2026年も残り3カ月を切りました。10月に入り、年末調整や冬のボーナスの使い道、そして来年の新NISAにおける積立設定の見直しが気になる時期です。

「月10万円の満額積立が理想的」という意見を目にして、いまの積立額に不安を感じたり、無理をしてでも増額すべきか迷ったりする方もいらっしゃるでしょう。しかし、最適な投資額は収入やライフステージによって異なります。

本記事では、最短で非課税保有限度額を埋める「月10万円」と、無理なく続ける「月3万円」を同じ条件でシミュレーションして比較します。運用成果の違いに加えて、「ご自身の性格と家計に合うのはどちらか」という視点から、秋の積立設定の見直しを考えます。

1. 早期完了か、長期継続か。シミュレーションで比較

新NISAのつみたて投資枠で積立投資をする場合、「投資額」と「運用期間」のどちらに比重を置くかで、将来の資産の推移は変わります。ここでは、年利3%で運用できたと仮定し、毎月末に積み立てて月ごとに複利で運用される前提で試算した2つのケースを比べます。

なお、試算は年利3%が一律で続いたと仮定したものです。実際の運用成果は市場環境によって変動します。

1.1 パターンA 枠を早く使い切る「月10万円×15年+15年継続保有」

  • 積立総額(元本)は1800万円(10万円×12カ月×15年)です。
  • 30年後の資産額の試算は約3525万円です。
  • 運用益(試算結果−元本)は約1725万円です。

つみたて投資枠の年間上限120万円を毎年使い切ると、15年で非課税保有限度額の1800万円に到達します。その後の15年は追加投資をせずに保有を続け、複利で資産が約3525万円まで育つという計算です。早くまとまった資金を投じることで、資金全体が運用される期間を長く保ち、複利効果を効率的に得る進め方です。

1.2 パターンB 無理なくコツコツ「月3万円×40年」

  • 元本は1440万円(3万円×12カ月×40年)です。
  • 40年後の資産額の試算は約2752万円です。
  • 運用益(試算結果−元本)は約1312万円です。

毎月の負担を3万円に抑え、そのぶん40年という長い期間運用を続ける方法です。元本はパターンAより360万円少ない1440万円ですが、資産額は約2752万円に育つ計算です。家計への負担を抑えながら、複利の効果を得ていくアプローチです。

【試算】月10万円と月3万円の比較(年利3%)1/3

【試算】月10万円と月3万円の比較(年利3%)

出所:金融庁「NISAの活用事例」をもとにLIMO編集部

2. 【筆者コメント】「月10万円」という目標とリスク許容度

熊谷 良子

高い目標額に焦って積立額を引き上げた結果、運用を続けられなくなるケースは少なくありません。

特に気をつけたいのは、月10万円の積立を優先したために手元の生活防衛資金(現金)が足りなくなることです。

たとえば、車の故障や医療費など突然の出費が重なったとき、現金が乏しいと、積み立てた投資信託を相場の下落時に売らざるを得ない可能性があります。

シミュレーションは緩やかな右肩上がりですが、実際の相場は上下を繰り返します。

下落時にも落ち着いて判断できるよう、目標額にとらわれすぎず、「自分が心理的に穏やかでいられる金額」を見極めることが、長く続けるためのポイントです。