年金の振込通知書を開いて、所得税が差し引かれていることに気づいた人もいるでしょう。受け取る年金の額が同じでも、天引きの計算が変われば手元に残るお金は動きます。

日本年金機構によると、2027年2月に支払われる年金から、源泉徴収で差し引く基礎控除の額が引き上げられます。同じ回から、防衛特別所得税の源泉徴収も始まります。

この記事では、公的年金のしくみと2026年度の年金額をおさらいし、厚生年金を月15万円以上受け取っている人の割合を確かめます。最後の章では、2月15日の支払分から変わる天引きの計算を、試算を交えて解説します。

1. 【公的年金のしくみ】国民年金と厚生年金の「2階建て」

受給額の分布を見ていく前に、公的年金がどう組み立てられているかを押さえておきましょう。日本の公的年金は、すべての人の土台になる国民年金と、その上に重なる厚生年金の2層でできています。

国民年金は20歳以上60歳未満の全員が、厚生年金は会社員や公務員などが重ねて加入する1/3

公的年金の2階建ての図。1階は第1号被保険者(自営業・学生など)、第2号被保険者(会社員・公務員など)、第3号被保険者(第2号被保険者に扶養される配偶者)の全員が入る国民年金(老齢基礎年金)。2階は第2号被保険者だけが入る厚生年金(老齢厚生年金)

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとにLIMO編集部作成

1.1 1階:国民年金(基礎年金)

  • 入る人:日本に住む20歳以上60歳未満の人は、原則として全員
  • 保険料:所得にかかわらず定額で、年度ごとに改定される(※1)
  • 受け取る額:480カ月すべて納めると、65歳から満額の老齢基礎年金(※2)を受け取れる。納めていない月があれば、そのぶん満額から減る

※1 2026年度の国民年金保険料:月額1万7920円
※2 2026年度の老齢基礎年金の満額:月額7万608円(1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの人は月額7万408円)

1.2 2階:厚生年金

  • 入る人:会社員や公務員のほか、特定適用事業所(※3)で一定の条件を満たして働くパートやアルバイトの人。国民年金に重ねて加入する
  • 保険料:給与や賞与の額に応じて決まり、上限がある(※4)
  • 受け取る額:加入していた期間と、その間に納めた保険料によって一人ひとり異なる

※3 1年のうち6カ月以上、厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除き、共済組合員を含む)の総数が51人以上になると見込まれる企業など
※4 標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(1回あたり上限150万円)に保険料率をかけて計算する

国民年金は保険料が定額なのに対し、厚生年金は収入が多いほど保険料も年金額も大きくなります。どちらの制度に、どれだけの期間加入していたか。その違いが、老後に受け取る年金額の差になって表れるのです。

もうひとつ押さえておきたいのが、年金額は毎年度見直されるという点です。物価や現役世代の賃金の動きに合わせて改定されるため、一度決まった額がそのまま続くわけではありません。