自動車税をクレジットカードで払うと、東京都の場合、納付1回ごとにシステム利用料がかかります。1万円までは税込で40円、2万円までは123円、3万円までは205円、4万円までは288円、5万円までは370円です(地方税共同機構、2026年10月時点)。
スマートフォン決済アプリで払う場合、バーコード読み取り方式は決済手数料がかかりません。ただし、車検が近い人は、納税証明の発行までに時間がかかる点に、注意が必要です。東京都は、車検が近い人には、金融機関やコンビニエンスストアの窓口での納付を案内しています。
この記事では、前半でこの疑問に、東京都主税局と地方税共同機構の公表資料、編集部の試算で答えます。後半では、手数料の試算、スマホ決済の方式の違い、納税証明の時期を、順に整理します。個別のカードやアプリの還元率は、各社の公式の案内で確認してください。
1. 想定される疑問:自動車税を、ポイントがたまる方法で払いたい。クレジットカード払いは手数料で損しないか。車検が来月だが、間に合うか
「自動車税を、ポイントがたまる方法で払いたいと思っています。クレジットカードは、手数料がかかると聞きました。損をしませんか。来月に車検があるのですが、スマホ決済で払っても、車検に間に合いますか」。この疑問は、編集部が想定したもので、実際の問い合わせではありません。
同じ迷いは、ポイントを意識して税金を払う人に、当てはまりえます。答えは、次の3点です。
- クレジットカードは、システム利用料が納付1回ごとにかかります。税額が3万500円なら288円で、還元率が約0.94%以上ないと、手数料のほうが大きくなります(編集部試算)。スマホ決済のバーコード読み取り方式は、決済手数料がかかりません(東京都)
- 車検が近い人は、納税証明の発行時期に注意が必要です。バーコード読み取り方式は納付日の約1週間後から、QRコード読み取り方式は約1か月後から発行できます。東京都は、車検が近い人には、金融機関やコンビニエンスストアの窓口での納付を案内しています
- スマホ決済とクレジットカードでは、領収証書は発行されません。領収証書が必要な場合は、金融機関等の窓口やコンビニエンスストアで納めます(東京都)
2. 書く前に確認したい3つの「もし」を、東京都の資料で確認
読者の方が気にしそうな「もし」を、東京都主税局の資料で確認します。いずれも、ご自身の扱いを確定するものではありません。
- もし、家族名義の車なら:東京都は、納税義務者本人の使用するスマートフォン決済アプリでなくても、納付できるとしています。ただし、スマホ決済は、支払手続きが完了すると取消しができません。クレジットカードでの扱いは、東京都のQ&Aで確認してください(クレジットカードも、家族名義の都税を、自分名義のカードで支払える旨の案内があります)
- もし、納期限を過ぎていたら:クレジットカードは、納期限が過ぎた納付書でも、支払手続きが可能です。ただし、納付書発行から3年が経過した納付書は、利用できません。延滞金が発生した場合は、後日、延滞金のみの納付書が送られます
- もし、分割で払いたいなら:クレジットカードは、一括払い、分割払い、リボ払いを選べます。分割払いは、3回、5回、6回、10回、12回です。2回払いとボーナス払いは、取り扱っていません。分割払いやリボ払いは、カード会社の手数料が別にかかる場合があります
ここからは、この答えの前提になる仕組みを、順に確認します。クレジットカードの手数料、手数料負けしない還元率の試算、スマホ決済の方式の違い、納税証明の時期の順です。
3. クレジットカードのシステム利用料:納付1回ごとにかかり、税額が1万円増えるごとに段階的に上がる
東京都主税局のQ&Aによると、システム利用料は、eLお支払サイトでクレジットカードで地方税を支払う際に、納付手続き1回ごとに必要になる手数料です。1万円までは37円(消費税別)、以降1万円ごとに75円(消費税別)がかかります。
地方税共同機構のページでは、税込の金額で表が示されています。納付金額が1円から1万円は40円、1万1円から2万円は123円、2万1円から3万円は205円、3万1円から4万円は288円、4万1円から5万円は370円です。以降、納付額1万円ごとに、75円(消費税別)が加算されます。
クレジットカード納付は、機構指定納付受託者による、立替払いの仕組みです。都が案内する納付日は、納税者が支払手続きを完了した日です。ただし、その日が確定するのは、立替払いが行われた後で、支払手続きから一定期間後になります。
3.1 【クレジットカード納付のシステム利用料(税込):納付金額別】
前提条件:地方税共同機構「ご利用可能なお支払い方法」の表(eLお支払サイトでクレジットカードを使う場合)を、編集部が整理したもの。表は5万円までで、以降は納付額1万円ごとに75円(消費税別)が加算される。ほかに、分割払いやリボ払いではカード会社の手数料がかかる場合がある1/2
出所:地方税共同機構「ご利用可能なお支払い方法」を基にLIMO編集部作成
- 1円から1万円:40円です。
- 1万1円から2万円:123円です。
- 2万1円から3万円:205円です。
- 3万1円から4万円:288円です。
- 4万1円から5万円:370円です。
表を見ると、システム利用料は、納付金額の区分が1万円上がるごとに、およそ82円から83円ずつ増えています。金額は区分ごとの定額なので、同じ区分の中では、税額が高いほど、割合は小さくなります。
4. 手数料負けしない還元率は、税額3万500円で約0.94%。税額が区分の上限に近いほど、有利になる
システム利用料を、自動車税の年額に当てはめて、手数料負けしない還元率を試算しました。令和元年10月1日以後に初回新規登録をした自家用の乗用車で、1リットル以下は2万5000円、1リットル超1.5リットル以下は3万500円、1.5リットル超2リットル以下は3万6000円です。
2リットル超2.5リットル以下は4万3500円、2.5リットル超3リットル以下は5万円です。たとえば3万500円は、3万1円から4万円の区分で、システム利用料は288円です。288円を3万500円で割ると、約0.94%になります。
これより還元率が低いカードで払うと、ポイントよりシステム利用料のほうが大きくなります。3万6000円は、同じ区分で288円のため、損益分岐は0.8%です。区分の上限に近い税額ほど、割合は小さくなります(編集部試算)。
4.1 【自動車税をクレジットカードで払う場合の損益分岐:税額別の試算】
前提条件:令和元年10月1日以後に初回新規登録をした自家用の乗用車の自動車税の年額に、地方税共同機構のシステム利用料(税込)を当てはめた編集部の試算。還元率はカードによって違い、公式の資料はない。分割払いやリボ払いの手数料は含まない2/2
出所:地方税共同機構「ご利用可能なお支払い方法」を基にLIMO編集部試算
- 1リットル以下(電気自動車を含む):年額2万5000円で、システム利用料は205円です。損益分岐の還元率は約0.82%で、還元率1%なら45円の得です。
- 1リットル超から1.5リットル以下:年額3万500円で、システム利用料は288円です。損益分岐の還元率は約0.94%で、還元率1%なら17円の得です。
- 1.5リットル超から2リットル以下:年額3万6000円で、システム利用料は288円です。損益分岐の還元率は0.8%で、還元率1%なら72円の得です。
- 2リットル超から2.5リットル以下:年額4万3500円で、システム利用料は370円です。損益分岐の還元率は約0.85%で、還元率1%なら65円の得です。
- 2.5リットル超から3リットル以下:年額5万円で、システム利用料は370円です。損益分岐の還元率は約0.74%で、還元率1%なら130円の得です。
表を見ると、還元率1%のカードでも、得になる金額は、17円から130円です。還元率が0.5%のカードなら、どの区分でも、システム利用料のほうが大きく、手数料負けになります(編集部試算)。ポイントを重視する場合は、手数料との差を、先に計算しておくと確実です。
5. 【編集者の視点】
今回、公式の資料を並べて読んでいちばん意外だったのは、手数料が、税額に比例せず、1万円ごとの区分で決まる点です。たとえば、3万円ちょうどの税額と、3万1円の税額で、システム利用料が205円から288円に、83円上がります。
そのため、「還元率が高いから得」と思い込んで、税額と区分を確かめずに払うと、思ったほど得にならないことがあります。ただし、実際の還元率やポイントの条件は、カード会社が決めています。払う前に、カード会社の案内で確認してください。
この記事は、特定の払い方を勧めるものではありません。手数料や手続きは、改定されることがあります。必ず、東京都主税局や地方税共同機構の最新の案内と、カード会社の案内を確認してください。
「税金をカードで払うと、ポイントがたまってお得」と、聞いたことがある方は多いと思います。ただ、手数料がかかる仕組みを知らずに払うと、思ったほどお得にならないこともあります。払う前に、手数料の金額を、一度、確かめてみてください。
スマホ決済は、アプリを開いて、バーコードを読み取るだけなので、手軽に感じる方が多いと思います。ただ、支払手続きを完了すると、取消しができません。納付書の金額と、納付先の税目を、読み取ったあとの画面で、一度、見直してから、進めてみてください。
6. スマートフォン決済:バーコード読み取り方式は決済手数料なし。QRコード読み取り方式は、アプリ事業者に確認
東京都のQ&Aによると、スマートフォン決済アプリで都税を納付する場合、バーコード読み取り方式は、決済手数料がかかりません。QRコード読み取り方式は、決済手数料について、各アプリ事業者への問い合わせが必要です。
納付書1枚あたりの合計金額が30万円を超えると、バーコードが印字されず、バーコード読み取り方式は使えません。この合計金額には、延滞金と加算金も含まれます。納期限が過ぎた納付書でも、スマホ決済アプリで納付できます。
バーコード読み取り方式の対応アプリは、au PAY、d払い、PayB、PayPay、モバイルレジ、楽天銀行アプリ、楽天ペイです。J-Coin Payは、令和8年8月31日で、バーコード読み取り方式のサービスを終了しました。eL-QR読み取り方式は、引き続き利用できます。
ポイントが付与されるかどうかは、利用するアプリや利用方法によって違います。東京都は、各アプリ事業者に問い合わせるよう案内しています。PayPayは、令和5年4月から、税金の支払いに使える残高が、PayPayマネーのみになりました。PayPayマネーを使うには、本人確認が必要です。
7. 車検が近い人は要注意:納税証明は、バーコード方式で約1週間後、QR方式やクレジットカードでは約1か月間は未納表示
東京都のQ&Aによると、スマホ決済のバーコード読み取り方式は、納付日の約1週間後から、納税証明が発行できます。QRコード読み取り方式は、約1か月後からです。納付手続きの直後から1か月間程度は、納付金額が未納と表示され、納付の委託が行われている旨のただし書きが付いた、納税証明が発行されます。
クレジットカード納付も、同じ仕組みです。納税証明は、手続き直後から取得できますが、立替払いが行われるまでの約1か月間は、未納として発行されます。車検を受ける運輸支局等で、納付確認が電子的にできるようになるまでは、支払手続きの完了日から1週間程度かかります。
そのため、東京都は、スマホ決済で、すぐに車検用の納税証明が必要な方や、車検が近い方には、金融機関やコンビニエンスストア等の窓口での納付を案内しています。車検時の納税証明は、電子的な確認で、提示を省略できる場合もあります。
7.1 【自動車税の納付方法:手数料・車検用の納税証明・領収証書の違い】
- クレジットカード:システム利用料が、納付1回ごとにかかります。運輸支局での電子確認まで、支払手続きの完了日から1週間程度で、納付後の約1か月間は、納税証明が未納表示です。領収証書は発行されません。
- スマホ決済(バーコード読み取り方式):決済手数料はかかりません。納付書1枚の合計が30万円までで、納付日の約1週間後から、納税証明が発行できます。領収証書は発行されません。
- スマホ決済(QRコード読み取り方式):決済手数料は、各アプリ事業者に確認します。納付日の約1か月後から納税証明が発行でき、直後から1か月程度は未納表示です。領収証書は発行されません。
表を見ると、3つの方法はいずれも、領収証書が発行されません。また、手数料の有無や、納税証明の時期は、方法で違います。車検が近い人は、手数料や還元率よりも先に、車検の日程から逆算する必要があります。
8. 【編集者の視点】
今回、東京都のQ&Aを読んで気づいたのは、「納付日」と「納税証明が使える日」が、別の日になる点です。クレジットカードやQRコード読み取り方式は、支払手続きを完了した日が納付日でも、納付金額が確定するまで、約1か月かかります。
そのため、車検の日程が決まっている人は、ポイントの得だけで払い方を選ぶと、車検の直前に、納税証明が間に合わないおそれがあります。ただし、車検時は、運輸支局で電子的に納付確認ができる場合もあるため、日程は、整備工場や、検査を受ける運輸支局に確認してください。
具体的な扱いは、都道府県で違うことがあります。この記事は、東京都の資料を基にした、2026年10月時点で確認できた範囲の整理です。迷ったときは、必ず、管轄の都道府県税事務所に確認してください。
払ったあとに、領収印のない納付書が手元に残るので、「まだ払っていない」と勘違いして、二重に払ってしまう方もいるかもしれません。東京都も、二重払いにならないよう注意を呼びかけています。払ったら、納付書に日付を書いておくなど、自分なりの目印を付けておくと安心です。
※本記事は、編集部が東京都主税局と地方税共同機構の公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
9. まとめ
自動車税をクレジットカードで払うと、納付1回ごとにシステム利用料がかかります。東京都で、税額が3万500円なら288円で、還元率が約0.94%以上ないと、手数料のほうが大きくなります。スマホ決済のバーコード読み取り方式は、決済手数料がかかりません。
スマホ決済とクレジットカードは、領収証書が発行されません。車検が近い人は、納税証明の発行時期に注意が必要です。バーコード読み取り方式は約1週間後、QRコード読み取り方式とクレジットカードは、約1か月間は未納表示です。
東京都は、車検が近い人には、金融機関やコンビニエンスストアの窓口での納付を案内しています。個別の判断は、管轄の都道府県税事務所と、カード会社やアプリ事業者に確認してください。
10. よくある質問
10.1 Q. 自動車税を、クレジットカードで払うと、手数料はいくらですか?
納付1回ごとにシステム利用料がかかります。税込で、1万円までは40円、2万円までは123円、3万円までは205円、4万円までは288円、5万円までは370円です(地方税共同機構)。
10.2 Q. 還元率が何%以上なら、手数料負けしませんか?
税額が3万500円なら、288円を税額で割った、約0.94%が目安です(編集部試算)。税額が違うと、損益分岐の還元率も変わります。
10.3 Q. スマホ決済に、手数料はかかりますか?
バーコード読み取り方式は、決済手数料がかかりません。QRコード読み取り方式は、各アプリ事業者に確認します(東京都)。
10.4 Q. 領収証書は、発行されますか?
クレジットカードとスマホ決済では、発行されません。必要な場合は、金融機関等の窓口やコンビニエンスストアで納めます(東京都)。
10.5 Q. 車検が近いのですが、スマホ決済で間に合いますか?
東京都は、車検が近い方には、金融機関やコンビニエンスストア等の窓口での納付を案内しています。バーコード読み取り方式は、納税証明の発行まで約1週間かかります。
10.6 Q. クレジットカードは、分割払いにできますか?
3回、5回、6回、10回、12回の分割払いと、リボ払いを選べます。2回払いとボーナス払いは、取り扱っていません。カード会社の手数料が、別にかかる場合があります(東京都)。
10.7 Q. J-Coin Payは、使えますか?
バーコード読み取り方式のサービスは、令和8年8月31日で終了しました。eL-QR読み取り方式は、引き続き利用できます(東京都)。
10.8 Q. 納期限を過ぎても、カードで払えますか?
支払手続きは可能です。ただし、納付書発行から3年が経過した納付書は、利用できません。延滞金は、後日、別の納付書で送られます(東京都)。
参考資料
齊藤 慧