5. 【2026年10月の総務副大臣通知】地方の地域手当も「国の級地」が基本
政府は2026年10月9日、国家公務員の給与を8月の人事院勧告どおりに改定することを閣議決定しました。同じ日、総務省は総務副大臣名で、地方公務員の給与改定の取り扱いについての通知を都道府県や指定都市に出しています。
通知は、各自治体が給与改定を行う際に留意する点をまとめたものです。地方公務員法と地方自治法にもとづく技術的な助言として出されました。
5.1 国の2027年度の支給割合が基本
地域手当について、通知は国の指定基準と2027年度の級地別の支給割合にもとづいて、級地の区分と支給割合を定めることが基本だと示しました。基本どおりにすると給与水準が大きく上がる場合は、住民の理解と納得が得られるよう対応することも求めています。
基本と違う割合を定める場合は、地域の民間給与を反映するという地域手当の趣旨を損なわないことが条件です。とくに基本を超える割合にするときは、議会と住民への説明責任を十分に果たすよう求めています。
5.2 都道府県ごとの区分
通知の別紙には、国の基準による2027年度の地域手当の区分が都道府県ごとに載っています。区分ごとに並べると次のとおりです。
国の2027年度の地域手当は、東京都(特別区を除く)が16%、神奈川県と大阪府が12%、愛知県と京都府が8%2/2
出所:総務省「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについての総務副大臣通知」をもとにLIMO編集部作成
- 1級地・20%:東京都の特別区
- 2級地・16%:東京都(特別区を除く)
- 3級地・12%:神奈川県、大阪府
- 4級地・8%:愛知県、京都府
- 5級地・4%:茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、静岡県、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、広島県、福岡県
- 非支給地・0%:上記以外の31道県
5.3 都道府県と区分が違う市
同じ都道府県のなかでも、区分が違う市があります。たとえば横浜市・川崎市・大阪市は2級地の16%、さいたま市・千葉市・名古屋市は3級地の12%です。
都道府県が非支給地でも、市だけが支給地域になっている例もあります。北海道の札幌市や石川県の金沢市、岡山県の岡山市は、5級地の4%に区分されました。
5.4 見直しで割合が上がる地域と下がる地域
国の地域手当は2027年度に区分が見直され、見直し前の級地によって割合が上がる地域と下がる地域があります。通知の別紙によると、引き上げ幅は非支給地から16%になる地域の16ポイントが最大で、引き下げ幅は最大4ポイントです。
6. 支給割合が違うと地域手当は月いくら変わるか
地域手当の額は、給料などの額に支給割合をかけて計算します。算定の基礎に何を含めるかは条例で決まるため、ここでは給料月額だけを基礎とした場合で試算します。
6.1 給料月額35万円の場合
都道府県の職員の給料月額は、47都道府県の多くで35万円前後でした。給料月額35万円として、支給割合ごとの地域手当を計算すると次のとおりです。
- 20%:月7万円(年84万円)
- 16%:月5万6000円(年67万2000円)
- 12%:月4万2000円(年50万4000円)
- 8%:月2万8000円(年33万6000円)
- 4%:月1万4000円(年16万8000円)
- 0%:支給なし
16%と4%では、月4万2000円、年50万4000円の差になります。実際の額は、勤め先の自治体の条例や本人の給料月額によって変わります。
6.2 給与改定は国の給与法改正を待つのが基本
通知は、地方公務員の給与改定の時期について、国の給与法の改正を待って行うことを基本とし、地域の実情をふまえて判断するよう求めました。給与条例の改正は議会で十分に審議し、長の専決処分で行わないことも求めています。
7. まとめにかえて
都道府県の職員の地域手当は、2025年4月1日現在で東京都の月7万300円がトップでした。給料は東京都が最も低いものの、地域手当を足すと月額で1位になり、佐賀県との年収の目安の差は127万5900円です。
総務省は2026年10月9日の通知で、地方の地域手当も国の2027年度の級地と支給割合をもとに定めることが基本だと示しました。国の基準では、東京都(特別区を除く)が16%、神奈川県と大阪府が12%、愛知県と京都府が8%です。
自治体に勤めている人は、自分の地域手当の支給割合を給与明細や給与条例で確かめておくと安心です。来年度以降の扱いは、勤め先の人事・給与の担当に確認できます。
参考資料
太田 彩子