5. 【賃上げの実態】2026年の賃上げは厚生年金をいくら増やすか

冒頭で触れた厚生労働省の「令和8年賃金引上げ等の実態に関する調査」は、常用労働者100人以上の民間企業を対象に、7月から8月にかけて行われました。今年の賃上げが年金にどうつながるのかを見ておきましょう。

5.1 2026年の賃上げは月1万3926円

  • 1人平均賃金を引き上げた・引き上げる企業:92.0%(前年91.5%)
  • 1人平均賃金の改定額:1万3926円(前年1万3601円)
  • 1人平均賃金の改定率:4.4%(前年4.4%)
  • 定期昇給を行った・行う企業:81.2%(前年76.8%)

ここでいう1人平均賃金は、残業代などの割増手当を除いた所定内賃金の1カ月あたりの平均です。改定額は予定を含みます。

5.2 賃上げぶんが年金に反映される額

月給が1万3926円上がり、そのまま平均標準報酬額が同じだけ増えたとします。先ほどの式に当てはめると、厚生年金への上乗せは次のとおりです。

  • 20年加入した場合:年1万8319円(月1527円)
  • 30年加入した場合:年2万7478円(月2290円)

実際の標準報酬月額は等級ごとの区切りで決まるため、給与が上がっても等級が変わらなければ年金額は変わりません。また、賞与が増えれば標準賞与額も増え、そのぶんも年金額に反映されます。

もちろん、標準報酬が上がれば厚生年金保険料も増えます。保険料率18.3%のうち本人の負担は半分の9.15%なので、月1万3926円の増加なら月1274円ほど負担が増える計算です。

1回の賃上げで増える年金は月1000円台から2000円台ですが、賃上げが毎年積み重なり、長く加入するほど上乗せは大きくなります。給与明細の厚生年金保険料の欄は、将来の年金の積み上げを映すものでもあるのです。

6. まとめにかえて

厚生年金を月20万円以上受け取っている人は、受給権者の18.8%でした。逆算すると、40年加入でも賞与込みで月約59万円の平均標準報酬額が必要になり、いまの平均的な給与では届かない計算です。

ただ、平均や試算はあくまで目安です。ねんきん定期便やねんきんネットで、自分の加入記録と見込額を確かめるところから始めてみてください。

働き方や加入期間を変えると年金がどう変わるかは、近くの年金事務所や街角の年金相談センターで、自分の記録をもとに相談できます。保険料の負担もあわせて、無理のない見通しを立てておきたいところです。

参考資料

太田 彩子