4. 「退職金代わり」は、勤め先の制度を確かめてから、リスクの小さい形で少しずつ

ここからは、質問の「退職金代わりになりそうな資産運用」について、筆者の考えをお伝えします。いきなり商品を選ぶのではなく、順番に考えていくとよいでしょう。

まず、退職金がない企業もありますので、勤め先の制度を確かめましょう。退職一時金のほかに、企業型DCや確定給付企業年金などがあるかどうかで、自分で準備する金額も、iDeCoで出せる掛金の上限も変わります。厚生労働省の資料では、2026年12月からは企業年金がある人も、企業年金の会社の掛金と合わせて月6.2万円が上限とされています。

次に、「退職金代わり」の候補としてiDeCoを考えてみます。iDeCo公式サイトによると、掛金、運用益、受け取るときのそれぞれに税制上の優遇があり、運用商品には定期預金や保険などの「元本確保型」もあります。一方で、投資信託などは元本を下回る可能性があり、原則として60歳になるまで引き出せず、手数料もかかります。iDeCo公式サイトの資産運用ガイドでは、元本確保商品は原則として元本が確保される一方、低金利の状況ではそれだけで運用すると資産が増えにくいと説明されています。元本確保商品を選ぶときは、利率に加えて解約控除の有無なども確かめておきたい点です。リスクを取りたくないなら、元本確保型から始めるという選び方もあるでしょう。

そして、使う時期で分けておきましょう。60歳まで引き出せないiDeCoには、老後まで使わないお金を回し、数年のうちに使うかもしれないお金は預金などに残しておくと、急な出費で困りにくくなります。退職金と自分で準備するお金を合わせて、老後の資金の全体像をつくっていくことが、これからの時代の備え方といえるでしょう。

5. まとめにかえて

「退職金はあてになるか」という質問への答えをまとめます。令和5年の調査では退職金制度がある会社は74.9%で、平成30年の80.5%より少なくなりました。定年退職者の平均は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)が1983万円から1896万円に減り、高校卒の2つの区分は増えています。勤続年数によっても金額は大きく変わります。

退職金をあてにできるかは勤務先しだいです。これからの働き方も見すえて、まず自分の退職金の見込みと勤め先の制度を確かめ、足りない分はiDeCoの元本確保型のように、リスクの小さい形から準備していくことを考えてみてはいかがでしょうか。

退職金というマネープランだけでなく、キャリアプランをあわせて考えることも重要になります。

6. 編集部よりコメント

宮野 茉莉子
退職金は「会社が用意してくれるもの」というイメージがありますが、制度がない会社もあり、あっても勤め方によって金額は変わります。転職を考えるときには、給料だけでなく退職金の制度もあわせて見ておくと、あとから驚かずに済むでしょう。

自分で準備する方法を選ぶときは、リスクの小ささだけでなく、いつ引き出せるかも大切な物差しです。iDeCoのように原則として60歳まで引き出せない制度は、老後のためのお金と割り切って使うと、続けやすくなります。

退職金の制度は会社の決まりごとなので、見直されることもあります。勤め先から制度の変更の案内があったときは、自分の受け取る金額にどう影響するかを確かめておきましょう。

iDeCoの掛金の上限や加入できる年齢は、2026年12月から変わります。始める前、掛金を変える前には、最新の情報を確かめておきましょう。

7. 免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の金融商品の購入や運用について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 加入や運用の判断は、iDeCo公式サイトや各金融機関の最新の情報をご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • iDeCoの掛金の上限や加入できる年齢、運用商品の内容などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。

参考資料

宮野 茉莉子