3. 障がい者の法定雇用率は2026年7月から2.7%、37.5人以上の企業に雇用義務
企業が障がい者を雇う割合には、障害者雇用促進法にもとづく法定雇用率が定められています。民間企業の法定雇用率は、2026年(令和8年)7月に引き上げられました。
3.1 民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%に引き上げ
厚生労働省のパンフレット(令和8年4月1日現在)によると、法定雇用率は次のとおりです。
- 民間企業:2.5%(令和8年6月まで)→2.7%(令和8年7月から)
- 国、地方公共団体など:2.8%→3.0%
- 都道府県などの教育委員会:2.7%→2.9%
障がい者を雇わなければならない民間企業の範囲も、労働者40.0人以上から37.5人以上に広がりました。
3.2 労働者150人の企業なら、障がい者の雇用義務は3人から4人に
常時雇用する労働者が150人の企業の場合、2.5%では3.75人で、小数点以下を切り捨てて3人の雇用義務でした。2.7%では4.05人となり、雇用義務は4人に増えます。
3.3 雇用率の対象は、身体障害者手帳1〜6級や精神障害者保健福祉手帳を持つ人など
法定雇用率の対象になる障害者は、身体障害者手帳1〜6級に該当する人、児童相談所などで知的障害者と判定された人、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人です。
精神障害者は、手帳の交付を受けていることが雇用率の対象になる条件です。先に見たとおり、雇用されている精神障害者の92.7%は手帳で確認されていました。
4. 障害者雇用の数え方、週20時間未満でも0.5人に数える場合がある
企業が雇っている障がい者の数は、週所定労働時間と障がいの程度によって数え方が変わります。障害者雇用率制度での算定方法を確認します。
4.1 週30時間以上は1人、週20時間以上30時間未満は0.5人
身体障害者と知的障害者は、週30時間以上で働く人を1人、週20時間以上30時間未満の短時間労働者を0.5人として数えます。
重度の身体障害者と重度の知的障害者は、週30時間以上なら1人を2人、週20時間以上30時間未満なら1人として数えます。
4.2 週10時間以上20時間未満の精神障害者や重度の障がい者も0.5人に
令和6年4月からは、週10時間以上20時間未満で働く重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者も、0.5人として雇用率に算定されるようになりました。
また、当分の間の措置として、精神障害者である短時間労働者は、雇入れの日からの期間などにかかわらず1人として数えます。
5. 法定雇用率を下回る企業は、不足1人あたり月5万円の障害者雇用納付金
法定雇用率を満たしていない企業には、障害者雇用納付金制度にもとづく負担があります。障がい者を多く雇う企業には、調整金や報奨金が支給されます。
5.1 障害者雇用納付金は常用雇用労働者100人超の企業が対象
常用雇用労働者が100人を超える事業主は、毎年度、納付金の申告が必要です。法定雇用率を下回る場合は、不足する障害者1人あたり月額5万円を納付します。
反対に、法定雇用率を超えて雇用している場合は、超過1人あたり月額2万9000円の障害者雇用調整金が支給されます。支給対象が年120人月を超える部分は、1人あたり月額2万3000円になります。
5.2 常用雇用労働者100人以下の企業には報奨金
常用雇用労働者100人以下の事業主で、一定の数を超えて障害者を雇用している場合は、超過1人あたり月額2万1000円の報奨金が支給されます。
令和7年6月1日現在、民間企業に雇用されている障害者は70.5万人、実雇用率は2.41%、法定雇用率を達成した企業の割合は46.0%でした。この70.5万人は企業からの報告にもとづく数で、短時間労働者などを先の算定方法で数えています。事業所への標本調査から推計した障害者雇用実態調査の110万7000人とは、数え方も対象も違います。
6. 障害者手帳を持って働くとき、家計の面から確かめておきたい3つのポイント
平均賃金は目安で、実際の収入は勤務先の条件で決まります。働き方を考えるときに確かめておきたい点をまとめました。
6.1 週所定労働時間と、時給制か月給制か
知的障害者の72.5%、精神障害者の53.6%が時給制で働いていました。時給制の場合は、休んだ日の分だけ月の収入が減ります。
体調によって勤務日数が変わりやすい場合は、少ない月の収入でも家計が回るかを先に試算しておくと安心です。
6.2 障害者雇用実態調査の平均勤続年数は精神障害者で5年3月
平均勤続年数は、身体障害者が12年2月、知的障害者が9年1月、精神障害者が5年3月、発達障害者が5年1月でした。いずれも前回調査より延びています。
ファイナンシャル・プランナーとして家計相談をお受けしていると、働き始めの数か月は収入よりも「続けられるか」を気にされる方が少なくありません。最初から週30時間以上を目指すより、短い時間から始めて、続けられる見通しが立ってから時間を延ばすという考え方もあります。
6.3 障害者雇用の求人は、求人票で週の時間と賃金の形を確かめる
障害者雇用の求人に応募するときは、求人票に書かれた週所定労働時間、賃金の形態、正社員か有期契約かを確かめておきましょう。手帳の種類と等級によって、雇用率での数え方が変わります。
相談先としては、ハローワークや、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどがあります。
7. まとめ
今回は、厚生労働省のデータをもとに障害者雇用の平均賃金と、2026年7月に引き上げられた法定雇用率について解説しました。
2023年度の調査では、身体障害者の平均賃金は月23万5000円、精神障害者は月14万9000円でした。しかしこれはあくまで平均値であり、週30時間以上働く場合には精神障害者でも月19万3000円になるなど、労働時間や雇用形態によって収入は大きく変動します。
働き方を選ぶときは、周囲の平均と比べるのではなく、ご自身の体調と家計に必要な金額を照らし合わせることが一番大切です。多様な働き方が認められるようになってきている今、専門の支援機関なども上手く活用しながら、ご自身らしく長く続けられる道を見つけてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」
- 厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「障害者雇用のご案内~共に働くを当たり前に~」
- 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」
村岸 理美