令和8年4月分から、児童扶養手当の月額が改定され、児童1人の全部支給は4万8050円になりました。令和7年4月から令和8年3月分は4万6690円でした。所得制限限度額も、令和6年11月分から引き上げられています。
児童扶養手当の「所得制限」は、多くの人が気になる点です。「年収がいくらまでなら受け取れるのか」「実家で親と暮らしていると影響するのか」といった疑問で検索する人が、数多くいます。
この制度の所得制限は、少し複雑です。自分の所得だけで決まる部分と、同居する家族の所得が関わる部分があり、さらに令和6年11月分から限度額が引き上げられました。古い情報のまま判断すると、受け取れる可能性を見逃すことがあります。
本記事では、横浜市、東京都福祉局、札幌市の公式ページをもとに、児童扶養手当の所得制限限度額を、請求者本人と扶養義務者に分けて整理します。制度の適用は個別の事情で異なるため、実際の判断はお住まいの市区町村の担当窓口に確認してください。
1. 所得制限は3つの段階:全部支給、一部支給、支給停止
東京都福祉局の案内によると、児童扶養手当の受給資格者本人の所得が、全部支給の所得制限限度額以上の場合は、一部支給になります。一部支給の所得制限限度額以上の場合は、支給停止です。
つまり、所得が低いほうから順に、全部支給、一部支給、支給停止の3つの段階に分かれます。所得が少し増えたからといって、いきなり支給がなくなるわけではありません。一部支給の範囲では、所得に応じて手当の額が段階的に変わります。
もう1つ大切なのは、本人の所得だけでなく、扶養義務者などの所得も見られることです。東京都福祉局の案内には、一部支給の所得制限限度額以上の場合、または扶養義務者等の所得が所得制限限度額以上の場合は、支給停止になると示されています。
ここでいう所得は、年収そのものではありません。所得の計算方法は、給与収入の場合とほかの収入がある場合で異なります。給与収入の目安については、自社の別記事でも整理しています。
2. 請求者本人の所得制限限度額:令和6年11月の引き上げ後の表
横浜市の案内によると、令和6年11月分から、受給者本人の所得制限限度額が引き上げられました。所得により全部または一部の支給停止になっていた人は、支給額が上がる場合があります。
引き上げ後の限度額は、扶養親族等の数によって異なります。扶養親族等が0人の場合、全部支給は69万円未満、一部支給は208万円未満です。1人の場合は、全部支給が107万円未満、一部支給が246万円未満となります。
2人の場合は、全部支給が145万円未満、一部支給が284万円未満です。3人の場合は、183万円未満と322万円未満、4人の場合は、221万円未満と360万円未満と案内されています。扶養親族等が1人増えるごとに、限度額は38万円ずつ上がる形です。
2.1 【請求者本人の所得制限限度額(令和6年11月分以降)】
前提条件:請求者(父、母または養育者)本人の所得。扶養親族等の数ごとの限度額。横浜市の案内による1/2
出所:横浜市「児童扶養手当-令和6年11月から児童扶養手当の制度改正(拡充)があります」を基にLIMO編集部作成
- 扶養親族等が0人の場合:全部支給は69万円未満、一部支給は208万円未満です
- 扶養親族等が1人の場合:全部支給は107万円未満、一部支給は246万円未満です
- 扶養親族等が2人の場合:全部支給は145万円未満、一部支給は284万円未満です
- 扶養親族等が3人の場合:全部支給は183万円未満、一部支給は322万円未満です
- 扶養親族等が4人の場合:全部支給は221万円未満、一部支給は360万円未満です
東京都福祉局のページでも、受給資格者のうち父・母・養育者について、0人の全部支給が69万円、一部支給が208万円、1人が107万円と246万円、2人が145万円と284万円と示されており、横浜市の表と一致します。
3. 引き上げ前後の差:全部支給で20万円、一部支給で16万円
横浜市の案内には、引き上げ前の限度額も併記されています。扶養親族等が0人の場合、全部支給は49万円から69万円へ、一部支給は192万円から208万円へ変わりました。
差額を計算すると、全部支給の限度額は20万円、一部支給の限度額は16万円、それぞれ上がったことになります。全部支給の上限と一部支給の上限の間は、139万円の幅があります。この幅は、扶養親族等の数が増えても変わりません。
1人の場合も、全部支給が87万円から107万円へ、一部支給が230万円から246万円へ変わっています。同じく、全部支給で20万円、一部支給で16万円の引き上げです。
改正前の「所得が50万円くらいまで」といった情報を見て、「自分は対象外だ」と思い込んでいる人もいるかもしれません。ネット上には、改正前の数字が残っている記事も多くあります。見るときは、令和6年11月分以降の表かどうかを、必ず確認してください。
3.1 【所得制限限度額の引き上げ前後の比較(請求者本人)】
前提条件:扶養親族等が0人と1人の場合。横浜市の案内にある引き上げ前後の数字から、編集部が差額を計算した試算2/2
出所:横浜市「児童扶養手当-令和6年11月から児童扶養手当の制度改正(拡充)があります」の数字を基にLIMO編集部試算
- 扶養親族等が0人の場合:全部支給の限度額は49万円から69万円へ20万円上がり、一部支給の限度額は192万円から208万円へ16万円上がりました
- 扶養親族等が1人の場合:全部支給の限度額は87万円から107万円へ20万円上がり、一部支給の限度額は230万円から246万円へ16万円上がりました
4. 具体例:扶養親族等が1人の場合、所得の組み合わせで結果が変わる
ここまでの限度額を使い、仮の例で確かめます。扶養親族等が1人の場合、請求者本人の限度額は、全部支給が107万円未満、一部支給が246万円未満です。配偶者・扶養義務者などの限度額は、274万円未満です。
本人の所得が100万円で、扶養義務者などの所得がない場合は、107万円未満なので、全部支給になります。本人の所得が130万円なら、107万円以上246万円未満なので、一部支給です。本人の所得が250万円だと、246万円以上のため、支給停止になります。
本人の所得が100万円でも、同居する扶養義務者の所得が300万円あれば、274万円以上のため、支給停止です。扶養義務者の所得が260万円なら、274万円未満なので、この条件では停止になりません。本人の所得だけで見た結果と、扶養義務者を含めた結果が変わります。
この例は、限度額の表を単純に当てはめたものです。実際には、所得の計算方法や、誰が扶養義務者に当たるかによって、結果が変わります。ここでは、限度額の見方を理解するための例として、見てください。
4.1 【所得の組み合わせによる結果の例(扶養親族等が1人の場合)】
- 本人の所得が100万円で、扶養義務者などの所得がない場合:全部支給の範囲です
- 本人の所得が130万円で、扶養義務者などの所得がない場合:一部支給の範囲です
- 本人の所得が250万円で、扶養義務者などの所得がない場合:支給停止です
- 本人の所得が100万円で、扶養義務者などの所得が300万円の場合:支給停止です
- 本人の所得が100万円で、扶養義務者などの所得が260万円の場合:全部支給の範囲です
5. 【編集者の視点】
所得制限の情報は、改正の前後で数字が変わったため、検索で最初に見つかる情報が古い場合があります。しかも、この制度は、全部支給と一部支給の間に、139万円という広い幅があります。全部支給の対象でなくても、一部支給の対象になる人は少なくありません。
「所得が基準を超えているからだめだ」とあきらめる前に、一部支給の限度額まで含めて確かめてください。ただし、実際に受け取れるかどうかは、扶養義務者の所得や、ほかの要件にも左右されます。最終的な判断は、市区町村の窓口で確認してください。
6. 同居する家族の所得も見られる:扶養義務者の所得制限
横浜市の表には、請求者本人の限度額とは別に、配偶者・扶養義務者・孤児等の養育者の限度額の列があります。扶養親族等が0人の場合は236万円未満、1人は274万円未満、2人は312万円未満です。
3人の場合は350万円未満、4人の場合は388万円未満です。本人の一部支給の限度額との差は、0人の場合で28万円あり、扶養親族等が増えても、この28万円の差は変わりません。
この列の限度額を超えると、東京都福祉局の案内にあるとおり、支給停止となります。つまり、本人の所得がどれだけ低くても、扶養義務者などの所得が限度額以上であれば、手当は受け取れません。
実家で親と暮らしている場合に、親の所得が影響するのかという疑問は、よく検索されています。ただ、誰が扶養義務者に当たるのか、同居の親が対象になるのか、といった具体的な範囲は、今回確認した自治体のページの範囲では、原文を確認できませんでした。実家暮らしの人は、必ず市区町村の窓口に、自分の場合を伝えて確認してください。
なお、横浜市の案内によると、配偶者・扶養義務者・孤児等の養育者の限度額は、令和6年11月の改正でも変更がありません。引き上げられたのは、受給者本人の限度額です。本人の限度額が上がったぶん、本人と扶養義務者の限度額の差は、縮まったことになります。
7. 手当額は所得で変わる:令和8年4月分からの月額
横浜市と東京都福祉局のページによると、令和8年4月からの手当額は、児童1人の場合、全部支給が月4万8050円です。一部支給は、4万8040円から1万1340円までで、所得に応じて10円単位で変わります。
児童が2人目以降の場合は、1人につき、全部支給で1万1350円が加算されます。一部支給の場合の加算額は、1万1340円から5680円までです。所得が限度額に近づくほど、手当の額は少なくなります。
札幌市のページには、令和7年4月から令和8年3月分の月額が、全部支給で4万6690円と示されています。これと比べると、令和8年4月分からの4万8050円は、1360円の増額です。手当額は物価に応じて毎年見直される仕組みで、年度によって変わります。
全部支給の場合に、児童の人数で合計を計算してみます。児童が2人なら、4万8050円に1万1350円を加えて、月5万9400円です。横浜市の案内では、第3子以降の加算額は第2子と同じ額に引き上げられているため、3人なら、さらに1万1350円を加えた7万750円です。
一部支給の細かい計算式は、自社の別記事で整理しています。ここでは、限度額の考え方に絞りました。正確な金額は、毎年、市区町村から届く通知で確認してください。
8. 手当が届く時期と申請:年6回、認定は請求の翌月分から
東京都福祉局の案内によると、手当は、指定した金融機関の口座へ、前の2か月分を、1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回に振り込みます。札幌市の案内では、原則として奇数月の11日で、土日祝日の場合はその直前の金融機関の営業日です。
札幌市の令和8年度の支給日は、5月11日、7月10日、9月11日、11月11日、1月8日、3月11日と示されています。児童手当が偶数月に支給されるのとは、月がずれる点に注意が必要です。
申請は、札幌市の案内によると、原則として来庁が求められますが、郵送でも手続きができます。書類に不備がない場合でも、約2か月程度かかるとされています。認定されると、請求した月の翌月分から手当が支給されます。
対象になるのは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童か、20歳未満で一定の障害の状態にある児童を養育するひとり親などです。東京都福祉局の案内に、その旨が示されています。
9. 所得は毎年見直される:現況届の提出
札幌市の案内によると、資格の継続を確認するために、毎年8月に現況届の提出が必要です。提出がないと、手当を支給できないとされています。横浜市の案内でも、現況届が提出されないと、11月以降の手当を受けられません。
現況届では、その年の状況を確認したうえで、次の年度の手当の額が決まります。所得が変わった場合は、全部支給から一部支給へ、またはその逆に、変わることがあります。
また、札幌市の案内には、必要な届出が出されていない場合、手当の支払いを差し止めることがあると書かれています。調査に応じない場合や、不正に受給した場合の扱いもあります。所得や家族の状況に変更があったときは、早めに市区町村へ届け出てください。
東京都福祉局の案内には、受給資格者となってから5年などが経過したあと、就労が困難な事情がないのに就労意欲が見られない場合、計算された手当の額が2分の1になる可能性があると示されています。この制限の詳しい条件は、市区町村の窓口で確認してください。
児童手当との違いや申請の手続きは、お住まいの市区町村の窓口で確認できます。
※本記事は、編集部が横浜市、東京都福祉局、札幌市が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
10. 【編集者の視点】
児童扶養手当の所得制限は、本人の限度額、扶養義務者の限度額、全部支給と一部支給の幅と、確かめる点がいくつも重なっています。しかも、令和6年11月分に引き上げがあったため、古い情報と新しい情報が混在しています。
だからこそ、公式の最新の表で確認することが大切です。本記事の内容は一般的な目安です。実際に受け取れるかどうかや、金額は、お住まいの市区町村の担当窓口で必ず確認してください。
11. まとめ
児童扶養手当の所得制限は、全部支給、一部支給、支給停止の3段階です。令和6年11月分から、請求者本人の限度額が引き上げられ、扶養親族等が0人の場合、全部支給は69万円未満、一部支給は208万円未満になりました。
引き上げ前後の差は、全部支給で20万円、一部支給で16万円です。扶養義務者などの限度額は、0人の場合で236万円未満で、改正の対象外です。この限度額以上だと、支給停止になります。
令和8年4月分からの月額は、児童1人で全部支給が4万8050円です。毎年8月の現況届の提出が必要です。具体的な適用は、市区町村の窓口に確認してください。
12. よくある質問
12.1 Q. 児童扶養手当の所得制限は、3つの段階ですか?
全部支給、一部支給、支給停止の3段階です。本人の所得が限度額以上になると、段階が変わります。
12.2 Q. 令和6年11月から、何が変わりましたか?
請求者本人の所得制限限度額が引き上げられました。第3子以降の加算額も、第2子と同額に引き上げられました。
12.3 Q. 扶養親族等が0人のとき、全部支給の限度額は?
69万円未満です。一部支給は208万円未満です。横浜市と東京都福祉局のページで確認できます。
12.4 Q. 引き上げ前は、いくらでしたか?
扶養親族等が0人の場合、全部支給が49万円未満、一部支給が192万円未満でした。
12.5 Q. 扶養義務者の所得制限とは、何ですか?
配偶者・扶養義務者・孤児等の養育者にも限度額があり、0人の場合は236万円未満です。この限度額以上だと、支給停止になります。
12.6 Q. 実家で親と暮らしていると、影響しますか?
誰が扶養義務者に当たるかは、今回確認した範囲では分かりませんでした。市区町村の窓口でご確認ください。
12.7 Q. 令和8年4月からの月額は、いくらですか?
児童1人の場合、全部支給が4万8050円、一部支給は4万8040円から1万1340円までです。
12.8 Q. 現況届は、いつ出しますか?
札幌市の案内では、毎年8月です。提出がないと、手当を支給できないとされています。
12.9 Q. 所得が限度額を少し超えたら、すぐ止まりますか?
全部支給の限度額を超えても、一部支給になる場合があります。一部支給の限度額以上で、支給停止となります。
12.10 Q. 児童扶養手当は、いつ振り込まれますか?
札幌市の案内では、原則として奇数月の11日で、令和8年度は5月11日、7月10日、9月11日、11月11日、1月8日、3月11日です。
12.11 Q. 申請から支給までは、どのくらいかかりますか?
札幌市の案内では、書類に不備がない場合でも約2か月かかります。認定されると、請求した月の翌月分から支給されます。
12.12 Q. 児童が2人いる場合の月額は?
全部支給なら、4万8050円に1万1350円を加えた月5万9400円です。一部支給は、所得に応じて変わります。
参考資料
齊藤 慧
