高齢者になって資産が増える要因のひとつに退職金があるでしょう。厚生労働省が公表した「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職給付(一時金・年金)制度があると答えた企業の割合は80.5%にのぼります。

勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に支給された額は、「大学・大学院卒(管理・事務・技術職)」1,983 万円、「高校卒(管理・事務・技術職)」1,618 万円、「高校卒(現業職)」1,159 万円でした。退職金を老後の資金として貯蓄に回すことを考えれば、貯蓄額が増えるのも納得できますね。

50代以降の日本人は何に投資しているの?

では、実際に余裕が出てきた50代以上の人たちは、どのような方法で資産運用をしているのでしょうか。2018年11月9日に金融広報中央委員会の「知るぽると」が発表した、「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]平成30年調査結果」を見てみましょう。(表「種類別金融商品保有額(金融資産保有世帯)」を参照)

「種類別金融商品保有額(金融資産保有世帯)」(出典:知るぽると[金融広報中央委員会])

どの年代においても、預貯金が最も多い割合を占めていることがわかります。70歳以上の場合は、金融商品保有額の半分以上が預貯金となっています。また、70代以上になると、生命保険や個人年金保険の金額が減っていくことがわかります。

新社会人になったら資産形成をスタート。その方法は?

貯蓄や資産運用は高齢になってからでいいと考えてしまうかもしれませんが、若いうちにお金を貯める習慣を身につけておくことは非常に大切です。高齢になってから新しい習慣や考え方を習得するのは簡単ではないからです。まずは、自然にお金が貯まる仕組みを生活に取り入れるところから始めるのはどうでしょう。たとえば、下記のようなものが挙げられます。

先取り貯金

先取り貯金とは、給与が出たタイミングで一部を預金用の口座に移してしまう方法です。誰でもすぐに始められる手軽なやり方ですが効果は抜群です。銀行の自動入金サービスを使えば、毎月給与口座から特定の口座に自動的にお金を移せます。手数料が無料になるケースも増えているので賢く利用しましょう。

非課税枠を利用した資産運用

通常、資産運用で利益が出ると約20%の税金がかかります。ところが、「iDeCo」や「NISA」、「つみたてNISA」なら掛け金に上限はあるものの、そこから生じた利益には一切税金がかかりません。

iDeCo

個人型確定拠出年金「iDeCo」は原則60歳まで解約することができませんが、逆に解約できないからこそ老後資金を形成するのにうってつけです。掛金の上限は職業によって異なります。例えば自営業ならば月額6万8,000円が上限になっています。掛け金や資産運用で発生した利益はすべて非課税。60歳になってお金を受け取る際には退職所得控除や公的年金控除が使えます。

NISA

「NISA」の特徴には、株式や信託などのリスク商品が選びやすいことがあげられます。随時入金も可能です。新規投資なら年間で120万円までの掛け金に対して運用益が非課税で、非課税期間は最長5年です。非課税の期間が終了しても、翌年の非課税投資枠に移すことができます。

つみたてNISA

「つみたてNISA」とは一定のサイクルで掛け金を積み立てていく仕組みで、年間40万円までの掛け金の運用益が非課税です。非課税期間は最長20年間。金融庁の条件を満たした投資信託のみが対象になっています。例えば販売手数料が無料で信託報酬も低い商品、頻繁に分配金が支払われない商品などです。そのため安定的な運用が可能となります。

財形貯蓄

財形貯蓄は、会社側が毎月決まった金額を従業員の給与から天引きして貯蓄に回す方法です。会社が従業員の資産形成をサポートする仕組みで、一般財形貯蓄と財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3つの種類があります。財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄を合わせた元利合計が550万円以下なら、基本的に利子が非課税になるのもメリットです。会社に財形貯蓄制度がある人は積極的に利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

キャリアアップのための転職が当たり前になっている現在では、まとまった退職金を貰えるほうがレアケースかもしれません。その分、若いうちから個人年金や資産運用で老後資金を作っておくという意識が大切になってきます。

幸い若いうちに始めれば、時間を味方にすることもできます。ここで紹介した貯蓄や運用の方法を踏まえて、自分の状況に合った運用方法をキャッチできるように、今後もアンテナを張り巡らせておきましょう。

【参考】
「金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について」金融庁
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)」総務省統計局
「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」厚生労働省
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]平成30年調査結果」知るぽると

LIMO編集部