3. 奨学金の繰上返還ができない時期と、申し込む前に済ませておく手続き
奨学金の繰上返還は、いつでも申し込めるわけではありません。日本学生支援機構の「繰上返還申込み」のページには、申し込む前に確かめておきたい場合が挙げられています。
3.1 返還期限猶予や減額返還の適用中は、奨学金の繰上返還ができない
返還期限猶予や減額返還が適用されている期間中は、繰上返還ができません。返還を先送りしたり月々の返還額を減らしたりしている間は、前倒しで返す手続きはとれない仕組みです。
3.2 「特に優れた業績による返還免除」を申請するなら、認定結果が出る前に繰上返還をしない
大学院で第一種奨学金を借りた人が「特に優れた業績による返還免除」を申請する場合は、認定結果が判明する前に繰上返還をしないよう案内されています。一部免除の認定となった場合は、認定結果通知が届いたあとに繰上返還ができます。
3.3 月賦・半年賦併用返還や、振替口座を変えた場合の注意点
月賦・半年賦併用返還を選んでいる人が一部繰上返還をすると、月賦返還の部分だけが繰上返還となり、半年賦返還の部分は繰上返還とならない場合があります。
振替口座を変更した人は、変更が終わってから繰上返還を申し込みます。変更前に申し込むと、変更前の口座から引き落とされます。
4. 奨学金の一部繰上返還で、返還期間が何か月短くなるかを計算する
一部繰上返還は、回数か金額で申し込みます。どのくらい返還期間が短くなるかを、計算例で確かめます。
4.1 無利子の第一種奨学金で返還月額1万4000円なら、12回分の16万8000円で返還期間が1年短くなる
計算例として、無利子の第一種奨学金で返還月額が1万4000円の人が、12回分を繰り上げる場合を考えます。
- 繰り上げる額:1万4000円×12回=16万8000円
- 短くなる返還期間:12か月(1年)
金額で15万円を上限に申し込んだ場合は、1万4000円で割り切れる10回分の14万円に調整されます。15万円÷1万4000円は約10.7回なので、繰り上げられるのは10回分です。
4.2 第二種奨学金は、繰り上げる額を「繰上返還通知」で確かめる
第二種奨学金は、繰上にあたる期間の利子がかからないため、繰り上げる額は返還月額に回数を掛けた額と一致しないことがあります。口座振替の場合は、繰上返還を希望した月の中旬ごろに「繰上返還通知」が届くので、奨学生番号と振替金額を確かめます。
機関保証を選んだ人は、繰上返還で返還期間を短くして返還を終えたときに、保証料の一部が戻る場合があります。
5. 奨学金の繰上返還に回すお金は、手元に残すお金を決めてから考える
信託銀行で資産運用のご相談を受けていた頃も、まとまったお金をどう使うかは「いつ・何に必要になるか」を書き出すところから始めていました。奨学金の繰上返還も同じ考え方で整理できます。
5.1 卒業の前後は、引っ越しや新生活でまとまったお金が出ていきやすい
2027年3月は、卒業と就職、引っ越しが重なる時期です。繰上返還の振替日は3月29日なので、新生活の準備に使うお金と同じ月に口座から引き落とされます。
全額を返すか一部にするかは、初任給が出るまでの生活費や、敷金・家具などの出費を差し引いて手元に残る額を見てから決めると、無理のない金額にできます。
5.2 一部だけ繰り上げ、残りは返還が始まってから繰上返還する方法もある
繰上返還は、返還が始まったあとも申し込めます。3月はまず一部だけを繰り上げ、社会人になって家計が落ち着いてから、ボーナスなどで追加の繰上返還を考える方法もあります。
親が学費を援助してきた家庭では、繰上返還を子ども本人の口座から行うのか、家族で話し合っておくと、あとで誰がいくら返したのかが分かりやすくなります。
6. まとめ
日本学生支援機構の奨学金は、口座振替なら手数料なしで繰上返還ができ、第二種奨学金でも繰上にあたる期間の利子はかかりません。2027年3月に満期で貸与が終わる人は、3月2日から16日にスカラネット・パーソナルで申し込めば、3月29日の振替で利子のかからない繰上返還ができます。
スカラネット・パーソナルで申し込むには、リレー口座の加入が先です。加入申込書なら2026年12月末が締切なので、卒業までの手続きの一つとして早めに確かめておきましょう。