総務省統計局は2026年5月19日、家計調査報告(貯蓄・負債編)の2025年(令和7年)平均結果を公表しました。二人以上の世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2059万円で、比較可能な2002年以降で最も高い水準となりました。
老後の暮らしを年金でまかなう世帯にとって、手元にどれくらいの蓄えがあるかは気になるところです。ただ、世帯全体の平均額だけでは自分の家計と重ねにくい面もあります。
この記事では、世帯主が65歳以上の無職世帯にしぼって、貯蓄と負債がいくらなのか、そして年間収入の多い世帯と少ない世帯でどこまで開きがあるのかを確認します。記事後半では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の毎月の家計収支と、公的年金の平均月額も確かめます。
1. 家計調査(貯蓄・負債編)で二人以上の世帯の貯蓄は2059万円になった
まず、二人以上の世帯全体の姿から確認します。家計調査の貯蓄現在高は、負債を差し引く前の金額です。
1.1 貯蓄現在高2059万円に対して負債現在高は675万円
2025年平均の貯蓄現在高は2059万円で、前年より75万円(3.8%)増えました。増加は7年連続です。
一方の負債現在高は675万円で、前年より12万円(1.8%)増えています。こちらも4年連続の増加で、2002年以降で最も高くなりました。
貯蓄から負債を差し引いた差額は1384万円です。負債675万円のうち620万円は、住宅・土地のための負債が占めています。
1.2 中央値は1264万円で、平均を下回る世帯が66.1%
貯蓄現在高の分布は、金額の大きい世帯に引っ張られて平均が押し上げられる形になっています。
貯蓄保有世帯の中央値は1264万円でした。二人以上の世帯のうち、平均値である2059万円を下回る世帯は66.1%と、およそ3分の2にのぼります。
二人以上の世帯の貯蓄現在高・負債現在高と、その差額を並べた図です1/2
出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にLIMO編集部作成
2. 世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄と負債はいくらか
ここからは、リタイア後の世帯にしぼって見ていきます。家計調査には、高齢者のいる世帯を世帯主の就業状態で分けた集計があります。
2.1 貯蓄2494万円に対して負債は59万円
世帯主が65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の貯蓄現在高は2494万円でした。二人以上の世帯全体の2059万円より高い水準です。
負債現在高は59万円で、全体の675万円と比べると10分の1以下にとどまります。住宅ローンの返済を終えた世帯が多いことが背景にあり、持家率は95.7%でした。
貯蓄から負債を引いた差額は2435万円になります。
2.2 65歳以上の夫婦一組の無職世帯は貯蓄2520万円
夫婦二人だけで暮らす世帯にしぼると、数字は少し変わります。
65歳以上の夫婦一組の無職世帯では、貯蓄現在高が2520万円、負債現在高が36万円でした。差額は2484万円です。年間収入は376万円となっています。
3. 年間収入で分けると高齢の無職世帯の貯蓄はここまで違う
同じ高齢の無職世帯でも、年間収入の階級で分けると貯蓄額の姿は大きく変わります。ここで見るのは、男性が65歳以上・女性が60歳以上の者だけで構成され、少なくとも一人が65歳以上である無職世帯です。年間収入の多くは公的年金などの社会保障給付が占めます。
3.1 年間収入250万円未満の世帯は貯蓄1266万円
年間収入が250万円に満たない世帯の貯蓄現在高は1266万円でした。負債現在高は18万円で、差額は1248万円です。
二人以上の世帯全体の中央値1264万円と、ほぼ同じ水準にとどまります。
3.2 年間収入250万円から349万円の世帯は貯蓄1994万円
年間収入が250万円から349万円の世帯では、貯蓄現在高が1994万円、負債現在高が26万円でした。差額は1968万円です。
3.3 年間収入350万円以上の世帯は貯蓄3323万円
年間収入が350万円以上の世帯になると、貯蓄現在高は3323万円まで増えます。負債現在高は73万円で、差額は3250万円です。
年間収入250万円未満の世帯と比べると、差額でおよそ2.6倍の開きがあります。年金を中心とした毎月の収入が多い世帯ほど、手元の蓄えも多いという関係が読み取れます。
高齢者のみの無職世帯を年間収入の階級で分け、貯蓄と負債を並べた図です2/2
出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にLIMO編集部作成
4. 65歳以上の無職世帯の貯蓄は2494万円、年間収入で1266万円から3323万円まで開く
2025年の家計調査では、世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄現在高は2494万円、負債現在高は59万円でした。二人以上の世帯全体と比べると、貯蓄は多く負債は少ないという姿です。
ただし年間収入で分けると、250万円未満の世帯は貯蓄1266万円、350万円以上の世帯は3323万円と大きな開きがありました。平均額は目安として、自分の年金の見込額と手元の蓄えを並べてみることが、老後の準備の出発点になります。
ここからは、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の毎月の家計収支と、国民年金・厚生年金の平均月額を見ていきます。