国家公務員の退職金にあたる退職手当は、定年まで勤めた場合だけでなく、途中で自分から辞めた場合にも支払われます。内閣官房内閣人事局の「退職手当の支給状況」によると、令和6年度中に自己都合で退職した国家公務員(常勤職員)は9951人で、退職手当の平均支給額は345万4000円でした。退職した人の平均の勤続年数は9年10月です。
ただし、この平均には、勤続5年未満で辞めた人から40年以上勤めた人までが含まれています。退職手当は勤続年数によって大きく変わるため、自分に近い勤続年数の数字を見ておくことが大切です。転職や家庭の事情などで、定年より前に辞めることを考えている方にとっては、退職手当がいくらになるのかは、次の暮らしを組み立てるうえで欠かせない情報になるでしょう。
本記事では、自己都合退職の平均支給額を勤続年数ごとの一覧表で確かめます。あわせて、退職手当の計算のしかたと支給率の早見表、早期退職の募集に応じた場合の扱いも解説します。
1. 【国家公務員の退職金一覧表】自己都合退職は勤続20〜24年で平均940万円
内閣人事局の「退職手当の支給状況」から、令和6年度中に自己都合で退職した常勤職員の退職手当の平均支給額を、勤続年数ごとに並べると次のとおりです。
1.1 【勤続年数別】国家公務員が自己都合で退職したときの退職金の平均
- 勤続5年未満:30万7000円(4489人)
- 勤続5〜9年:96万9000円(2165人)
- 勤続10〜14年:287万円(1002人)
- 勤続15〜19年:538万5000円(657人)
- 勤続20〜24年:940万円(399人)
- 勤続25〜29年:1380万5000円(425人)
- 勤続30〜34年:1681万3000円(485人)
- 勤続35〜39年:2003万2000円(274人)
- 勤続40年以上:2218万2000円(55人)
自己都合で退職した人のうち、勤続5年未満は4489人、5〜9年は2165人で、合わせると6654人です。全体の平均支給額が345万4000円となっているのは、勤続10年未満で辞めた人が多く含まれているためと考えられます。
一覧表を見ると、勤続年数の区分が上がるごとに平均支給額が増えていることがわかります。とくに勤続15〜19年から25〜29年にかけては、1つ上の区分に移るごとに400万円以上増えています。次の章で見るように、支給率は勤続年数に応じて決まり、勤続年数が長いほど高くなる仕組み(自己都合退職は勤続43年以上で同じ率)になっているためと考えられます。
なお、平均支給額は、退職したときの俸給月額や、在職中にどの職員の区分にいたかによっても変わります。一覧表の数字は同じ勤続年数で辞めた人の平均なので、一人ひとりの金額とはずれることがある点に注意が必要です。自分の退職手当を見積もるときの目安として使うのがよいでしょう。
一覧表を読むときに気をつけたいのは、自己都合で退職した人の平均の勤続年数が9年10月で、勤続年数の短い人が多く含まれている点です。全体の平均だけを見るのではなく、自分と同じくらいの勤続年数の区分を見ると、より実感に近い目安になるでしょう。
1.2 定年退職は平均2160万1000円、早期退職(応募認定)は平均2470万3000円
同じ資料では、退職の理由ごとの平均支給額も示されています。定年退職は1万1073人で2160万1000円(平均の勤続年数は37年1月)、早期退職の募集に応じた「応募認定」は1859人で2470万3000円(同34年8月)です。退職の理由によって平均の勤続年数が大きく違うため、平均支給額を並べるときは、勤続年数もあわせて見ることが大切です。
また、常勤職員のうち行政職俸給表(一)が適用される職員に絞ると、令和6年度に自己都合で退職したのは2163人で、平均支給額は331万5000円、平均の勤続年数は10年2月です。勤続年数別では、20〜24年で920万9000円、30〜34年で1560万9000円となっています。どの俸給表が適用されるかによっても平均支給額は変わるため、自分に近い区分の数字を目安にするとよいでしょう。
2. 【なぜ勤続年数で変わる?】基本額は「俸給月額×支給率」で計算、自己都合の支給率早見表
2.1 国家公務員の退職金の計算方法は「基本額+調整額」
内閣人事局の「国家公務員の退職手当制度の概要」によると、退職手当は、基本額と調整額を足して計算します。基本額は、退職した日の俸給月額に、退職の理由と勤続期間ごとに決まった支給率と調整率を掛けたものです。調整額は、在職中の職員の区分に応じて決まる月ごとの金額のうち、多いものから60か月分を合計したものです。
調整額にも、自己都合退職ならではの決まりがあります。制度の概要によると、自己都合で退職した場合、勤続期間が9年以下なら調整額は支給されず、10年以上24年以下なら調整額は半分になります。
2.2 自己都合退職の支給率は勤続10年で5.022、20年で19.6695
同じ内閣人事局の「国家公務員退職手当支給率早見表(平成30年1月1日以降の退職)」で、調整率を掛けたあとの自己都合退職の支給率を見ると、勤続5年で2.511、10年で5.022、15年で10.3788、20年で19.6695、25年で28.0395、30年で34.7355、35年で39.7575です。基本額は俸給月額にこの支給率を掛けて計算するため、支給率は、俸給月額の何か月分にあたるかを表しています。
定年退職の場合の支給率は、同じ早見表で、勤続20年が24.586875、30年が40.80375です。同じ勤続年数でも退職の理由によって支給率が違う点は、辞め方を考えるうえでのポイントになります。
たとえば、退職した日の俸給月額が30万円の人が、勤続20年で自己都合退職した場合、基本額は30万円×19.6695で590万850円になります。同じ俸給月額30万円で勤続10年の場合は、30万円×5.022で150万6600円です。実際の退職手当は、これに調整額などが加わるため、これらの金額とは異なる点に注意が必要です。俸給月額と支給率の2つがわかれば、基本額のおおよその目安は自分でも計算できます。
早見表を見ると、自己都合退職の支給率は、勤続年数の区切りによって上がり方が変わることがわかります。たとえば勤続10年は5.022、11年は7.43256です。退職の時期を考えるときは、自分の勤続年数がどの区切りにあたるかも確かめておきたいところです。
支給率の早見表のメリットは、俸給月額がわかれば、辞める時期ごとの基本額の目安を自分で確認できることです。あと何年で勤続年数の区切りを越えるのかを確かめておくと、辞める時期を考えるときの材料になるでしょう。