6. 【証券会社出身の視点】検証:毎年の固定資産税より、売る期限を過ぎたときの税の差のほうがはるかに大きい
相続した空き家の固定資産税は、通知が代表者1人に届くため、ほかの兄弟は自分の問題として捉えにくいものです。しかし、連帯納税義務がある以上、市区町村に対しては3人それぞれが全額を負っています。
資産の判断では、「毎年かかる費用」と「一度に動く金額」を同じ物差しで比べると、整理しやすくなります。相続した空き家でいえば、毎年の固定資産税と、売るときの特別控除の有無です。
試算では、固定資産税が年10万円なら3人で分けて1人あたり年約3.3万円です。一方で、特別控除の期限を過ぎると、売却額1000万円あたり3人で約185万円の税がかかります。毎年の負担より、期限を過ぎたときの差のほうがはるかに大きいことがわかります。
また、3人以上で相続すると控除は1人2000万円に下がりますが、3人の合計では6000万円です。1人の名義にまとめるか、共有のまま売るかで、使える控除の合計も変わります。
売るか持ち続けるかは、家族の思いも関わるため、どの家庭にも同じ答えがあるわけではありません。まずは期限の年を確かめ、固定資産税の分け方とあわせて兄弟3人で話し合っておくと、あとで慌てずに済むはずです。
7. まとめ
兄弟3人で相続した空き家の固定資産税は、通知が代表者1人に届いても、3人それぞれが全額を納める義務を負います。兄弟の間では持ち分に応じて分けるのが基本で、売った年も1月1日の所有者に1年分がかかります。
売るときの特別控除は、3人以上なら1人2000万円、合計で6000万円です。期限を過ぎると、売却額1000万円あたり3人で約185万円の税がかかる試算になりました。期限の年と要件を早めに確かめておくことが大切です。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。固定資産税の扱いや共有者の代表者の決め方は、市区町村によって異なる場合があります。特別控除の要件や税額は、売却の時期や取得費、費用によって変わります。実際の扱いは、物件がある市区町村や税務署でご確認ください。
参考資料
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」
- 国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
- 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
- 行田市「共有名義の固定資産税の納税義務者はどうなりますか」
- 滝川市「共有名義の土地・家屋の固定資産税・都市計画税について」
- e-Gov法令検索「民法」
安達 さやか