60代で会社を辞めたあと、失業手当と年金は同時にもらえるのか。辞めるのが65歳になる前か後かで、失業手当の受け取り方も、年金との関係も変わります。

雇用保険の失業手当は、65歳になる前に離職すると「基本手当」、65歳以後に離職すると一時金の「高年齢求職者給付金」になります。ここでは、64歳11か月で辞めた場合と65歳で辞めた場合を例に、年金との関係と受け取れる額を整理します。

60〜64歳の平均的な賃金で、2026年8月1日からの基本手当日額の計算式を使って試算しました。

※賃金は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の60〜64歳の所定内給与額(男性35万8500円・女性27万800円)です。

1. 失業手当と年金は同時にもらえる?65歳になるまでの年金は止まり、65歳からの年金は止まらない

日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」によると、雇用保険の失業手当と、65歳になるまでの老齢年金(特別支給の老齢厚生年金や、繰上げ受給の年金)は、同時には受けられません。ハローワークで求職の申込みをした月の翌月から、失業手当の受給期間が過ぎるか、所定給付日数を受け終わる月まで、年金は全額止まります。

  • 【65歳になるまでの年金】求職の申込みをすると、失業手当を受ける間は全額止まる
  • 【65歳からの老齢年金】失業手当(高年齢求職者給付金)と一緒に受け取れる
  • 【止まる年金がない場合】特別支給の老齢厚生年金も繰上げ受給もない人は、止まる年金がない

2026年時点で、特別支給の老齢厚生年金を受け取れる男性(昭和36年4月1日以前生まれ)は、すでに全員が65歳以上です。60〜64歳の男性で失業手当と年金の調整を受けるのは、年金を繰上げ受給している人に限られます。

2. 失業手当はいくら?65歳になる前に辞めると基本手当で、平均的な賃金の男性なら日額約5445円・150日で約81.7万円

65歳になる前に離職した人の失業手当は、基本手当です。ハローワーク「基本手当について」によると、基本手当日額は、離職前6か月の賃金の合計を180で割った賃金日額に、60〜64歳なら45〜80%の給付率をかけて決まります。

  • 【男性(月35万8500円)】賃金日額 約1万1950円 → 基本手当日額 約5445円 → 150日分で約81.7万円
  • 【女性(月27万800円)】賃金日額 約9026円 → 基本手当日額 約5299円 → 150日分で約79.5万円

受け取れる日数(所定給付日数)は、定年退職や自己都合の退職などの一般の離職者で、雇用保険の被保険者期間が20年以上なら150日です。60〜64歳の基本手当日額の上限は7830円(2026年8月1日から)です。

※試算の前提:被保険者期間20年以上の一般の離職者。賃金日額は、月の賃金×6か月÷180で計算。実際の賃金日額は、残業代などを含む毎月決まって支払われた賃金で決まるため、これより高くなることがあります。