塾講師として子供といっしょに時間を過ごしたり保護者の方と話をしたりしていて、親子関係がうまくいっている家庭とそうでない家庭がわかるようになります。成績が伸び悩む子供は、親との意思疎通が不足している場合が多いです。

そして、その意思疎通がうまく取れていない家庭の子供は親に遠慮してか本音をなかなか打ち明けなくなっている気がするのです。怒られる・どうせわかってくれない、という不信感・不満があるからかもしれません。それらがたまってくるとストレスとなり不健康な行動になることもあります。もちろん、成績にも悪影響を与えます。

そこで今回は、本音で話せない子供達がどのような行動をとるかについて筆者自身の体験を交えながら検証していきます。

ウソや隠し事をする

まず本音で話せなくなるとウソをついたり隠し事をしたりするようになります。たとえば「宿題やったけどノートを家に置いてきた」「先生宿題どこやるか教えてくれなかった」など、するべきことをしなかったことに対して言い訳を作ってごまかすようになります。

以前このような男の子がいました。人の話がなかなか理解できず、何をするにも時間のかかる子でした。父親は怒ると怖かったようで、母親はよく「男の子は何を考えているかわからない」と言っており、その子とのコミュニケーションに苦労をしているように見えました。その子の姉がしっかりしていたからか、姉と比べていたのかもしれません。

宿題ができていないことが何度かあったので補講をしたことがありました。家でもしっかり勉強をしてほしいという願いを込めて補講をしたつもりだったのですが、親には「何かよくわからないけど先生に来いと言われた」と言って家を出たそうです。

このことを後日その母親との懇談の際に聞きました。想像するに、宿題をしていないから呼び出されたと正直に言えば怒られると思ったからそのような言い方をしたのではないかと。ちなみに、それ以来補講をするときには必ず保護者の方に連絡するようにしています。

このパターンの場合、子供が話す→怒られる→自信をなくす・怖くなる→本音で話せなくなる→本音が聞けないから親はまた怒る→ますます怖くなり本音で話せなくなる、の順序で子供が本音を打ち明けなくなったと思われます。親も、子供を疑いの目で見るようになってしまったのかもしれません。

ウソや隠し事はいずれわかりますが、わかったときにカッとなってそのウソや隠し事そのものを責めるのは効果ありません。そのようなことをする子供の心理には不満やストレスなどが残っている可能性が高いです。グッとこらえて子供の言葉にならない訴えを探る落着きを持つことではないでしょうか。

教科書・ノートを汚く扱う