5. 年の途中で時給が上がった年の税の扶養136万円
税の扶養は、健康保険の扶養とは年収の見方が違います。年の途中で時給が上がった年は、2つの結果が分かれることがあります。
5.1 税の扶養は1月から12月に受け取った給与で見る
配偶者控除は、その年の1月から12月までに実際に受け取った給与で判定します。健康保険の扶養のように、これから1年の見込みで判定するのではありません。
5.2 10月から時給1478円になった人は2026年分126万2131円
週17時間で働き、1月から9月(39週)は時給1411円、10月から12月(13週)は時給1478円になった例で計算します。2026年分の給与は、93万5493円と32万6638円を合わせて126万2131円です。
2026年分の税の扶養の136万円以下には収まります。一方で、10月からの労働条件で見込む年収は130万6552円なので、健康保険の扶養の130万円は超える見込みになります。
同じ人でも、税は「過ぎた1年」、健康保険は「これからの1年」で見るため、結果が分かれるのです。
6. 時給が上がったパートが確かめたい年収の壁の3つの書類
時給が上がったときは、金額を計算するだけでなく、手元の書類も確かめておきましょう。
6.1 労働条件通知書の時給と労働時間
健康保険の扶養の見込みは、労働条件通知書などに書かれた時給・労働時間・日数で計算します。時給が上がったら、新しい通知書を受け取っているか確かめておきましょう。
「シフト制による」のように労働時間がはっきりしない契約では、従来どおり給与明細書や課税(非課税)証明書などで判定されます。
6.2 家族の勤め先の健康保険への届出
扶養に入っている人の労働条件が変わったら、家族の勤め先を通じて健康保険に書面を出すことになります。どの書類が要るのかは、加入している健康保険によって案内が違うので、家族の勤め先の担当者に確かめると確実です。
6.3 12月の年末調整で出す配偶者控除等申告書
配偶者控除を受ける人は、12月の年末調整で配偶者控除等申告書を勤め先に出します。2026年分は給与所得控除の最低額が74万円に上がったので、配偶者の給与から合計所得金額を出すときは改正後の額で計算します。
パートで働く配偶者は、1月から12月までの給与の見込みを、給与明細から早めに伝えておくと手続きが進めやすくなります。
7. まとめにかえて
パートの平均の時給は、2026年8月に1478円と、1年で67円上がりました。この時給なら、健康保険の扶養の130万円未満に収まるのは週16.9時間まで、税の扶養の136万円以下は週17.6時間までが目安です。
時給が上がると、同じ週17時間の勤務でも年収は130万円を超えることがあります。新しい労働条件通知書が届いたら、時給と週の勤務時間から年収を計算し直し、家族の勤め先の健康保険にも確かめておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年8月分結果確報」
- 厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&Aについて」
- 厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」
- 厚生労働省「「年収の壁」への対応」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」
- 国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」
太田 彩子