3. 【早期退職の募集に応じたら?】応募認定退職は自己都合退職より割増しに
定年より前に辞める場合でも、早期退職の募集に応じたときは、自己都合退職とは扱いが変わります。
3.1 国家公務員の早期退職募集制度とは?応募して認定されると退職金は割増し
内閣人事局の「早期退職募集制度について」によると、この制度に基づく退職は、平成25年11月1日からできるようになりました。各省各庁の長などが、勤続年数や職位といった応募の条件を決めて募集を行い、応募した職員が認定を受けて指定された日に退職すると、退職手当の金額は自己都合退職した場合よりも割増しされます。
令和6年度の「退職手当の支給状況」では、応募認定で退職した常勤職員は1859人、平均支給額は2470万3000円、平均の勤続年数は34年8月でした。
応募認定で退職した人の平均の勤続年数は34年8月で、自己都合退職の9年10月より長くなっています。早期退職のメリットは退職手当が割増しされることですが、一方で、定年まで勤めていれば受け取れた給与は受け取れなくなるというデメリットもあります。募集に応じるかどうかは、退職手当の金額だけでなく、その後の収入の見通しもあわせて考えることが大切です。
3.2 引上げ前の定年を過ぎて辞めると「定年退職」とみなして計算(令和5年4月以降・当分の間)
また、「国家公務員の退職手当制度の概要」によると、令和5年4月1日以降、当分の間は、引上げ前の定年に達した日以後に、本人の非違によることなく退職した場合、退職の理由を「定年退職」とみなして計算します。
定年より前に辞めるといっても、自分から辞めるのか、募集に応じるのか、引上げ前の定年を過ぎてから辞めるのかによって、退職手当の計算のしかたが変わります。同じ「途中で辞める」でも、退職の理由がどの区分にあたるかで支給率が変わるため、辞め方を考えるときは、退職の理由の区分もあわせて確かめておくことが大切です。
早期退職の募集は、各省各庁などがその都度条件を決めて行うものです。募集があるかどうかや条件は職場によって違うため、案内が出たときに内容を落ち着いて確かめられるよう、制度の仕組みを知っておくとよいでしょう。
ここまでをまとめると、令和6年度に自己都合で退職した国家公務員(常勤職員)の退職手当は平均345万4000円で、勤続年数別では、5年未満の30万7000円から40年以上の2218万2000円まで分かれています。退職手当は、退職した日の俸給月額に、退職の理由と勤続期間で決まる支給率などを掛けて計算されるため、勤続年数と辞め方の両方を知っておくことが、退職後のお金の見通しを立てる手がかりになります。
4. 【辞める前に】自分の勤続年数と退職の理由、これからの働き方を確かめる
国家公務員が定年より前に辞めるときに、まず確かめたいのは自分の勤続年数と俸給月額です。勤続年数がどの区切りにあたるかによって、自己都合退職の支給率や調整額の扱いが変わります。基本額は退職した日の俸給月額をもとに計算するため、今の俸給月額に早見表の支給率を掛けてみると、基本額のおおよその目安がつかめます。勤続年数と俸給月額の2つを押さえておくと、早見表の支給率を自分に当てはめて考えやすくなるでしょう。
次に、退職の理由がどの区分にあたるかを確かめます。自分から辞めるのか、早期退職の募集に応じるのか、引上げ前の定年を過ぎてから辞めるのかによって、支給率が変わります。早期退職の募集は、その都度条件が決められるため、案内が出たときは応募の条件をよく読んでおくことが大切です。辞め方によって支給率が変わることを知っておくと、辞める時期を選ぶときの判断の材料になるでしょう。
そして、退職手当を受け取ったあとの暮らしまで考えておきます。転職する場合は次の職場での収入や退職金の制度を、退職後に働かない期間がある場合はその間の生活費をどうまかなうかを、退職手当とあわせて書き出してみましょう。退職手当は、これからの働き方と家計の両方にかかわるお金です。キャリアの選択とマネープランを一緒に考えることで、辞める時期や辞め方を選ぶ手がかりが得られます。
実際の退職手当の金額は、調整額や基本額の特例などによっても変わります。自分の見込みを正確に知りたいときは、勤め先の担当部署に確かめておきましょう。
5. まとめにかえて
国家公務員が自己都合で辞めるときに受け取る退職手当は、何年勤めたかで大きく変わります。令和6年度の平均は345万4000円で、勤続10〜14年で287万円、20〜24年で940万円、30〜34年で1681万3000円です。退職手当は、退職した日の俸給月額に、退職の理由と勤続期間で決まる支給率などを掛けて計算されます。自分に近い勤続年数の区分の数字を、目安にするとよいでしょう。
早期退職の募集に応じた場合は自己都合退職より割増しされ、令和5年4月1日以降は当分の間、引上げ前の定年に達した日以後に本人の非違によることなく辞めた場合は、定年退職とみなして計算されます。
ただ、退職のタイミングは、退職手当の金額だけで決めるものではありません。新しい仕事でやりたいことや収入の見通し、家族の状況など、さまざまなことが関わります。退職手当の基本額の目安を出しておくと、そうした選択を数字の面からも考えやすくなります。
退職手当を受け取ったら、すぐに使い道を決めるのではなく、次の収入が安定するまでの生活費や、これからに向けた貯蓄などに分けて考えておくと、お金の流れを整理しやすくなります。退職手当を、これからの暮らしを支える土台のひとつとして考えてみてください。
参考資料
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 内閣官房内閣人事局「国家公務員の退職手当制度の概要」
- 内閣官房内閣人事局「国家公務員退職手当支給率早見表(平成30年1月1日以降の退職)」
- 内閣官房内閣人事局「早期退職募集制度について」
宮野 茉莉子
