状態で決まるため、同じ解体でも12月と1月では翌年の税額が変わります。解体の時期を決めるときは、工事の日程だけでなく1月1日をまたぐかどうかも確かめておきたいところです。
行政の窓口を取材していると、制度ごとに担当が分かれている点が気になります。固定資産税は市区町村の税務の担当、3000万円控除に必要な「被相続人居住用家屋等確認書」は市区町村の空き家の担当、確定申告は税務署です。
また、自治体によっては、住宅を取り壊したあとの土地の固定資産税を一定期間減額する制度を設けているところもあります。解体を決める前に、実家のある市区町村の制度を調べておくと選択肢が広がります。
「更地のほうが売れる」という話は、売りやすさの話としては一理あります。ただ、税金の面では、控除の要件と1月1日のタイミングを先に押さえ、そのうえで解体の時期と方法を決める流れが確かだと考えます。
7. まとめ
実家を解体して更地で1月1日を迎えると、土地の評価額約1000万円の場合、固定資産税は上限で計算して年約7万5000円増えます。一方、空き家の3000万円控除を使えるかどうかで、売却時の税金は約276万円変わる計算です。
2024年からは、家が建ったまま売り、買主が翌年2月15日までに解体する形でも控除の対象になり得ます。解体の時期と方法は、控除の要件と市区町村の制度を確かめてから決めるとよいでしょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。固定資産税の額は市区町村、譲渡所得の特例の適用は個別の状況によって異なります。実際の手続きは、お住まいの市区町村や税務署、税理士などの専門家でご確認ください。
参考資料
- 総務省「固定資産税の概要」
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円特別控除)」
- 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」
齊藤 慧