親が住んでいた実家を相続し、売却を考えはじめると「解体して更地にしたほうが売れやすい」という話を耳にすることがあります。ただ、実家の解体は費用がかかるだけでなく、固定資産税や空き家の3000万円控除にも関わります。

行政の窓口を取材してきた経験からお伝えすると、税金の扱いは「いつ解体するか」で変わることが見落とされがちです。ここでは、解体を決める前に知っておきたい税金の数字を整理します。

土地の固定資産税評価額を約1000万円とし、1月1日に家が建っている場合と更地の場合の固定資産税の差と、空き家の3000万円控除を使えるかどうかで変わる売却時の税金を試算します。

※固定資産税の住宅用地の特例(課税標準が6分の1)と標準税率1.4%は、総務省「固定資産税の概要」によります。空き家の3000万円控除の要件は、国税庁 タックスアンサー No.3306によります。

1. 実家を解体すると固定資産税はどう変わる?1月1日に更地なら年最大約7万5000円増える計算

実家を解体すると、固定資産税は1月1日時点の状態で決まります。家が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、200平方メートル以下の部分は税額を計算するもとになる額(課税標準)が評価額の6分の1になります。

解体して更地のまま1月1日を迎えると、この特例が外れます。住宅用地以外の宅地は、課税標準が評価額の70%を上限に計算されるため、税額は大きく上がります。

  • 【家が建っている場合】約1000万円×6分の1×1.4%=約2万3000円
  • 【更地の場合(上限で計算)】約1000万円×70%×1.4%=約9万8000円
  • 【差】年約7万5000円(約4.2倍)

※試算の前提:土地の固定資産税評価額約1000万円、面積200平方メートル以下、標準税率1.4%。建物分の固定資産税と都市計画税は含めていません。更地の課税標準は上限の評価額の70%で計算しており、実際は市区町村の負担調整などにより増え方が小さくなる場合があります。

例)土地の評価額約1000万円の場合 1月1日の状態で変わる実家の土地の固定資産税(年額)1/1

土地の評価額約1000万円で、1月1日に家が建っている場合の固定資産税は約2万3000円、更地の場合は上限で約9万8000円となり、差は年約7万5000円

出所:総務省「固定資産税の概要」をもとにLIMO編集部作成

2. 実家の解体後、売れるまでの期間で固定資産税はいくら?1月1日を2回迎えると約15万円

実家の解体後に固定資産税がいくら増えるかは、売れるまでの期間の長さよりも、更地のまま1月1日を何回迎えるかで決まります。

  • 【半年で売れた場合】1月1日をまたがなければ増加なし、またげば約7万5000円
  • 【1年で売れた場合】1月1日を1回迎えて約7万5000円
  • 【2年で売れた場合】1月1日を2回迎えて約15万円

※試算の前提:上の試算と同じ条件で、1月1日を更地で迎えるごとに年約7万5000円増えるとして計算。

たとえば12月に解体すると、すぐ翌年の1月1日に更地と判定されます。年明けに解体すれば、その年の固定資産税は住宅用地の特例のまま計算されます。