親が亡くなり、兄弟3人で実家を相続したものの誰も住まず、相続した空き家の固定資産税を誰がどう払うのか迷う方は多いのではないでしょうか。固定資産税の納税通知書は、兄弟3人のうち代表者1人にしか届かないことが多いためです。
富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、兄弟で相続した空き家は、「持ち続ける費用」と「売るときの税金」を一緒に、早めに確かめておきたいテーマです。ここでは、国税庁や自治体の資料をもとに、兄弟3人で共有する場合の決まりを整理します。
あわせて、相続した空き家を兄弟3人で売った場合に使える特別控除の額と、期限を過ぎて売った場合の税額を試算します。
※兄弟3人で売る場合の特別控除は、国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」にもとづきます。令和6年1月1日以後の売却で、相続人が3人以上の場合は1人2000万円までです。
1. 相続した空き家の固定資産税は誰に届く?通知は代表者1人でも、兄弟3人の全員が全額を払う義務を負う
相続した空き家の固定資産税は、持ち分で3つに分けて課税されるわけではありません。行田市「共有名義の固定資産税の納税義務者はどうなりますか」によると、共有の固定資産は、地方税法第10条の2第1項にもとづき、共有者全員が連帯して納める「連帯納税義務」になります。
そのため、持ち分の割合で税額を分けて課税することはできません。納税通知書は「代表者の名前 外〇名様」として、代表者1人に送られるのが一般的です。
- 【課税のしかた】持ち分で分けず、共有者全員に全額の納税義務
- 【納税通知書】代表者1人に送付(住んでいる人、持ち分の多い人、市内に住む人などの順で決める例)
- 【滞納したとき】差し押さえなどの滞納処分の対象になりうる
滝川市「共有名義の土地・家屋の固定資産税・都市計画税について」は、納税の告知を受けた共有者に滞納が生じた場合、差し押さえなどの滞納処分の対象になると案内しています。通知が届かないほかの兄弟も、納める義務がないわけではありません。
2. 相続した空き家の固定資産税は兄弟3人でどう分ける?持ち分で分けるのが基本で、立て替えた人はほかの2人に求められる
相続した空き家の固定資産税を兄弟3人の間でどう分けるかは、市区町村との関係とは別の話です。民法第253条は、各共有者が持ち分に応じて管理の費用を払い、共有物に関する負担を負うと定めています。
代表者がひとまず全額を納めた場合は、持ち分に応じた額をほかの2人に求めることができます。仮に固定資産税と都市計画税の合計が年10万円で、3人の持ち分が同じなら、1人あたりの負担は次のとおりです。
- 【売れるまで1年】合計約10万円、1人あたり約3.3万円
- 【売れるまで3年】合計約30万円、1人あたり約10万円
- 【売れるまで5年】合計約50万円、1人あたり約16.7万円
※試算の前提:固定資産税と都市計画税の合計を年10万円とし、兄弟3人の持ち分は3分の1ずつとしています。実際の税額は、土地・家屋の評価額や市区町村によって異なります。