3. 【年末調整の平均控除額の一覧】社会保険料控除は受けた人の平均で76万6300円、生命保険料控除は6万5900円
同調査の「年末調整を行った者」には、年末調整を行った人が受けた控除の人数と平均控除額がまとめられています。どの控除を受ける人が多いのかを知っておくと、年末調整の書類を書くときの手がかりになるでしょう。
3.1 配偶者控除又は扶養控除を受けた人は1122万人、平均扶養人員は1.39人
同調査によると、年末調整を行った4744万人のうち、配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた人は1122万人(23.7%)で、扶養人員のある人1人あたりの平均扶養人員は1.39人でした。配偶者控除のある人とない人のどちらも、扶養人員1人の人が最も多くなっています。また、配偶者特別控除の適用を受けた人は110万人で、平均控除額は31万4200円です。配偶者控除や扶養控除を受けるには、勤務先に申告書を出す必要があるため、家族の状況が変わった人はとくに確かめておきたいところです。
3.2 社会保険料控除は4126万人・平均76万6300円、生命保険料控除は3240万人・平均6万5900円
保険料控除では、年末調整を行った人のうち、社会保険料控除の適用を受けた人が4126万人、生命保険料控除が3240万人、地震保険料控除が950万人でした。適用を受けた人1人あたりの平均控除額は、社会保険料控除が76万6300円、生命保険料控除が6万5900円、地震保険料控除が1万6700円です。
平均控除額は、それぞれの控除の適用を受けた人だけで計算した平均です。控除の種類によって、適用を受けた人の数も平均控除額も大きく違うことがわかるでしょう。自分がどの控除に当てはまりそうかを、書類を書く前に整理しておくとよいでしょう。
4. 【平均給与と控除の数字を見るときの注意点】1年を通じて勤務した人の集計、令和8年分は基礎控除の引上げも
平均給与や平均控除額は目安で、自分の金額と同じになるとは限りません。数字の範囲と、今年の年末調整で見直された点を確かめておきましょう。
4.1 平均給与は1年を通じて勤務した人の平均、控除は適用を受けた人の平均
今回の平均給与487万円は、1年を通じて勤務した給与所得者の平均で、正社員(正職員)以外の人も含まれています。平均控除額も、年末調整を行った人のうち、それぞれの控除の適用を受けた人の平均です。どの範囲の人の数字かを確かめてから読むと、自分の状況と照らし合わせるときに迷いにくくなるでしょう。また、今回の統計は令和7年分の結果なので、令和8年分の見直しは反映されていません。
4.2 令和8年分の年末調整は基礎控除の引上げなど4つの見直し
国税庁の「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」では、本年の年末調整で注意したい見直しとして、「基礎控除の引上げ」、「給与所得控除の最低保障額の引上げ」、「扶養親族等の所得要件の改正」、「年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例の創設」の4つが挙げられています。
見直しの中には扶養している家族の所得の条件にかかわるものもあるため、家族に収入がある人はとくに気をつけておきたいところです。同じく国税庁によると、基礎控除は、合計所得金額が2500万円以下の人について、その金額に応じて最大で104万円を差し引く仕組みです。見直しが自分に当てはまるかどうかなど、具体的な取り扱いは、勤務先の担当部署や税務署で確かめるとよいでしょう。
5. 【年末調整の書類を出す前に】出す申告書と、家族の状況を確かめる
年末調整の書類を書く前に、確かめておきたいことを見ていきましょう。
5.1 勤務先に出す申告書を確かめる、基礎控除申告書の出し忘れに注意
まず、勤務先に出す申告書を確かめます。国税庁によると、年末調整を受けるには「扶養控除等申告書」を勤務先に出す必要があり、基礎控除や配偶者控除等の所得控除を受けるには、「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「特定親族特別控除申告書」「所得金額調整控除申告書」「保険料控除申告書」「住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先に出す必要があります。勤務先から配られた書類のうち、自分に関係するものがどれかを見ておきましょう。とくに基礎控除申告書は、国税庁が提出漏れによって基礎控除を受けられないことにならないよう注意を呼びかけているため、出し忘れがないようにしておきたいところです。
5.2 家族の就職や結婚などで扶養の状況が変わったら異動申告書を
次に、家族の状況を見直します。国税庁の「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」では、扶養控除等申告書に書いた家族の就職や結婚などで、年の途中に「扶養控除等申告書」の内容が変わったときは、その都度「異動申告書」を出すことになっているとされています。本年は扶養親族の所得要件の改正もあり、改正によって新たに扶養親族を有することになった場合なども「異動申告書」を出すことになります。そして、生命保険料や地震保険料を払っている人は、保険料控除申告書に書く内容をそろえておきましょう。書き方でわからないことは、勤務先の担当部署に早めに聞いておくと、年末の手続きを落ち着いて進めやすくなるでしょう。これから家族の就職や結婚などの予定がある人は、その時期もメモしておくと、次の年末調整や、来年の家計の計画を立てるときにも生かせるでしょう。
6. まとめにかえて
まずは、勤務先から配られた年末調整の書類を見て、自分が出す申告書を確かめておきましょう。次に、家族の就職や結婚などで扶養の状況が変わっていないかを見直し、変わっていれば早めに勤務先に伝えます。そして、保険料を払っている人は控除に必要な内容をそろえ、提出の期限を手帳やカレンダーに書いておきましょう。来年に向けては、今年の給与と受けた控除の内容を記録しておくと、次の年末調整の見通しも立てやすくなります。
今回の統計では、年末調整を行った人の多くが、社会保険料控除や生命保険料控除などを受けていました。自分が受けられる控除を一つずつ確かめることは、1年の税金をきちんと精算することにつながります。
平均給与や平均控除額は、あくまで目安です。自分の給与や家族の状況と照らし合わせながら、わからない点は勤務先の担当部署や税務署で確かめ、落ち着いて手続きを進めていきましょう。今年の給与と税金を振り返っておくことは、来年以降の家計を考える手がかりにもなるでしょう。
参考資料
宮野 茉莉子
