2. 富裕層・超富裕層が増えた背景は、株価の上昇・円安・相続

野村総合研究所の推計によると、富裕層と超富裕層の合計は2021年の148万5000世帯から2023年は165万3000世帯へと11.3%増えました。純金融資産の総額も364兆円から469兆円へと28.8%増えています。

2.1 株式や投資信託の値上がりで、保有資産額が増えた

野村総合研究所は、増えた要因として、株式や投資信託などの資産価値が上がり、こうしたリスク性資産の比率が高い富裕層・超富裕層の保有資産額が増えたことを挙げています。準富裕層の一部が富裕層に、富裕層の一部が超富裕層に移ったことも理由の一つです。

2.2 2023年は円安で外貨建て資産の価値も増えた

2023年に富裕層・超富裕層が大きく増えたことについて、野村総合研究所は推計の公表資料で次のように説明しています。

特に2023年においては、株価の急騰によりリスク性資産の資産価値が大きく増加したことや、円安の進行により外貨建て資産の実質的価値が増加したことにより、富裕層・超富裕層の世帯数及び純金融資産総額が大きく伸長したと考えられます。

出所:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」

2.3 相続によって富裕層・超富裕層になるケースも増えている

同じ資料では、増加傾向にある「相続」によって、相続人が富裕層・超富裕層となるケースも増えていると考えられるとしています。富裕層の世帯数は、資産価格の動きだけでなく、資産の受け継ぎによっても変わります。

3. 2025年度株式分布状況調査:個人株主数は延べ9198万人で12年連続の過去最多

株価の上昇は、株式を持つ人の数にも表れています。全国4証券取引所の上場会社3975社を対象にした「2025年度株式分布状況調査」で、個人株主数の推移を見ていきます。

3.1 個人株主数は前年度から839万人増え、株式分割を実施した会社で263万人増えた

同調査によると、2025年度の個人株主数は延べ9198万人で、前年度の8359万人から839万人増えました。増加は2014年度から12年連続で、調査開始以来の最多です。

個人株主数(延べ人数)の推移(2014年度~2025年度)2/2

株式分布状況調査による個人株主数(延べ人数)を2014年度から2025年度まで並べた棒グラフ。2014年度の4582万人から毎年増え、2025年度は9198万人

出所:東京証券取引所ほか「2025年度株式分布状況調査の調査結果について」をもとにLIMO編集部作成

【個人株主数(延べ人数)の推移】

  • 2014年度:4582万人
  • 2015年度:4944万人
  • 2016年度:4967万人
  • 2017年度:5129万人
  • 2018年度:5473万人
  • 2019年度:5672万人
  • 2020年度:5981万人
  • 2021年度:6460万人
  • 2022年度:6982万人
  • 2023年度:7445万人
  • 2024年度:8359万人
  • 2025年度:9198万人

万人未満は切り捨てて表示しています。2025年度に増えた839万人の内訳は、株式分割を実施した会社で263万人増、新規上場会社で125万人増、その他の会社で610万人増、上場廃止になった会社の影響で159万人減です。

3.2 延べ人数は銘柄ごとの株主数の合計。名寄せ後の個人株主はおよそ1677万人

株式分布状況調査では、上場会社どうしで株主の名寄せができないため、各社の株主数を単純に合算した延べ人数を使っています。たとえば1人の個人株主が10銘柄を持っている場合では、個人株主10人として数えられます。

同じ資料では、証券保管振替機構が銘柄を横断して名寄せした個人株主数も紹介しています。2025年10月~2026年3月に決算期日などを迎えた銘柄では、名寄せ後の個人株主数は約1677万人で、前年度の1599万人から約78万人増えました。

名寄せ後の数字は、単元未満の株式だけを持つ株主や、日本以外の国籍の個人株主も含むなど、集計の範囲が株式分布状況調査とは異なります。延べ9198万人と約1677万人は、数え方の違う別の数字です。

中本 智恵
株主の数が増えることと、一人ひとりの資産が増えることは別のお話です。ご自身の資産を確かめるときは、ローンなどの負債も差し引いた後の金額で見ておくと、家計の全体がつかみやすくなります。