退職金がいくらになるかは、勤め先の退職金規程に書かれた計算方法で決まります。同じ勤続年数でも、計算のしかたが違えば受け取る額は変わります。

東京都が都内の中小企業に聞いた2024年の調査では、退職一時金の計算方法は「基礎になる給与×支給率」が42.0%で最も多くなりました。基礎になる給与には、退職時の基本給を使う会社が目立ちます。

この記事では、退職金の主な計算方法と、計算のもとになる給与の決め方を見ていきます。

1. 【退職金の計算方法】「基礎になる給与×支給率」が42.0%で最も多い

東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」は、都内の従業員10人から299人の中小企業を対象にした調査です。2024年7月31日時点の状況について、659社から回答を得ています。

退職一時金の制度がある395社に、退職金をどう計算しているかを聞いた結果は次のとおりです。

都内の中小企業の退職一時金の計算方法は「基礎額×支給率」が42.0%で最も多い1/2

都内の中小企業で退職一時金がある395社の計算方法の割合。退職金算定基礎額×支給率42.0%、勤務年数に応じた一定額29.9%、ポイント制10.6%、算定基礎額×支給率+一定額3.5%、その他9.9%、無回答4.1%を並べた一覧表

出所:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」をもとにLIMO編集部作成

  • 退職金算定基礎額×支給率:42.0%
  • 勤務年数に応じた一定額:29.9%
  • ポイント制(退職金ポイント×ポイント単価):10.6%
  • 退職金算定基礎額×支給率+一定額:3.5%
  • その他:9.9%
  • 無回答:4.1%

1.1 支給率は「何か月分か」を表す

最も多い計算方法は、退職金算定基礎額という基礎になる給与に、支給率をかけるものです。支給率は、基礎になる給与の何か月分を払うかを表す数字だと考えるとわかりやすいでしょう。

たとえば基礎になる給与が30万円で、支給率が10か月なら、退職金は300万円です。東京都の調査のモデル退職金でも、支給率は勤続年数や、自己都合か会社都合かによって違っていました。

1.2 勤続年数で決まる一定額は29.9%

次に多いのは、勤続年数ごとに決まった額を払う方法で、29.9%でした。この方法なら、給与の額にかかわらず、勤めた年数で受け取る額が決まります。

1.3 ポイント制は10.6%

ポイント制は、勤続年数や役職などに応じて毎年たまる退職金ポイントに、1ポイントあたりの単価をかける方法です。導入している会社は10.6%でした。

2. 【退職金】計算のもとになる給与は「退職時の基本給」が45.0%

では、基礎になる給与には何を使っているのでしょうか。退職金算定基礎額の制度がある180社の答えは次のとおりです。

都内の中小企業の退職金算定基礎額は「退職時の基本給」をそのまま使う会社が45.0%2/2

都内の中小企業で退職金算定基礎額の制度がある180社の算定基礎額の決め方の割合。退職時の基本給45.0%、退職時の基本給×一定率27.8%、別テーブル方式12.8%、退職時の基本給+手当3.9%、(退職時の基本給+手当)×一定率3.9%、その他3.9%、無回答2.8%を並べた一覧表

出所:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」をもとにLIMO編集部作成

  • 退職時の基本給:45.0%
  • 退職時の基本給×一定率:27.8%
  • 別テーブル方式:12.8%
  • 退職時の基本給+手当:3.9%
  • (退職時の基本給+手当)×一定率:3.9%
  • その他:3.9%
  • 無回答:2.8%

「退職時の基本給」と「退職時の基本給×一定率」を合わせると72.8%です。7割を超える会社が、辞めるときの基本給をもとに退職金を計算しています。

2.1 手当を含める会社は7.8%

基本給に手当を足して計算する会社は、2つの区分を合わせても7.8%でした。基本給だけをもとにする会社では、手当や残業代が多くても、退職金の計算には入りません。

別テーブル方式は、基本給とは別に、退職金の計算のための金額の表を用意する方法です。この場合は、基本給が上がっても退職金の基礎になる額がそのまま上がるとは限りません。

都内の中小企業では、退職一時金の計算方法は「基礎になる給与×支給率」が42.0%で最も多く、基礎になる給与には退職時の基本給を使う会社が45.0%でした。自分の勤め先がどの方法かは、就業規則や退職金規程で確かめられます。

ここからは、基本給が上がると退職金がどれくらい変わるのかを試算し、全国の賃金の動きと、見込み額を出す手順を見ていきます。