4. マイナ保険証の「利用率」と「利用登録割合」は、分母が違う数字
マイナ保険証の普及を示す数字は、利用率のほかにもいくつかあります。似た名前でも計算のしかたが違うので、並べて確認します。
4.1 以前の利用率は「オンライン資格確認の件数」を分母にしていた
厚生労働省の資料によると、これまで示していた利用率は、マイナ保険証の利用件数をオンライン資格確認の利用件数で割った「オンライン資格確認件数ベース」でした。厚生労働省は、2025年12月の利用率公表から、患者の利用実態により近い数字として、レセプト件数を分母にした数え方を主に示すとしています。
同じ2025年12月分で比べると、オンライン資格確認件数ベースは47.73%、レセプト件数ベースは63.24%でした。以前の記事やグラフに出てくる「利用率」は、オンライン資格確認件数ベースの数字であることがあり、今の数え方とは分母が違う点に注意が必要です。
4.2 利用登録割合は「加入者数」に占める登録の割合で、2026年4月末は75.8%
もう1つの数字が利用登録割合です。厚生労働省の資料では「マイナ保険証利用者数/加入者数」とされ、受診したかどうかに関係なく、健康保険の加入者のうち何割がマイナ保険証の利用登録をしているかを示しています。
2026年4月末の利用登録割合は全体で75.8%でした。保険制度別では共済組合が84.6%、健康保険組合が83.7%と高く、市町村国保は70.7%と最も低くなっています。資料では、全ての保険制度で70%を超えたとしています。
利用率は「受診した人のうち使った人」、利用登録割合は「加入者のうち登録した人」の割合です。登録していても受診のたびに使っているとは限らないため、2つの数字は一致しません。
5. マイナ保険証で受付ができなくても、自己負担は10割にならない
マイナ保険証を持って受診しても、機械の不具合などで読み取れないことがあります。その場合の扱いも、厚生労働省が示しています。
5.1 停電やカードリーダーの不具合、ICチップの破損などが想定されている
厚生労働省の「資格確認方法について」では、資格確認ができない場合の例として、停電などの天災、医療機関のカードリーダー等の機器不良やネットワークの不具合、患者が持っているマイナンバーカードのICチップの破損などを挙げています。
こうした場合も別の方法で資格確認を行うため、厚生労働省は、自己負担10割ではなく、適切な自己負担割合で保険診療を受けられると案内しています。
5.2 マイナポータルの画面か資格情報のお知らせ、なければ被保険者資格申立書に記入する
資格確認の方法は3つ示されています。
- マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面(ダウンロードしたPDFファイルも可)をセットで示す
- マイナンバーカードと、紙に印字された「資格情報のお知らせ」をセットで示す
- 初診の医療機関・薬局で、上の2つを持ち合わせていないときは「被保険者資格申立書」に記入する
資格情報のお知らせは、スマートフォンでデータを見せるなどの提示は無効とされ、紙に印字されたものを示す必要があります。届いた紙を、診察券やお薬手帳と一緒にしまっておくと、いざというときに慌てずに済みます。
6. スマートフォンのマイナ保険証で受付できる医療機関・薬局は約12万施設
2025年9月19日からは、準備が整った医療機関・薬局で、スマートフォンをマイナ保険証として使えるようになっています。どのくらいの施設で使えるのかを、2026年6月の医療保険部会の資料で確認します。
6.1 スマートフォンに対応した施設は12万5047施設、うち薬局は4万4121施設
資料によると、スマートフォンのマイナ保険証で受付ができる施設は12万5047施設です。内訳は次のとおりです。
- 病院・医科診療所:5万374施設
- 歯科診療所:3万552施設
- 薬局:4万4121施設
同じ資料では、オンライン資格確認を導入している施設は2026年3月29日現在で21万2569施設(病院・医科診療所9万1068施設、歯科診療所6万645施設、薬局6万856施設)とされています。カードリーダーのある施設でも、スマートフォンには対応していないところがある点に注意が必要です。
6.2 スマートフォンへのマイナンバーカードの搭載は802万2119件
スマートフォンへのマイナンバーカードの搭載件数は、2026年6月7日現在で802万2119件でした。資料では、医療機関などでのスマートフォンの利用も累計で500万件を超えたとしています。
なお、厚生労働省によると、マイナンバーカードや電子証明書が失効したり有効期限が切れたりすると、スマートフォンのマイナンバーカードも連動して失効します。スマートフォンだけを持って受診する方は、実物のカードの期限もあわせて確かめておくと安心です。
7. まとめ
期限切れの健康保険証や資格情報のお知らせだけで受診できた暫定的な対応は、2026年7月31日で終了しました。8月以降の受付では、マイナ保険証か資格確認書を示します。
マイナ保険証の利用率は、2026年7月に70.43%でした。この数字はレセプト件数に占める利用人数の割合で、2025年11月以前の利用率や、加入者に占める利用登録割合とは分母が違います。
マイナ保険証で受付ができないときも、マイナポータルの資格情報画面や資格情報のお知らせなどで資格を確認でき、自己負担は10割になりません。スマートフォンのマイナ保険証に対応した施設は12万5047施設で、オンライン資格確認を導入している施設の全部ではありません。
資格確認書の有効期限は5年以内で保険者が設定し、交付の方法も保険者によって異なります。手元の書類の有効期限を確かめ、分からない点は加入している保険者の案内で確認しておくのが確かです。