3. 雪囲いや雪下ろしの費用は、除雪費ではなく住宅維持費で認定される
豪雪地帯の雪の費用には、除雪費のほかに住宅維持費で扱うものがあります。実施要領は、除雪費の対象から「雪囲い、雪下ろし等に要する費用」を除くと明記しています。
3.1 家屋の損壊を防ぐ雪囲いや雪下ろしは一冬期間ごとに認定
雪囲いや雪下ろしをしなければ家屋が損壊するおそれがある場合、その費用は住宅扶助の補修費等住宅維持費として、一冬期間につき住宅維持費の基準額の範囲内で認定できます。
住宅維持費の基準額は、1級地と2級地で年額13万6000円以内です。2026(令和8)年4月施行の改正で13万5000円から引き上げられました。
3.2 通路の雪は除雪費、屋根の雪は住宅維持費と分かれる
除雪費が対象にするのは、日常生活に必要な通路や避難路を確保するための除排雪です。屋根の雪下ろしのように家屋を守るための作業は、住宅維持費の側で扱われます。
どちらも福祉事務所が必要と認めて初めて認定されるので、作業を頼む前に、どちらの費用にあたるかを担当者に確かめておくと手続きが進めやすくなります。
4. 世帯人員が増えると、冬季加算の月額も増える
冬季加算の月額は、地区区分に加えて世帯人員でも決まります。加算期間の長いⅠ区とⅡ区について、1人から5人までの額を並べました。
【Ⅰ区(北海道・青森県・秋田県)】
- 1人:1万2780円
- 2人:1万8140円
- 3人:2万620円
- 4人:2万2270円
- 5人:2万2890円
【Ⅱ区(岩手県・山形県・新潟県)】
- 1人:9030円
- 2人:1万2820円
- 3人:1万4570円
- 4人:1万5740円
- 5人:1万6170円
厚生労働省が2026年10月7日に公表した被保護者調査(令和8年7月分概数)では、保護停止中を除く163万5284世帯のうち、高齢者の単身世帯が84万4423世帯で51.6%を占めました。高齢者の単身世帯では、冬季加算は世帯人員1人の欄の額が当てはまります。
5. 生活保護の除雪費を相談するときに確かめたい2つのこと
除雪費は特別基準として扱われる費用なので、通常の保護費とは認定の考え方が違います。相談の前に、次の2点を押さえておくと話が進めやすくなります。
5.1 市町村の除雪支援など、ほかの制度が先に検討される
実施要領は、特別基準の費用を認定する前に、その需要を満たす他法他施策による給付がないかを事前に検討するよう定めています。市町村や社会福祉協議会の除雪支援が使える場合は、その活用が先になります。
親族などから臨時の援助を受けられないかも、あらためて調べられます。
5.2 必要最小限度の額が、冬季加算認定期間の範囲で認定される
特別基準の費用は、必要最小限度の額を認定する扱いです。業者に頼む場合は、作業の範囲と費用の見積もりをそろえて相談すると、必要な額を示しやすくなります。
上限の3万4000円は冬季加算認定期間ごとの額なので、Ⅰ区・Ⅱ区なら10月から4月、Ⅲ区・Ⅳ区なら11月から4月のひと冬を通じた範囲になります。
6. 除雪費・冬季加算・住宅維持費の違いを押さえておく
冬季加算は、地区区分と世帯人員に応じて毎月の保護費に上乗せされる額です。除雪費は豪雪地帯で通路や避難路の除排雪ができない場合に冬季加算認定期間ごとに3万4000円の範囲で、雪囲いや雪下ろしは住宅維持費の範囲で、それぞれ必要に応じて認定されます。
雪の多い地域で暮らしていて除排雪に困ったときは、作業を頼む前に福祉事務所の担当のケースワーカーに相談してください。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」
- 厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」
- 厚生労働省「生活保護制度」
鶴田 綾