5. 実家の代償金はいくらになる?兄弟2人で実家だけを分けるなら、住宅地で約876万円、村落地区で約244万円

実家を受け継いだ子が、兄弟に法定相続分(2分の1)に当たる代償金を払うとして試算すると、次のとおりです。

  • 【住宅地(普通住宅地区)】実家の時価の目安 約1752万円、代償金 約876万円
  • 【村落地区】実家の時価の目安 約488万円、代償金 約244万円

※試算の前提:相続人は子2人だけで、遺産は実家だけ。土地の時価は、総務省「固定資産税の概要」で宅地の評価が地価公示価格等の7割をめどとしていることから、評価額を0.7で割って計算。家屋は評価額(約289万円)のまま。実際の代償金は、相続人どうしの話し合いや不動産の評価のしかたで変わります。

遺産がほかにもあれば、預貯金などで差を調整できることもあります。代償金を払う代わりに兄弟と共有で受け継ぐ方法もありますが、共有のままだと、のちの売却や建て替えに共有者全員の同意が要ることがあります。

6. 【証券会社出身の視点】検証:実家に住み続ける費用は、親が健在のうちと亡くなったあとで重さが変わる

試算からは、実家に住み続けるお金が、親が健在のうちと亡くなったあとで性格が変わることが分かります。親が健在のうちは、固定資産税を納めるのは親で、修繕費や光熱・水道も世帯の中で分担できます。

親が亡くなったあとは、平均の木造一戸建てで年約33万〜37万円を子が一人で負担します。仮に10年住むと、固定資産税と修繕費だけで約167万〜210万円です。

さらに、兄弟がいれば代償金の問題が加わります。住宅地の試算では約876万円と、10年分の維持費を大きく上回りました。「最低いくら貯めるか」は、住み続ける年数分の維持費に加えて、相続の分け方で必要な額が大きく変わります。

親が健在のうちに、実家を誰が受け継ぐのか、ほかの兄弟とどう分けるのかを家族で話しておくと、代償金が要るかどうかの見通しが立てやすくなります。親が遺言書を残しておく方法もあります。

固定資産税の課税明細書を見れば、実家の土地と家屋の評価額が分かります。試算の平均と比べて、自分の実家の数字に置き換えておくと、準備する額の目安がつかみやすくなります。

7. まとめ

実家に住み続けるには、家賃がかからなくても、固定資産税・修繕費・光熱・水道がかかります。平均の木造一戸建てなら、固定資産税と修繕費で年約17万〜21万円、一人で住むと光熱・水道を足して年約33万〜37万円が目安です。

固定資産税の額は市区町村の資産税の窓口で、相続登記は法務局で相談できます。遺産分割や代償分割の進め方は、司法書士や弁護士のほか、費用の面で不安があれば法テラス(日本司法支援センター)にも相談してみてください。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。固定資産税の額は、土地・家屋の評価額や市区町村の税率、特例の適用によって異なります。実際の税額は、毎年届く課税明細書や市区町村の窓口でご確認ください。

参考資料

安達 さやか