5. 失業手当で年金が止まるのは誰?2026年時点の60〜64歳では、特別支給の老齢厚生年金を受け取る女性と、繰上げ受給の人
特別支給の老齢厚生年金は、生年月日によって受け取れる人が決まっています。日本年金機構によると、対象は男性が昭和36年4月1日以前生まれ、女性が昭和41年4月1日以前生まれです。
- 【男性】2026年時点で対象の人はすでに65歳以上のため、60〜64歳で特別支給の老齢厚生年金を受け取る人はいない
- 【女性・昭和37年4月2日〜昭和39年4月1日生まれ】63歳から受け取れる
- 【女性・昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日生まれ】64歳から受け取れる
特別支給の老齢厚生年金を受け取っている女性が64歳11か月で辞めて基本手当を150日分受けると、その間の年金は止まります。止まった月数は、基本手当を受けた日数をもとにあとで精算されます。
自分が受け取れる年金と、止まる月数は、ねんきん定期便やねんきんネットのほか、年金事務所で確かめることができます。
6. 【検証】試算から見えること:失業手当の差を作るのは、賃金より辞める年齢
60〜64歳の月の賃金は、男性35万8500円、女性27万800円で、約8.8万円の差があります。ところが基本手当日額の差は、男性約5445円、女性約5299円で、1日あたり146円しかありません。
60〜64歳の基本手当日額は、賃金が高い人ほど給付率が下がる計算式になっていて、平均的な賃金の水準では日額がほぼそろうためです。その結果、150日分の総額の男女差も約2.2万円にとどまります。
これに対して、辞める年齢が64歳11か月か65歳かで、失業手当の総額は約48万〜49万円変わります。65歳を境に、失業手当が「次の仕事を探す間の生活を支える給付」から「一時金」に変わる仕組みであることが、金額にそのまま表れています。
一方で、65歳以後に辞めた場合は、高年齢求職者給付金と老齢年金を一緒に受け取れます。どちらの時期に辞めるかは、失業手当の額だけでなく、年金・給与・退職金を合わせて考える必要があります。
※試算の前提は前章までと同じです。
7. まとめ
65歳になるまでの年金は失業手当と同時に受けられませんが、65歳からの老齢年金は高年齢求職者給付金と一緒に受け取れます。60〜64歳の平均的な賃金で試算すると、64歳11か月で辞めた場合の基本手当は男性で約81.7万円、65歳で辞めた場合の高年齢求職者給付金は約33.3万円でした。
実際の額は、離職前6か月の賃金や被保険者期間、離職の理由によって変わります。退職の時期を考えるときは、勤め先の人事担当で退職日と退職金の扱いを、ハローワークで受け取れる日数と日額を、年金事務所で年金の止まり方を確かめることができます。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の給付額は、離職前の賃金や被保険者期間、離職の理由によって異なります。詳しくはハローワークや年金事務所でご確認ください。
参考資料
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」
- ハローワーク「基本手当について」
- ハローワーク「基本手当の所定給付日数」
- 日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概要」
齊藤 慧