金融庁の「老後資金は年金プラス2000万円が必要」という提言(※1)が大きな話題になりました。しかしその後「議題にしない」という事実上の撤回。では、老後に2000万円不足しないということなのでしょうか。
いいえ、老後資金問題はとても深刻な問題として今もなお存在しています。今後も高齢化が進んでいく日本、年金制度をどう改革していくのか、認知症患者の金融資産をどうするのか、問題は山積しています。
総合旅行プラットフォームを運営する㈱エアトリが実施した調査(「老後の貯金」に関するアンケート※2)によると、「老後2000万円問題」の報道を見聞きしても「何もしていない」が74.2%にも上り、大半の人はあまり深刻に受け止めていないようです。
不足するだろうと気づいてはいるものの、実際の老後資金の準備は後回し。しかし、歳を重ねてから短期間で老後資金を貯めるのは簡単なことではありません。また、同調査の60代以上の貯蓄額についても、2000万円以上ある人は約3割という結果でした。退職金も減少傾向にある中で、はたしてどれだけの人が自助で老後資金を準備できるのでしょうか。老後資金は早めに計画していくことが重要です。老後資金の準備をしていくコツについて見ていきましょう。
老後資金を貯める計画を立てよう! 時代に合ったお金のふやし方
まず、老後資金2000万円という金額(※1)は、このような根拠に基づいています。
・60代以上の支出(生活費)は、現役期と比べて2~3割程度減少する
・年金給付に頼っている高齢夫婦無職世帯では毎月の赤字額は約5万円(平均)
・老後の不足額は20年間で5万円×20年=約1,300万円となる。30年間の場合は5万円×20年=約2,000万円
毎月の生活費だけではなく、医療費や住居費が臨時で必要になる可能性もあります。旅行やレジャーなどの予定も含めると、各自で老後の生活を試算していくことが重要になるでしょう。そこから貯蓄の設計について考えてみましょう。