2. 【公的年金の基本】老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられる

会社員や公務員として働いた人は、65歳から2つの年金を受け取ります。国民年金から出る「老齢基礎年金」と、厚生年金から出る「老齢厚生年金」です。

  • 老齢基礎年金:1階部分。480カ月すべて保険料を納めた人の2026年度の満額は月7万608円
  • 老齢厚生年金:2階部分。厚生年金に入っていた期間と、その間の給与・賞与の額で決まる
  • 2026年度の年金額:前年度から国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引上げ

※1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの人の満額は、月7万408円です。

2.1 繰下げ受給は1カ月0.7%ずつ増える

繰下げ受給を選ぶと、65歳になった月から請求した月の前の月までの月数に0.7%をかけた分だけ、年金が増えます。75歳まで遅らせると最大の84%増で、増えた額は一生続くのです。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げられます。どちらか一方だけを65歳から受け取り、もう一方を遅らせることもできます。

3. 【厚生年金の繰下げ】70歳の受給者で選んでいた人は4.2%

では、実際に繰下げ受給を選ぶ人はどれくらいいるのでしょうか。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和6年度」で、会社員などが加入していた厚生年金保険(第1号)の老齢厚生年金を確かめます。

70歳の厚生年金の受給者のうち「繰下げ受給」を選んでいた人の割合は、3年で2.1%から4.2%に増えた1/2

70歳の厚生年金の受給者のうち繰下げ受給を選んでいた人の割合を示した棒グラフ。2022年度末2.1%(2万9339人)、2023年度末3.2%(4万1660人)、2024年度末4.2%(5万3106人)。2024年度末は男性5.1%、女性3.5%

出所:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和6年度」をもとにLIMO編集部作成

3.1 70歳の受給者では3年で2倍に

各年度末の時点で70歳だった受給者のうち、繰下げ受給を選んでいた人の割合と人数は次のとおりです。

  • 2022年度末:2.1%(2万9339人)
  • 2023年度末:3.2%(4万1660人)
  • 2024年度末:4.2%(5万3106人)

3年で割合は2倍になり、人数も2万人あまり増えました。2024年度末を男女別に見ると、男性は5.1%、女性は3.5%です。

3.2 受給者全体では1.9%

年齢を問わず、老齢厚生年金を受け取る人全体(2024年度末・特別支給の老齢厚生年金を除く2869万7329人)で見ると、繰下げ受給は1.9%でした。65歳より前に受け取り始める「繰上げ受給」は1.2%、65歳から受け取る人は96.9%です。

繰下げ受給を選ぶ人はまだ少数ですが、5年を超えて繰り下げている人も2万7983人いました。2022年4月から、繰り下げられる上限が70歳から75歳に引き上げられています。

70歳の厚生年金の受給者で繰下げ受給を選んでいた人は4.2%と、3年で2倍になりました。1962年(昭和37年)2〜3月生まれの人は、届いた年金請求書の加入記録と「受取開始時期の選択」欄を確かめ、迷ったときは年金事務所で相談してみましょう。

ここからは、65歳で月15万円の年金を受け取れる人を例に、受け取り始める年齢ごとの月額と、厚生年金を繰り下げる前に確かめたいことを見ていきます。