4. 保険料調整制度の3年間で軽くなる社会保険料は、標準報酬月額8万8000円で18万6780円
保険料調整制度は期間が決まった制度です。3年間でどれだけ軽くなり、そのあとどうなるかを、標準報酬月額8万8000円、健康保険料率10%の例で計算します。
4.1 1〜2年目は月6226円、3年目は月3113円軽くなる
通常の本人負担1万2452円と比べると、1〜2年目は月6226円、3年目は月3113円軽くなります。
- 1年目:6226円×12か月=7万4712円
- 2年目:6226円×12か月=7万4712円
- 3年目:3113円×12か月=3万7356円
- 3年間の合計:18万6780円
賞与にかかる保険料や、40歳以上の人の介護保険料は軽減されないため、実際の差はこの計算と異なります。健康保険料も、加入する健康保険の料率で変わります。
4.2 4年目からは通常の折半に戻り、本人負担は月1万2452円になる
通算3年間が終わると、本人と事業主が半分ずつ負担する通常の形に戻ります。同じ例なら、4年目からの本人負担は月1万2452円で、3年目より月3113円増えます。制度によって負担が軽くなっている期間のうちから、4年目以降の負担増に備えて浮いた分をあらかじめ分けておくと安心です。
5. 年収の壁で働く時間を決める前に、勤め先が保険料調整制度を使うかを確かめる
保険料調整制度は、本人が申し込む制度ではありません。年収の壁を意識して働く時間を決めるときは、勤め先の対応を先に確かめておくと、手取りの見込みを立てやすくなります。
5.1 保険料調整制度を使うかどうかは事業主の申出で決まり、本人は選べない
制度は事業所単位で適用され、事業主が「保険料調整開始申出書」を出したときに始まります。利用する事業所では対象者全員に適用されるため、自分だけ使う、使わないを選ぶことはできません。
5.2 事業主の申出期限は、対象の事業所になってから2年を過ぎる月の前月まで
2026年10月に任意特定適用事業所となった場合、申出期限は2028年9月末です。勤め先がまだ申し出ていなくても、期限内なら途中から使い始めることがあります。
申出のあとは、事業主から申し出て途中でやめることはできません。勤め先が使っているかどうかは、給与明細の社会保険料の額の変化と、勤め先の担当者への確認で分かります。
6. 保険料調整制度で軽くならない保険料は、賞与の保険料と介護保険料、子ども・子育て支援金
保険料調整制度の対象は、毎月の給与にかかる健康保険料と厚生年金保険料です。給与明細のすべての保険料が軽くなるわけではありません。
6.1 40歳以上の人は、介護保険料が通常どおり引かれる
40歳から64歳の人は、健康保険料と一緒に介護保険料を納めます。介護保険料は保険料調整制度の軽減の対象外なので、通常どおり本人と事業主が半分ずつ負担します。
子ども・子育て支援金も軽減の対象外です。給与明細で社会保険料を確かめるときは、どの欄が軽くなり、どの欄が変わらないかを分けて見ると、制度の効果を正しくつかめます。
6.2 賞与が出る月は、賞与にかかる保険料が軽減されずに引かれる
パートでも賞与が出る勤め先では、賞与にかかる保険料が軽減されずに差し引かれます。賞与が出る月の手取りは、毎月の給与と分けて見込んでおきましょう。
7. まとめ
2026年10月1日から始まった保険料調整制度は、2026年10月以降に任意特定適用事業所となった事業所などで働く、標準報酬月額12万6000円以下の短時間労働者の社会保険料を、通算3年間軽くする制度です。標準報酬月額8万8000円なら、1〜2年目の本人負担は通常の半分になります。
制度を使うかどうかは事業主の申出で決まり、4年目からは通常の折半に戻ります。勤め先の対応を確かめ、軽くなった分は4年目からの負担に備えておきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「保険料調整制度とは」
- 日本年金機構「保険料調整制度を利用した場合の保険料額の計算方法」
- 日本年金機構「保険料調整制度の対象となる事業所・申出期限」
- 日本年金機構「保険料調整制度の対象となる被保険者」
- 日本年金機構「保険料調整制度の自動停止・停止解除(再開)申出の手続き」
和田 直子