株式分割で株は安く買えるようになるのか。株式分割のニュースで1株の値段が下がると聞くと、最低購入額が下がり、株主優待も少ない資金で受け取れるようになるのではと考える人もいるかもしれません。
富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、株式分割のニュースは、「1株の値段」と「持っている株全体の価値」を分けて、早めに確かめておきたいテーマです。ここでは、分割で変わることと変わらないことを、日本取引所グループの統計をもとに整理します。
試算では、株価5000円の株を1株→5株に分けた場合の最低購入額、配当、株主優待の条件を、分割の前から100株持っていた人と、分割のあとに100株を新しく買う人で比べます。
※株価5000円(最低購入額50万円)は、東京証券取引所「投資単位の引下げに係るご検討のお願い」(2026年7月28日)別紙1で、2025年7月〜2026年6月に株式分割を決議した276社の分割前の投資単位のうち、最も多かった区分(50万円以上・36%)の下限です。
※配当の利回り約2.26%は、日本取引所グループ「株価平均・株式平均利回り」のプライム市場の有配会社平均利回り(2026年9月末)です。
1. 株式分割で株は安くなる?1株の値段は分割の比率で下がるが、持ち株の評価額と会社の時価総額は変わらない
株式分割は、1株を複数の株に分けることです。日本取引所グループ「株式分割」によると、分割が行われても保有する株式全体の実質的な価値は変わらず、1株あたりの金額と投資単位(最低投資金額)が小さくなります。
株価5000円の株を100株持っている人が、1株→5株の分割を受けた場合は次のとおりです。
- 【分割前】株価5000円×100株=評価額50万円
- 【分割後】理論上の株価1000円×500株=評価額50万円
株数は5倍になり、1株の値段は理論上5分の1になります。会社の株の総数も5倍になるため、株価×株数で表す会社の時価総額も、分割そのものでは変わりません。
ただし、分割のあとの株価は売り買いで動きます。理論上の値段は分割の比率で割った値で、分割後に必ずその値段になるわけではありません。
※試算の前提:分割前の株価5000円、分割の比率1株→5株、売買単位100株。分割の発表から分割までの株価の動きは含めていません。