ビジネス環境での性別によるハンディキャップ
男性は、話を聞かない、察しない。女性は、地図が読めない、説明しない。男女の違いをテーマとした本は、みなさんも一度は手にしたことがあるのではないでしょうか。男性と女性の脳や行動の違いについては、これまでに多くの研究や議論が重ねられてきました。
性別の違いによるビジネスシーンでのメリット・デメリットについても様々な研究結果が発表されています。しかし、その結果は、女性にとって必ずしもよいものではありません。
たとえば、ビジネスで成功するために「情報交換」は欠かせないツールのひとつですが、いまだ男性社会の印象の強いビジネス界では、女性は情報収集において不利な立場に立たされていると言われています。
人は自分と似た属性を持つ人とつながりやすいことを説くホモフィリー理論という概念があります。つまり、男性は男性から、女性は女性からと、人は異性からよりも同じ性別からの方が情報を引き出しやすいという分析がなされています。
このようなことから、男性が多くを占める銀行業や投資事業においても、一般的に女性は男性と比較して情報不足などの理由から、投資を受けにくい、融資を得にくいなどのハードルが存在すると言われています。
女性がビジネス界で成功するための手法
では、金融市場で活躍する人の多くが男性である限り、ビジネスの世界で女性が成功するためには、女性は男性の何倍もの努力をしなければならないのでしょうか。近年の調査によると、必ずしもそうではないかもしれません。
女性は女性ならではの強みを生かすことで、男性と同じ、あるいは男性よりも優位なポジションで、ビジネスの土俵に立つことができるかもしれないことを示唆する調査結果が発表されています。
たとえば、有能な女性リーダーは、部下を育成する上で「アメとムチ」を使うのではなく、組織のミッションを明確にし、各部下がこれに向かって活動ができるよう一人ひとりのモチベーションを高めて行く「啓蒙」の手法をとる傾向にあると主張する研究者もいます。
性別から見るクラウドファンディング成功率
今年、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが、クラウドファンディングに関する興味深い発表を行いました。それは、クラウドファンディングにおいては、男性よりも女性の方が成功を収めやすい、というものです。
この調査によると、クラウドファンディングサイトを利用した約9,000の中小企業の中では、男性事業者よりも女性事業者の方がより多くの資金を調達できたとのことです。研究チームはその理由を、女性の方が男性よりも、投資家に対してストーリーを伝えることを得意とする傾向が強いためと分析しています。
女性は自らのビジネスを第三者に伝える際に、ポジティブな言葉を使用したり、投資家との良好な関係を築くなどの気遣いをしたりする一方で、男性はドライなビジネス用語を使用する傾向にあったとのことです。
また、フェイス・トゥ・フェイスでの対話の場合は、女性はステレオタイプなイメージを抱かれる場合も多い中、事業者と投資家が直接顔を合わせる機会の少ないインターネット上のクラウドファンディングでは、性別によるステレオタイプな判断が薄れるとのことです。
クラウドファンディングでの成功の鍵は女性的特性
クラウドファンディングは、ファンドレイジングにおけるジェンダー格差を是正するものとしても注目されています。つまり、女性にとってクラウドファンディングは、ビジネスアイデアをアピールする上で有利な環境であるようです。
これは投資家の性別に関わらず、男女共に女性の事業に投資する確率が高いようです。投資家の皆さんも、これからは投資先の事業が女性によるものか、男性によるものかを意識されてみてはいかがでしょうか。
参考:
Forbes (2016) The Rise Of Investment Crowdfunding
Berkely Hass (2016) Women Have the Edge in Crowdfunding
入山章栄 (2014) ユニクロに学ぶ「儲かるダイバーシティ」
入山章栄 (2014) 男性より女性の方が、「革新的リーダー」になりやすい
外務省 (2015) 安倍総理主催「女性が輝く社会」づくりのための夕食会
【2016年4月12日 クラウドクレジット】
■参考記事■
>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント
クラウドクレジット