日経平均は4日続伸、終値ベースで23,000円台を回復

2019年11月8日の日経平均株価の終値は、前日より61円55銭高の23,391円87銭となり、4日連続で年初来高値を更新しました。終値ベースで23,000円を回復したのは、2018年10月10日以来です。

日本の株式市場は先週、4日が文化の日の振替休日で休場。三連休明けの5日から大幅反発すると、終値ベースで23,251円となりました。1日に発表された10月の米雇用統計が市場予想を上回ったことから、ダウ工業株30種平均が前日比300ドル69セント高と大幅に上昇し、さらに日本が休場の4日にも続伸して過去最高値を更新。日経平均も連れ高となりました。

背景には米中の通商交渉があります。10月中旬に暫定合意しましたが、実際に署名される場所が決まったとの報道もあり、交渉進展への期待が広がりました。

今週の展開はどうなるでしょうか。日本株にとって環境は悪くありません。ダウ平均は8日も小幅に続伸し、前日比6ドル44セント高の27,681ドル24セントと、過去最高値を更新しましました。日経平均も買われる展開になることが期待できます。

さらに日本株にとって心強いのは、為替が円安傾向にあることです。8日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は1ドル=109円20~30銭で取引を終えています。

ただ、米中の通商交渉進展への期待が高まる一方で、トランプ米大統領が今後どのような言動に出るかは、なかなか予想しづらいところです。トランプ氏は「署名が近い」と語る一方で、8日には中国との関税撤廃合意を否定しています。

今週の相場で注目すべきイベントの一つは、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が経済見通しに関する米議会証言を13日、14日に行うことです。

今後の利下げについては当面打ち止めというのが市場の見方ですが、かといって利上げ再開となると市場の不安を誘います。トランプ氏は依然として金融緩和への圧力を強めていることからも、パウエル氏の証言の内容に注目が集まりそうです。

中期的にも上昇トレンドへ。バブル後最高値をうかがう動き

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。中期的なトレンドを見ると、8月上旬から9月上旬に20,000円付近で底を付けてから、10月上旬に押し安値を付けてその後は順調に上昇しています。

足元では5日移動平均線に下値をサポートされて上昇する力強い動きです。11月1日に5日線を割り込むような形になりましたが、これは心理的な節目である23,000円にタッチしたことから、利益確定売りが出たことによるものと考えられます。

その後の展開としては、再度23,000円を回復する場合と、23,000円で上値を押さえられて反落したりもみ合ったりする場合がありますが、実際には週初から窓をあけて上昇し、大きな陽線となって、すぐに23,000円台を回復しました。

今後の展開はどうなるでしょうか。足元の力強い動きを見ると、23,000円台という一段上のステージに上がったと見ることができます。チャートの形もよく、日足などの短期的なトレンドだけでなく、週足など中期的なトレンドについても、13週移動平均線が26週移動平均線を下から上に抜けるゴールデンクロスが形成されました。

短期的なトレンドより中期的なトレンドのほうが力が強く、中期的なトレンドより長期的なトレンドのほうが力が強い(投資家の勢力が強い)わけですから、その流れに乗っていくべきでしょう。

これまで、上値メドとして、2018年10月2日に付けた24,270円(終値ベース)を何度か紹介してきました。この金額はバブル後最高値です。このあたりの突破も視野に入ってきました。ここを回復するようであれば、相場の潮目が大きく変化すると期待されます。

下原 一晃