総務省によると、自家用の軽四輪乗用の軽自動車税は、標準税率が年額1万800円です。ところが、新規検査から13年を経過した車には、約20%上乗せされた1万2900円が重課されます。松戸市の令和8年度の案内では、初度検査年月が平成25年3月31日以前の車が、令和8年度課税から重課の対象です(2026年10月時点)。
納税通知書の金額が、去年より大きく増えていると、驚く方は少なくないと考えられます。バイクや原付も同じように上がるのか、いつから上がったのか、廃車したときの扱いはどうなるのかが、気になる点です。
この記事では、前半でこの疑問に、総務省の公表資料と、地方税法の条文、松戸市の案内、編集部の試算で答えます。後半では、重課の対象になる年度の表、電気自動車などの例外、二輪車の税額、廃車の手続きを整理します。個別の税額は、お住まいの市区町村の通知で確認してください。
1. 去年まで7200円だった軽自動車税が、今年は1万2900円に。税率が上がったのか、通知の間違いか、バイクも上がるのか
「令和8年度の納税通知書が届きました。去年まで7200円だった軽自動車税が、今年は1万2900円になっています。5700円も増えました。車検証を見ると、初度検査年月は平成25年3月です。制度が変わったのでしょうか。それとも、通知の間違いでしょうか。バイクの税金も、同じように上がるのですか」。
同じ迷いは、古い軽自動車を長く乗り続けている人に、当てはまりえます。答えは、次の3点です。
- 1万2900円は、税率の全面的な改定ではなく、新規検査から13年を経過した軽四輪車等に適用される「経年車重課」です。自家用の軽四輪乗用は、標準税率の1万800円が1万2900円になります(総務省)。初度検査年月が平成25年3月31日以前の車は、令和8年度課税から重課です(松戸市の案内)
- 二輪車や原付に、経年車重課はありません。原動機付自転車は50cc以下が2000円、90cc超125cc以下が2400円、軽二輪は3600円、小型二輪は6000円です(総務省、地方税法第448条)。重課は、三輪以上の軽自動車の制度です(地方税法附則第30条)
- 初度検査年月が平成25年3月で、令和7年度が旧税率の7200円だった車は、令和8年度に1万2900円となり、年額で5700円増えます(編集部試算)。平成25年4月以降なら、重課が始まるのは令和9年度からです(松戸市)
2. 通知が届いたあとの3つの「もし」を、条文と自治体の案内で確認
読者の方が気にしそうな「もし」を、地方税法と松戸市の案内、編集部の試算で確認します。いずれも、ご自身の税額を確定するものではありません。
- もし、初度検査年月が平成25年4月だったら:重課が始まるのは、令和9年度からです。松戸市の適用開始年度の表では、平成25年4月から平成26年3月までの車は、令和9年度からとされています
- もし、4月2日に廃車の手続きをしたら:軽自動車税は、賦課期日の4月1日現在の所有者に課される税です(地方税法第449条)。松戸市は、自動車税と異なり、税額の月割制度はない、と案内しています。そのため、4月2日以降に手続きをしても、その年度分は課されると考えられます(編集部の整理)
- もし、廃車や譲渡の手続きを忘れたら:松戸市は、手続きをしない限り、翌年度以降も登録名義人に課税される、と案内しています。手続きは、毎年4月1日までにするよう呼びかけています
ここからは、この答えの前提になる仕組みを順に確認します。重課の税率表、重課が始まる年度、例外、二輪車の税額、廃車の手続きの順です。
3. 1万2900円の正体は「経年車重課」:新規検査から13年を経過した軽四輪車等が対象
総務省のページによると、グリーン化を進める観点から、最初の新規検査から13年を経過した軽四輪車等について、平成28年度分から、税率が概ね20%上乗せされる「経年車重課」が導入されました。この重課は、三輪以上の軽自動車が対象です。
地方税法第448条の標準税率では、軽自動車の四輪以上の乗用で自家用は、年額1万800円です。重課では、この金額が、自家用の乗用で1万2900円になります。営業用の乗用は6900円が8200円、貨物用の自家用は5000円が6000円、貨物用の営業用は3800円が4500円です。
もう1つ、見落としやすい点があります。平成27年3月31日までに最初の新規検査を受けた車には、旧税率が適用されています。自家用の乗用なら7200円です。ただし、旧税率の車でも、初度検査年月が平成25年3月31日以前なら、重課の税率になります(松戸市)。
3.1 【軽四輪車等の税率(年額):旧税率・標準税率・重課の比較】
前提条件:総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」のページと、松戸市の令和8年度の税率の案内の記載を、編集部が表に整理したもの。旧税率は平成27年3月31日以前に最初の新規検査を受けた車、標準税率は平成27年4月1日以降に受けた車。重課は新規検査から13年を経過した車で、グリーン化特例の軽課は含まない1/2
出所:総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」、松戸市「軽自動車税税率(令和8年度)」を基にLIMO編集部作成
- 四輪以上の乗用・自家用:旧税率は7200円、標準税率は1万800円、重課は1万2900円です。
- 四輪以上の乗用・営業用:旧税率は5500円、標準税率は6900円、重課は8200円です。
- 四輪以上の貨物用・自家用:旧税率は4000円、標準税率は5000円、重課は6000円です。
- 四輪以上の貨物用・営業用:旧税率は3000円、標準税率は3800円、重課は4500円です。
- 三輪:旧税率は3100円、標準税率は3900円、重課は4600円です。
表を見ると、自家用の乗用では、旧税率の7200円から重課の1万2900円まで、5700円の開きがあります。標準税率の1万800円と比べると、2100円の差です。去年まで7200円だった車の持ち主が、重課の年度に入ると、増加額が大きく感じられる理由が、ここにあります。
4. 重課が始まる年度は、車検証の「初度検査年月」で決まる:平成24年4月から平成25年3月は令和8年度
松戸市の案内によると、重課の対象になるかどうかは、車検証の「初度検査年月」欄で確認します。最初の新規検査とは、車両番号の指定を受けたことのない軽自動車を新たに使用する場合に受ける検査のことです。
松戸市の適用開始年度の表では、初度検査が平成24年4月から平成25年3月までの車は、令和8年度から重課です。平成25年4月から平成26年3月までの車は令和9年度から、平成26年4月から平成27年3月までの車は令和10年度からです。
平成27年4月以降に最初の新規検査を受けた車は、標準税率の1万800円が適用されますが、13年を経過すれば、同じように重課の対象になります。平成27年4月から平成28年3月までの車は、令和11年度からです。
4.1 【重課が始まる年度:初度検査年月ごと】
前提条件:松戸市「重課税率について」の「軽自動車税重課税率(13年経過)適用開始年度」の表のうち、令和8年度から令和12年度までを、編集部が抜き出して整理したもの。初度検査年月は車検証の「初度検査年月」欄で確認する2/2
出所:松戸市「重課税率について」を基にLIMO編集部作成
- 令和8年度から:初度検査が平成24年4月から平成25年3月までの車です。自家用の乗用なら、旧税率の7200円から、重課の1万2900円になります。
- 令和9年度から:初度検査が平成25年4月から平成26年3月までの車です。自家用の乗用なら、旧税率の7200円から、重課の1万2900円になります。
- 令和10年度から:初度検査が平成26年4月から平成27年3月までの車です。自家用の乗用なら、旧税率の7200円から、重課の1万2900円になります。
- 令和11年度から:初度検査が平成27年4月から平成28年3月までの車です。自家用の乗用なら、標準税率の1万800円から、重課の1万2900円になります。
- 令和12年度から:初度検査が平成28年4月から平成29年3月までの車です。自家用の乗用なら、標準税率の1万800円から、重課の1万2900円になります。
表を見ると、令和10年度までは、旧税率の7200円から1万2900円に上がる車で、令和11年度以降は、標準税率の1万800円から上がる車です。今の時点で、増加額が最も大きく感じられるのは、令和8年度から令和10年度に重課が始まる車だと考えられます。
5. 【編集者の視点】
今回、確認していていちばん意外だったのは、「13年」の数え方が、資料によって違って見える点です。総務省や松戸市は「新規検査から13年を経過」と書きますが、地方税法の附則第30条は、初回車両番号指定を受けた月から起算して「14年を経過した月の属する年度以後」と書いています。
一見、1年のずれがあるように見えますが、年度の表に当てはめると、同じ結果になります。たとえば、初度検査が平成24年4月なら、14年を経過した月は令和8年4月で、その月の属する令和8年度から重課です。松戸市の表も、同じく令和8年度からです。
そのため、「13年たった年に上がる」と思い込んでいると、1年ずれることがあります。実際に上がる年度は、自治体の年度の表か、納税通知書で確認するのが確実です。この記事は、特定の車の税額を確定するものではありません。お住まいの市区町村の税務の窓口に、必ず確認してください。
6. 電気軽自動車や天然ガス軽自動車などは、重課の対象から除かれる
地方税法の附則第30条によると、重課の対象は、三輪以上の軽自動車のうち、電気軽自動車、天然ガス軽自動車、メタノール軽自動車、混合メタノール軽自動車、ガソリンを内燃機関の燃料として用いる電力併用軽自動車、および被けん引車を除いたものです。
松戸市も、電気自動車、被けん引車等は重課の対象から除かれる、と案内しています。ご自身の車が対象かどうかは、車検証の燃料の種類で、おおよその見当がつきます。ただし、最終的な判断は、市区町村がします。
逆に、環境性能が高い車には、軽課の特例があります。松戸市によると、令和7年4月1日から令和8年3月31日までに新規検査を受けた三輪・四輪の軽自動車のうち、電気自動車などは、取得の翌年度分のみ、概ね75%減税されます。自家用の乗用なら、2700円です。
この特例は、令和8年度の税制改正で、電気軽自動車と天然ガス軽自動車について、適用期限が2年間(令和10年度まで)延長されました(松戸市)。軽課は、取得の翌年度分だけの特例で、翌々年度からは標準税率に戻ります。
7. バイク・原付は重課なし:50cc以下は2000円、軽二輪は3600円、小型二輪は6000円
総務省によると、二輪車等は、古い、新しいを問わず、平成28年度分から、すべての車両が同じ税率です。原動機付自転車は50cc以下が2000円、50cc超90cc以下が2000円、90cc超125cc以下が2400円です。ミニカーは3700円、軽二輪(125cc超250cc以下)は3600円、小型二輪(250cc超)は6000円です。
令和7年度の税制改正では、二輪の原動機付自転車のうち、総排気量が125cc以下で最高出力が4.0キロワット以下のものの税率が、2000円とされました。この税率は、令和7年度課税分から適用されています(松戸市)。電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車も、2000円です。
7.1 【二輪車等の軽自動車税(年額):車種区分ごと】
- 原動機付自転車(50cc以下):2000円です。いわゆる原付です。
- 原動機付自転車(50cc超90cc以下):2000円です。原付二種の一部です。
- 原動機付自転車(90cc超125cc以下):2400円です。原付二種です。
- ミニカー:3700円です。総排気量20cc超50cc以下などです。
- 軽二輪(125cc超250cc以下):3600円です。
- 小型二輪(250cc超):6000円です。大型バイクです。
表を見ると、バイクや原付の税額は、排気量で決まる、年額数千円の範囲です。重課のように、古さで上がる仕組みはありません。1万2900円は、あくまで、三輪以上の軽自動車の制度です。
8. 軽自動車税は、4月1日現在の所有者に課される:月割はなく、廃車の手続きを忘れると翌年度も課税
地方税法第449条によると、軽自動車税の賦課期日は、4月1日です。第443条は、軽自動車税を、軽自動車等に対し、主たる定置場所在の市町村において、その所有者に課する、と定めています。納期は、第450条で、4月中において、市町村の条例で定める、とされています。
松戸市は、毎年4月1日現在、軽自動車や原動機付自転車などの登録名義人である所有者が、納税義務者になる、と案内しています。割賦販売で所有権が売主にある場合は、使用者です。地方税法第444条は、所有権を留保した売買では、買主を所有者とみなす、と定めています。
そして、松戸市は、自動車税とは異なり、税額の「月割制度」はない、と案内しています。地方税法の軽自動車税の規定にも、月割や日割の定めは見当たりません。賦課期日の4月1日をまたぐかどうかで、その年度分の課税が決まる、と考えられます(編集部の整理)。
廃車や譲渡、盗難などで、現在所有していない場合は、必ず廃車の申告手続きをするよう、松戸市は求めています。この手続きをしない限り、翌年度以降も登録名義人に課税される、と案内しています。手続きは、毎年4月1日までにするよう、呼びかけています。
地方税法第452条は、軽自動車税の納税義務者に、条例で定めるところにより、賦課徴収に関し必要な事項を記載した申告書か報告書を、市町村長に提出するよう定めています。原動機付自転車などの申告書の様式や窓口は、市区町村で異なるため、役所の案内で確認してください。
令和8年度の納税通知書の発送日は、松戸市の例で、令和8年5月7日でした。納期や発送日は、市区町村ごとに異なります。地方税法第451条は、納税通知書を、遅くとも納期限前10日までに交付するよう定めています。届いた通知書で、納期限を確認してください。
9. 令和8年4月から、名称は「軽自動車税」に:環境性能割は令和8年3月31日で廃止
松戸市の案内によると、軽自動車税の環境性能割は、令和8年3月31日をもって廃止されました。これに伴い、それまでの「軽自動車税種別割」は、令和8年4月1日から「軽自動車税」へと名称が変更されました。
これまでは、軽自動車税は、取得時にかかる環境性能割と、毎年かかる種別割の2つで構成されていました。令和8年度の課税からは、毎年かかる分が、「軽自動車税」と呼ばれます。通知書の表記も、「種別割」ではなく、「軽自動車税」になっている場合があります。
この記事で触れた、重課や軽課、二輪車の税額は、すべて、名称が変わる前の「種別割」にあたる、毎年かかる税です。環境性能割がなくなったことで、金額そのものが変わったわけではありません。
10. 【編集者の視点】
今回、確認していて、見落としやすいと感じたのは、廃車の手続きが済んでいないと、翌年度以降も課税が続く点です。松戸市は、手続きを忘れたために、納税通知書が送られてきた、あるいは届かなかった、という例が多くなっている、と案内しています。
譲渡や廃車をしたとき、手続きが済んでいるつもりでも、名義が変わっていないことがあります。できるだけ、本人が直接手続きをするよう、松戸市は呼びかけています。代理人に頼む場合は、必ず、手続きが完了したかを確認しておくと安心です。
この記事は、特定の手続きを勧めるものではありません。手続きの窓口や、必要な書類は、市区町村や、車の種類で異なります。お住まいの市区町村の税務の窓口に、必ず確認してください。
11. まとめ
軽自動車税の1万2900円は、新規検査から13年を経過した軽四輪車等への「経年車重課」です。自家用の軽四輪乗用は、標準税率の1万800円が1万2900円になります。初度検査年月が平成24年4月から平成25年3月までの車は、令和8年度から重課です(松戸市)。
去年まで旧税率の7200円だった車は、重課が始まる年度に、年額で5700円増えます(編集部試算)。二輪車や原付に、重課はありません。電気軽自動車などは、重課の対象から除かれます。
軽自動車税は、4月1日現在の所有者に課され、月割はありません。廃車や譲渡の手続きを忘れると、翌年度も課税されます。個別の税額や時期は、市区町村の通知と、窓口で確認してください。
12. よくある質問
12.1 Q. 軽自動車税の1万2900円は、いつからですか?
新規検査から13年を経過した軽四輪車等に、重課が適用されます。初度検査年月が平成24年4月から平成25年3月までの車は、令和8年度からです(松戸市)。
12.2 Q. 重課の金額は、いくらですか?
自家用の乗用は1万2900円、営業用の乗用は8200円、貨物用の自家用は6000円、営業用は4500円、三輪は4600円です(総務省)。
12.3 Q. 初度検査年月は、どこで分かりますか?
車検証の「初度検査年月」欄で確認できます(松戸市)。
12.4 Q. バイクや原付にも、重課はありますか?
ありません。二輪車等は、古い、新しいを問わず、同じ税率です。原付は50cc以下が2000円、軽二輪は3600円、小型二輪は6000円です(総務省)。
12.5 Q. 電気自動車も、重課になりますか?
電気軽自動車、天然ガス軽自動車などは、重課の対象から除かれます(地方税法附則第30条、松戸市)。
12.6 Q. 軽自動車税に、月割はありますか?
ありません。松戸市は、自動車税とは異なり、税額の月割制度はない、と案内しています。賦課期日は4月1日です(地方税法第449条)。
12.7 Q. 廃車の手続きを忘れると、どうなりますか?
手続きをしない限り、翌年度以降も、登録名義人に課税されます(松戸市)。
12.8 Q. 環境性能割は、今も、ありますか?
軽自動車税の環境性能割は、令和8年3月31日をもって廃止されました。種別割は、令和8年4月1日から「軽自動車税」へ名称が変更されました(松戸市)。
参考資料
- 総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」
- e-Gov法令検索「地方税法」
- 松戸市「軽自動車税税率(令和8年度)」
- 松戸市「重課税率について」
- 松戸市「軽自動車税を納める人」
- 松戸市「軽自動車の廃車・名義変更等の手続きをお忘れなく」
- 松戸市「軽自動車税の税制改正」
齊藤 慧
