4. 住民税の壁は?所得税とは別の線

住民税にも「これを超えるとかかり始める」という線がありますが、所得税の178万円とは別です。住民税の給与所得控除の最低保障額は、次のように変わります。

所得税と住民税の給与所得控除の最低保障額です。4/5

所得税と住民税の給与所得控除の最低保障額

出所:財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」をもとにLIMO編集部作成

財務省の資料によると、給与所得控除の最低保障額は所得税・個人住民税とも65万円から69万円に引き上げられ、さらに5万円を上乗せする特例が、所得税は令和8年分・9年分、個人住民税は令和9年度分・10年度分に設けられます。

住民税は前年の所得をもとに計算され、税がかかり始める年収は、住んでいる市区町村や家族構成によっても異なります。具体的な線は、お住まいの市区町村で確認してください。

5. FPの検証:壁より手取りと保障で考える

2026年は、106万円の壁の賃金要件がなくなり、所得税がかからない年収の目安も178万円に上がりました。モデルケースの妻にとって、気にする線は「週20時間」と「130万円」に絞られてきています。

ただ、壁を越えないことだけを目標にすると、本当は働きたい時間を手放してしまうこともあります。社会保険に加入すると保険料の負担が生じる一方で、受けられる保障も広がります。

勤め先の社会保険に加入すると受けられる主な保障と、加入拡大に合わせた支援です。5/5

社会保険に加入すると受けられる主な保障

出所:厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」をもとにLIMO編集部作成

厚生労働省は、従業員50人以下の企業などで新たに社会保険の加入対象となる人について、標準報酬月額12.6万円以下であれば、3年間、事業主が保険料の負担割合を増やせる支援策も設けるとしています。

壁の前で働く時間を調整する前に、勤め先の社会保険の担当者に、加入した場合の保険料と手取りの見込みを確認してみてください。厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」でも、手取り額の変化を試算できます。家族の働き方は家計全体にかかわるので、夫婦で話し合って決めることが大切です。

6. まとめ

2026年の年収の壁は、「税」と「社会保険」に分けると整理しやすくなります。所得税は、令和8年分・9年分は給与収入178万円までかからない計算で、配偶者控除の対象となる配偶者の給与収入は136万円以下になりました。

社会保険では、106万円の賃金要件が2026年10月に撤廃され、週20時間以上の契約かどうかが加入の分かれ目になります。一方、扶養の130万円の線は残っています。働き方を決める前に、勤め先や市区町村で自分の場合の線を確かめておきましょう。

※本記事は情報提供を目的としています。税や社会保険の扱いは、収入の内容や家族構成、勤め先によって異なります。実際の判断は、勤め先の担当者、税務署、市区町村、日本年金機構などにご確認ください。

参考資料

青木 里美