6. 【元FP会社スタッフの視点】検証:長時間駐車の「掲示の金額」と「時間貸しの料金」は、比べる時間の長さで見え方が変わる

試算した時間貸しの料金は、30分ごとに約100円〜300円ずつ積み上がります。4時間でも約800円〜2400円で、掲示の金額とは大きな差があります。

ただ、私がこの数字を見て気になったのは、差の大きさよりも、時間貸しの駐車場なら最初から料金が分かっている点です。店の駐車場の長時間駐車は、いくらになるかが後から決まるため、家計から見ると読みにくい出費になります。

保険の手続きやマネーセミナーの運営補助をしていた立場から見ると、予定外の出費は、金額そのものより「いくらかかるか分からない」ことで家計の見通しが立てにくくなる点は、知っておきたいところです。買い物のあとに別の用事があるなら、時間貸しの駐車場に移して料金を先に確かめておくのが、店にとっても自分にとっても安心な選び方です。

市営駐車場の中には、市営岩槻駅東口公共駐車場(さいたま市)のように、提携する店舗の利用で割引を受けられるところもあります。出かける前に、行き先の近くにある公営の駐車場の料金を調べておくだけでも、長時間駐車のトラブルは避けやすくなります。

店の駐車場は、店が客のために用意している場所です。掲示の金額をどう読むかよりも、まずは掲示どおりに使うことを心がけたいところです。

7. まとめ

店の駐車場の長時間駐車は、買い物をした客でも、店の許した時間・目的を超えれば無断駐車にあたりうるものです。一方、掲示を見て停めただけで掲示の金額を払う契約が成り立つとは限らず、確認できた裁判例の一つでも、違約金10万円の請求は認められませんでした。店が請求できるのは、原則として実際の損害の範囲と考えられます。

ただし、払う必要がないという意味ではありません。請求を受けて話し合いで決まらないときは、消費者ホットライン「188」、法テラス、日本弁護士連合会が案内している弁護士会の法律相談に相談してみてください。

※本記事の試算は、市営駐車場の公表している料金にもとづく概算です。実際に請求できる額や支払う義務の有無は、掲示の内容や停めた時間などの事情で変わります。個別の判断は、消費生活センターや弁護士などの専門家にご確認ください。

参考資料

下村 美乃莉