引越しで荷物が傷ついたり壊れたりしたとき、補償をめぐって業者と話がかみ合わないことがあります。
国民生活センターによると、2024年度に寄せられた「引越」の相談のうち、最も多かったのは「補償」に関するもので、45.2%を占めました。
補償の受け止め方は、壊れたものが何かで変わってきます。例えば冷蔵庫は、買い替えまで平均13.1年使われる家電です。
お金で賠償を受けるときの基本は、購入時の値段ではなく引越し時点の価値(時価)なので、長く使ったものほど購入時の値段との差が大きくなります。
では、長く使った冷蔵庫の時価はどれくらいと見ればよいのでしょうか。国が定めた標準引越運送約款と公的な資料をもとに、業者の責任と破損を伝える期限を整理し、使った年数ごとの時価の目安を試算します。
※平均使用年数13.1年は、内閣府「消費動向調査(令和8年3月実施調査結果)」で、二人以上の世帯が買い替え前の電気冷蔵庫を使っていた年数の平均です。
1. 引越しで冷蔵庫が壊れたら業者は賠償する? 注意を怠らなかったと業者が証明しない限り責任を負う
引越しで冷蔵庫が壊れたとき、まず確かめたいのは業者の責任です。東京都消費生活総合センターによると、国内の引越事業者の多くは、国が定めた「標準引越運送約款」を使っています。約款の決まりは次のとおりです。
- 【責任】荷造りから引き渡しまでの間に荷物が壊れたら、業者は損害を賠償する責任を負う(第22条)
- 【例外】業者が注意を怠らなかったと証明したときや、荷物の欠陥・自然の消耗・天災などによるときは責任を負わない(第22条・第23条)
- 【賠償の範囲】荷物の損傷により「直接生じた損害」を賠償する(第26条)
国民生活センター「引越トラブルにご注意」によると、2024年度に寄せられた「引越」の相談2345件のうち、「補償」に関する相談が1060件(45.2%)で最も多くなっています。
2. 壊れた冷蔵庫の補償は購入額? 修理か代わりの品が基本で、お金なら引越し時点の時価
引越しの冷蔵庫の補償について、東京都消費生活総合センターは、業者側の落ち度で壊れたときの対応は通常、修理か代替品の引き渡しで、それが難しいときにお金での賠償になると説明しています。
- 【修理できる】修理での対応が基本
- 【修理できない】代替品の引き渡し、またはお金での賠償
- 【お金での賠償】引越し時点の価値相当額(時価)。使った年数に応じて安くなり、購入時の価格や新品の代金が支払われるわけではない
ただし、約款の第26条は「直接生じた損害」を賠償すると定めるだけで、時価の計算式までは決めていません。同センターは、賠償額を示されたら業者に根拠を確かめるよう呼びかけています。