3. 【試算】基本給が1万円上がると退職金はいくら増えるか
退職金が「退職時の基本給×支給率」で決まる会社なら、基本給の上がり方が退職金にそのまま響きます。東京都の調査のモデル退職金を使って、大まかな目安を出してみます。
3.1 大学卒の定年退職金は月給の約24.9か月分
同じ調査で、大学卒が定年まで勤めた場合のモデル退職金は1149万5000円でした。定年時の月の所定時間内賃金は46万2000円で、退職金はその約24.9か月分にあたります。
支給率が24.9か月の会社で、退職時の基本給が1万円高かった場合を考えます。
- 1万円×24.9か月=24万9000円
退職金は24万9000円増える計算です。基本給が3万円高ければ、74万7000円の差になります。
3.2 一定額やポイント制では計算が変わる
この試算が当てはまるのは、退職時の基本給に支給率をかける会社だけです。勤続年数に応じた一定額の会社では、基本給が上がっても退職金は変わりません。
ポイント制の会社では、ポイント単価や毎年のポイントの決め方しだいです。自分の会社の方法を確かめてから当てはめましょう。
4. 賃上げは退職金にも響く。2026年8月の所定内給与は4.0%増
厚生労働省が2026年10月23日に公表した毎月勤労統計調査の8月分確報によると、一般労働者の所定内給与は35万3971円でした。前の年の同じ月と比べて4.0%増えています。
所定内給与とは、残業代などを除いた、毎月決まって支払われる給与です。基本給のほか、家族手当などの手当も含まれます。
- 一般労働者の所定内給与:35万3971円(4.0%増)
- パートタイム労働者を含む就業形態計の所定内給与:27万7870円(3.8%増)
退職時の基本給をもとに計算する会社なら、毎月の給与の伸びは、将来の退職金の伸びにもつながります。ただし所定内給与には手当も入るため、基本給がどれだけ上がったかは給与明細で確かめるのが確実です。
5. 【退職金規程】見込み額を出す3つの手順
労働基準法では、退職手当の定めをする会社は、対象になる人の範囲や、退職手当の決め方・計算・支払いの方法、支払いの時期を就業規則に書くことになっています。見込み額は、次の順で確かめると出しやすくなります。
- 計算方法:基礎になる給与×支給率か、一定額か、ポイント制か
- 基礎になる給与:退職時の基本給か、手当を含むか、別の表か
- 支給率:いまの勤続年数と、自己都合か会社都合かで何か月分か
退職金規程が手元にない場合は、人事・総務の担当者に見せてもらえるか聞いてみるとよいでしょう。勤続年数の数え方や、試用期間を含めるかどうかも、規程によって違います。
6. まとめにかえて
都内の中小企業では、退職一時金の計算方法は「基礎になる給与×支給率」が42.0%で最も多くなりました。基礎になる給与には、退職時の基本給をそのまま使う会社が45.0%あります。
この方法なら、基本給が上がるほど退職金も増えます。2026年8月の所定内給与は4.0%増えており、賃上げの動きは退職金の見込みにも関わってきます。
自分の退職金の計算方法と支給率は、就業規則や退職金規程で確かめてみてください。
参考資料
太田 彩子