3. 【試算】去年と同じ週17時間でも年収の壁130万円を超える

では、時給だけが上がって勤務時間が去年と同じだった場合、年収はどう変わるのでしょうか。週17時間、1年52週で働く例で計算します。

3.1 時給1411円なら124万7324円

2025年8月の平均の時給1411円で計算すると、年収は124万7324円です。健康保険の扶養の130万円まで、まだ5万円ほど余裕がありました。

3.2 時給1478円なら130万6552円

同じ週17時間でも、2026年8月の平均の時給1478円にすると、年収は130万6552円になります。勤務時間を1分も増やしていないのに、健康保険の扶養の130万円を超える計算です。

週17時間を52週働くと、1年で884時間です。この時間で年収が130万円に届くのは、時給1471円からです。時給が1471円以上なら、勤務時間が去年と同じでも、見込みの年収は健康保険の扶養の130万円以上になります。

一方、税の扶養の136万円以下には収まっています。時給が上がったときに先に引っかかりやすいのは、健康保険の扶養のほうだと分かります。

3.3 健康保険の扶養は時給が変わるたびに見込みを出し直す

2026年4月から、健康保険の扶養は、労働条件通知書などに書かれた時給・労働時間・日数から見込む年収で判定されるようになりました。契約にない残業代は、この見込みに入りません。

厚生労働省のQ&Aでは、労働条件に変更があった場合は、そのたびに内容が分かる書面の提出を求めるよう健康保険の側に示しています。時給が上がって見込みの年収が130万円以上になれば、扶養の要件を満たさなくなるのです。

パートの平均の時給は、1年で1411円から1478円に上がりました。この上がり方が当てはまると、週17時間の勤務でも年収は130万6552円になり、健康保険の扶養の130万円を超えます。

時給が上がったときは、新しい労働条件通知書の時給と週の勤務時間から、見込みの年収を計算し直しておくと安心です。

ここからは、時給が上がっても変わらない社会保険の週20時間の線を見ていきます。

4. 【年収の壁】時給が上がっても社会保険の加入は「週20時間」で決まる

健康保険の扶養は年収で判定されますが、勤め先の社会保険に入るかどうかは、主に勤務時間で決まります。2026年10月からの変更とあわせて確認しましょう。

4.1 10月から月8万8000円の要件はなくなった

パートが勤め先の健康保険と厚生年金保険に入る要件のうち、「月額賃金8万8000円以上」は2026年10月に撤廃されました。いわゆる「106万円の壁」と呼ばれていた要件です。

残る主な要件は、週の所定労働時間が20時間以上であること、勤め先の従業員が51人以上であること、学生ではないことの3つです。従業員数の要件は、2027年10月から36人以上に広がる予定です。

4.2 週20時間なら時給1478円で年153万7120円

週20時間の線は、時給が上がっても動きません。時給1478円で週20時間働くと、年収は153万7120円です。

この場合は勤め先の社会保険に自分で加入するので、家族の健康保険の扶養には入りません。週20時間未満で働く人は加入の対象外なので、健康保険の扶養の130万円で判定されます。

次のページでは、年の途中で時給が上がった年の税の扶養と、時給が上がったときに確かめたい3つの書類を見ていきます。