2019年10月28日に行われた、弁護士ドットコム株式会社2020年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 内田陽介 氏

2020年3月期第2四半期決算説明会

内田陽介氏:弁護士ドットコムの内田です。これより、第2四半期の決算説明をさせていただきます。

まず、冒頭ではございますが、このたびの台風により、お亡くなりになった方々に心よりお悔やみを申し上げます。また、被災されたみなさま方には、謹んでお見舞いを申し上げます。

このような大変困難な状況ではございますが、弁護士や税理士、その他大勢の専門家の方々の力が、困っていらっしゃる方々にとって救いとなる、そのような場面も多いのではないかと思っています。

弊社としては、そのような使命感も持ちながら、社会に役立つ事業をしっかりと育成していきたいと考えています。被災された方々の生活が1日も早く元に戻りますよう、心よりお祈り申し上げます

それでは、これより第2四半期の決算説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

経営理念・提供サービス

本日の流れとしては、第2四半期の決算概要、そして主要事業の状況について説明させていただきます。まず、毎回決算説明会の冒頭にてみなさまに紹介させていただいていますが、あらためまして、弊社の経営理念、そして提供サービスについて触れさせていただきたいと思います。

弊社は、「専門家をもっと身近に」という志を持って企業経営にあたっています。世界中の方々が、専門家の知恵をもっと簡単に、十分に利活用できる世の中を作ることができれば、困っていらっしゃる方々は、少しでも救われるだろうと(考えています)。

そのような思いで、人々と専門家をつなげるポータルサイトであります「弁護士ドットコム」「税理士ドットコム」「ビジネスロイヤーズ」といったメディアの運営を行っています。

そして、この専門家領域に新しいテクノロジーを加えていくというところで、世界的にも非常に大きなイノベーションを生み出す余地がまだまだあるだろう考えており、現在は電子契約サービスであります「クラウドサイン」の育成に非常に力を入れているような状況です。

2020年3月期 上期 業績ハイライト

それでは、第2四半期の決算の概要に移らせていただきます。まず、上期全体ということで、第1四半期、第2四半期を合わせた業績のハイライトとなっています。売上高が19億2,900万円、営業利益と経常利益がともに2億5,900万円、四半期純利益が1億5,900万円となっています。

今期のテーマですが、来期以降に向けてさらなる大きな成長を遂げるために、今期もしっかり投資をしていきます。これまでも先行投資を続けてきましたので、その投資が徐々に売上としても姿を見せ始め、増収のペースを上げていくといったところで、徐々にその成果が見え始めてきているのではないかと感じています。

2020年3月期 第2四半期 業績概要

こちらが、第2四半期単体の業績概要の詳細となっています。売上高で9億9,300万円、営業利益で7,600万円、四半期純利益で4,000万円となっています。こちらは後ほどご説明しますが、利益面については一時的な費用増があったことで、前期比で減益となっています。

2020年3月期 通期予想に対する進捗

次に、通期予算に対する進捗状況をご説明します。売上高の進捗率は約45パーセント、各利益の進捗率は約50パーセントとなっています。年の半分、上期が終了した時点で、数字の面についてもちょうど折り返し地点にきているという状況です。

貸借対照表

バランスシートですが、こちらは四半期ごとに着実に利益が積み上がっていますので、純資産が6月末比で4,100万円ほど増加しています。続いて、売上、販管費、そして営業利益の四半期の推移をご説明します。

売上高の四半期推移

まず、売上高の四半期推移ですが、今回の第2四半期も、おかげさまで全サービス部門におきまして、順調に増収を実現できました。この四半期単体の売上としても、もう少しで10億円に手が届くところまでの成長を実現しています。

各事業セグメントも非常にバランスよく成長が続いていますが、今回の第2四半期におきましては、クラウドサイン、ビジネスロイヤーズ、そして(グラフの)上から2つ目の「広告その他サービス」といったところが、全社売上の成長の牽引役になってくれています。

販売費及び一般管理費の四半期推移

販管費の四半期推移ですが、グラフ最上段の「その他費用」の部分をご覧いただければと思います。弊社従業員の管理監督者についての定義の見直しを行いまして、その対象者に一時金として時間外手当を支払うことにしたため、こちらの費用が4,500万円ほど計上されています。

こちらはあくまで一時的な費用ですので、第3四半期以降は元のベースに戻る予定です。

そして、クラウドサインを中心としました人材の採用、広告宣伝も徐々に強めていますので、下期以降にかけて売上のペースを上げていくための準備投資といったところを、しっかり実行することができました。

その結果として、第2四半期全体では販管費が7億6,100万円となっています。また後ほど説明しますが、第3四半期については先週からクラウドサインのテレビCMを開始していますので、広告宣伝費が増加してくるだろうという見込みとなっています。

営業利益の四半期推移

営業利益の四半期推移ですが、先ほどご説明しました販管費の増加により、営業利益は7,600万円、営業利益率は7.7パーセントとなっています。営業利益については、前回の決算説明の場でも申し上げましたが、今期1年間については各四半期でかなりばらつきの多い1年になるのではないかと想定しています。

第3四半期も、とくに広告宣伝費が大きくなっていきますので、四半期単位では営業利益が強い数字になるとは想定していません。ただし、営業利益については1つの目安として1年間の目標数字を置いており、今のところは営業利益の目標数字に変更予定はございません。

引き続き、中長期的な事業価値を成長させていく、そのために資する投資を戦略的にしっかり実行していこうと考えています。この後、各主力事業の進捗状況についてご報告します。

月間サイト訪問者数の推移

まずは、弁護士ドットコムについてです。こちら(のスライド)は弁護士ドットコムの月間サイト訪問者数になりますが、直近のアクセス数は1,534万人となっています。

Googleのアルゴリズムの変更は、相変わらず非常に頻繁に行われています。また弊社のサービスの特徴でもありますが、アクセスの源泉となっている弁護士ドットコムニュースで月によってどの程度ヒット記事が出るかというところで、全体のアクセス数で波が出る傾向にはありますが、やはり地道にユーザー利便性の高いサービスを作り続けていくことによって、アクセス数はまだまだ十分に伸ばしていけるだろうと考えています。

有料会員数の推移(個人)

個人の有料会員数の推移になります。弁護士ドットコムでは法律相談掲示板がありますが、現在は累計86万件と非常に膨大な件数になっています。

月額300円をお支払いいただくことで、過去(のものも含めた)すべての法律相談に対する弁護士回答が閲覧可能となります。有料会員数も、四半期ごとに順調に成長を続けていまして、9月末時点では約19万2,000名となっています。

登録弁護士数の推移

弁護士ドットコムの登録弁護士数の推移ですが、9月末時点での登録弁護士の数は1万7,307名です。そのうち、有料でご登録いただいている弁護士の先生の数が4,710名となりました。

弁護士ドットコムの営業について、先生方に有料登録を案内する営業チームは、東京本社と大阪支社の2拠点で業務を行ってきましたが、9月から新たに福岡に支社を開設しました。

これにより、さらに全国的な営業展開をスムーズに実行できる体制が構築されていますので、下期以降にかけて、有料登録弁護士の数の加速を図っていきたいと考えています。

導入企業数の推移

こちらはクラウドサインを導入いただいている企業数の推移となっています。今回の第2四半期におきましては導入企業数が5万6,858社となり、四半期単位でも過去最高の伸びとなりました。

約1年前の導入企業数を見ますと、約2万9,000社となっていますので、この1年で2倍近い成長を遂げています。

このクラウドサインは、ちょうど4年前の10月にサービスをリリースしているわけなのですが、これまでの先行投資がいよいよ実りつつあると手応えを感じています。

契約締結件数の推移

契約締結件数の推移ですが、第1四半期から第2四半期にかけて、これまでのトレンドどおり力強い成長が実現できました。第3四半期以降も、同じように成長を続けられるものと考えています。

契約締結件数が伸びれば伸びるほど、受信者側にクラウドサインが送られることになり、宣伝効果もあって、そこから新たにクラウドサインを導入する企業が生まれてくる、よいループが生まれてきます。

ですので、クラウドサインの事業を成長させるための非常に重要な鍵が、契約締結件数となってきます。契約締結件数を伸ばしていくために必要な要素は多々あるわけですが、現在、弊社が非常に必要だと考えているのが、クラウドサインの認知度を高めていくことです。

おかげさまで非常に多くの企業さまにクラウドサインを導入いただいているのですが、残念ながら企業のみなさまにとって、あらゆる場面でクラウドサインが使える状況には、まだなっていません。

それはやはり、クラウドサインの認知度がまだまだ足りず、相手方、取引先の方々にクラウドサインのサービスの説明をするところでのハードルがなかなか高いことも、その理由の1つと思っています。

仮に取引先の方々がクラウドサインを導入していなくても、クラウドサインさえ知っていれば、サービス説明のハードルも下がりますので安心して取引に応じていただけますし、結果として契約締結件数が伸びる効果があるのではないかと考えています。

テレビCMをスタート

そこで、従前より今期はクラウドサインの広告宣伝に力を入れると申し上げてきましたが、いよいよ先週からクラウドサインのテレビCMを開始しました。

俳優の小澤征悦さんにご出演いただきまして、クラウドサインを導入することで業務の効率化に取り込まれている部長さん役と、これまで愛用していたハンコ役との別れを熱演していただきました。

まだこのCMをご覧になっていただいたことがない方もいらっしゃると思いますので、ここで一度、ご覧いただければと思います。

(CMが流れる)

ただいまご覧いただきましたCMについて、ちょうど本日より、首都圏の電車内広告も配信を開始しています。また、当然ながらWebでの展開も行っており、YouTubeなどを中心に同時に展開して認知度を高める取り組みを行っています。

サービス開始から丸四年が経ちまして、一気に認知度を高める段階に入ってきました。クラウドサインがいよいよ国民的なサービスとして躍進を遂げていくための、よいスタートになったのではないかと感じています。

このほかにも、クラウドサインではさまざまなトピックスがございますので、3つほど取り上げてご紹介します。

SMBCクラウドサイン株式会社を設立

まず、三井住友フィナンシャルグループさまとの合弁会社でありますSMBCクラウドサイン株式会社を設立しました。合弁会社設立の目的ですが、当然ながら電子契約を日本中に広めていくところです。

電子契約を普及させていくための課題は、当然、先ほど申し上げた認知の部分もありますが、社会的な信用度を向上させていくことも非常に大きなテーマとなっています。そこで、国民的な信用力、ブランド力をお持ちの三井住友フィナンシャルグループさまとタッグを組ませていただくことで、その課題を乗り越えていきたいと思っています。

また、弊社だけで日本中の企業の方々にクラウドサインをご案内するのはかなり時間もかかります。しかし、当然ながら三井住友フィナンシャルグループさまは、日本中の企業に幅広いネットワークを持たれています。

クラウドサインのサービス力、そして三井住友フィナンシャルグループさまのブランド力、信用力、ネットワーク力を掛け合わせていくことで、日本中に電子契約、クラウドサインを広めていきたいと考えています。

三井不動産リアルティ株式会社との業務提携について

2つ目ですが、三井不動産リアルティさまと業務提携しました。三井不動産リアルティさまのホームページのなかで物件の借主と貸主が契約締結できるわけですが、その契約締結の裏側のシステムを、クラウドサインが担わせていただいています。

不動産の賃貸借契約については、まだ重要事項説明書を書面で交付する義務が残っていますが、この10月から電子書面での交付を試す社会実験がいよいよ始まりました。この社会実験には、当然ながら全面的に参加しています。

今後、社会実験を経て法律改正がなされれば、不動産の賃貸借契約においても電子契約が当たり前の時代が訪れると思っています。わざわざ契約締結のためだけに、不動産の店舗さまに足を運ぶ不便が解消されます。

企業だけではなく、一般生活者の方々にとっても、これからは「契約と言えば、電子契約が当たり前なんだ」という時代が必ず訪れる、そのよいきっかけになると考えています。

弊社としては、そのようなきたるべき未来に備えてしっかり準備を整えていきたいと思っています。

クラウドサインNOWをリリース

3つ目のトピックスが、「クラウドサインNOW」のサービスリリースです。クラウドサインNOWは、エステ、スポーツジム、結婚式場、学習塾、その他さまざまな場面で使われている、手書きによる紙の申込書や来店カードの記載を、iPadを用いて電子化するサービスとなっています。

こちらについても、サービスの概要やメリットについて、よりみなさまにイメージしていただきやすいように、サービスの説明動画を作っていますのでご覧いただければと思います。

(動画が流れる)

クラウドサインNOWの料金体系

クラウドサインNOWの機能および料金体系は、この(スライドの)ようになっていますが、料金体系について少しご説明します。

導入企業には、月額固定費として5万円をお支払いいただきます。こちらのサービスは、iPadにクラウドサインNOWのアプリをインストールして使っていただくサービスで、iPadの数を1つのIDとして、1IDごとに月額費用が8,000円かかります。

例えば、100店舗を経営されているスポーツジムがあったとして、1店舗ごとに1IDを活用されるとすると、「100ID×月額8,000円」で、月80万円の費用がかかります。そこから、送信件数ごとに200円の従量課金が発生する料金体系となっています。

サービス開始から1ヶ月程度が経った段階ですが、すでにいくつかのお客さまに導入いただいており、かなり多数の引き合いが来ています。今後のサービスの広がりをかなり感じさせる手応えを実感している状況です。

税理士ドットコムについて

税理士ドットコムについてですが、税理士ドットコムは弁護士ドットコムの税理士版で、日本最大級の税務相談ポータルサイトとなっています。サイトの機能や情報は弁護士ドットコムに非常に似たものですので、弁護士ドットコム事業を育成してきたノウハウを活用しながら、サイト、事業ともに育成している段階です。

月間サイト訪問者数および売上高

税理士ドットコムのサイト訪問者数および売上高ですが、売上高は前年比52パーセント増と、引き続き非常に高い成長を続けています。また、税理士ドットコムへの登録税理士の数が先日4,000名を突破しました。社内目標ですが、今期中に5,000名を突破することを目指しています。

当然ながら、税理士の先生方のその先には日本中の企業が繋がっているということで、登録税理士を増やしていけば増やしていくほど、弊社としては企業の方々とも繋がれるチャンスがあります。

ユーザーや登録税理士を増やしていくなかで、税理士ドットコムとしても新たな事業展開にチャレンジしていきたいと思います。

ビジネスロイヤーズについて

ビジネスロイヤーズについてですが、日本最大級の企業法務ポータルサイトとなっており、企業法務の第一線で活躍いただいている先生方800名以上にご登録いただいています。最新の法改正、判例、もしくはQ&Aなど、非常に質の高い記事を執筆いただいています。

月間サイト訪問者数および会員数

ビジネスロイヤーズのサイト訪問者数は、例年、株主総会が集中する6月にピークを迎えるわけですが、今年は第2四半期になってもさほどアクセス数が落ちず、現在もかなり高い水準のアクセス数を示しています。また会員数についても、現在3万人を突破した状況です。

事業面においても、サイトのアクセス数や会員数を背景として、サイトに対する広告掲載や会員のみなさまに対するセミナー事業で、着実に収益を上げ始めています。

書籍サービスを開始

最後のページになりますが、先日プレスリリースを出しましたビジネスロイヤーズの新事業をご案内します。

それが「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」です。こちらは法律関連書籍を電子化して、月額4,980円の有料会員になっていただければ、いつでもどこでも書籍が読み放題となるサブスクリプションサービスです。

このサービスを開始する背景についてです。働き方改革法の施行や企業統治の重要性が非常に高まり続けている昨今、企業の管理部門、法務部門の役割の重要性や複雑性は日々増し続けています。

しかし、そのための情報をいち早くキャッチするための手間や書籍代も増しているのが実態で、そのような課題を解決するためのサービスが「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」となります。

こちらのサービスについては、弁護士ドットコムに登録いただいている弁護士の先生方に対しても、「弁護士ドットコムバージョン」として、今後サービスを提供していく予定になっています。

このように、各サービスを有機的に繋げていきながら企業価値全体の向上を図ってまいりたいと考えています。

以上で、弁護士ドットコムの(2020年12月期)第2四半期の決算説明とさせていただきます。ご清聴、どうもありがとうございました。

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