50代で実家に戻り、親と暮らし始める人がいます。実家なら家賃はかかりませんが、住み続けるには固定資産税や修繕費がかかり、親が亡くなったあとは、その負担が子に移ることもあります。

富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、実家に住み続けるお金は、親が健在のうちと亡くなったあとで負担が変わるため、早めに確かめておきたいテーマです。

ここでは、実家に住み続けるのにかかるお金を、固定資産税・修繕費・光熱・水道の3つに分け、公的な統計の平均の木造一戸建てで試算します。

あわせて、親が亡くなったあと、兄弟がいる場合に実家をどう分けるのか、住み続けるならどんなお金が要るのかも整理します。

※家屋の評価額は、総務省「令和7年度 固定資産の価格等の概要調書」の木造家屋の1平方メートル当たりの価格(2万2849円。工場・倉庫・附属家などを含む木造家屋全体の平均)に、総務省「令和5年住宅・土地統計調査」の一戸建の1住宅当たり延べ面積(126.32平方メートル)を掛けて出しています。

1. 実家の固定資産税はいくら?平均の木造一戸建てなら都市計画税を含めて年約4.0万〜8.3万円で、名義が親のうちは親が納める

総務省「固定資産税の概要」によると、固定資産税は、1月1日時点で登記簿などに所有者として登録されている人にかかります。実家の名義が親のうちは、子が住んでいても、納める義務があるのは親です。

税額は、課税標準に標準税率1.4%を掛けて出します。住宅が建つ土地は「住宅用地の特例」で、200平方メートル以下の部分は課税標準が評価額の6分の1になります。市街化区域では、市町村が条例で定めていれば、都市計画税(税率は0.3%が上限)もかかります。

  • 【住宅地(普通住宅地区の平均)】土地約2.4万円+家屋約4.0万円+都市計画税約1.9万円で、年約8.3万円
  • 【村落地区の平均】土地は課税標準が免税点(30万円)未満で0円(同じ市町村にほかの土地がない場合)、家屋約4.0万円で、年約4.0万円

※試算の前提:木造一戸建て、延べ面積126.32平方メートル、家屋の評価額約289万円、敷地200平方メートル。土地の評価額は、総務省「令和7年度 固定資産の価格等の概要調書」の個人の宅地の1平方メートル当たりの価格(普通住宅地区約5万1235円、村落地区約6970円)から計算。都市計画税は住宅地だけで税率0.3%、住宅用地の課税標準は200平方メートル以下の部分を評価額の3分の1として計算。負担調整措置は考えない。

家屋の免税点は、いまは20万円です。総務省によると、2027年度(令和9年度)分からは30万円に上がります。評価額が20万円以上30万円未満の古い家屋は、2027年度から家屋の固定資産税がかからなくなります(同じ市町村で同じ人が持つ家屋の合計で判定)。

2. 実家の修繕費は年いくら?家計調査の「設備修繕・維持」は二人以上の世帯の平均で月約1.06万円、固定資産税と合わせて年約17万〜21万円

総務省「家計調査(家計収支編)2025年平均」によると、二人以上の世帯(賃貸住宅に住む世帯も含む平均)の「設備修繕・維持」は月1万584円で、年約12.7万円です。家の修理や設備の交換、工事の費用などが含まれます。

  • 【住宅地(普通住宅地区)】固定資産税等 年約8.3万円+修繕費 年約12.7万円=年約21.0万円
  • 【村落地区】固定資産税 年約4.0万円+修繕費 年約12.7万円=年約16.7万円

修繕費は、毎年同じだけかかるわけではありません。屋根や外壁、給湯器などの工事は数年から十数年おきにまとまってかかるため、家計調査の平均は、ならした目安として見ておくのが現実的です。