病院や薬局の受付で、期限が切れた健康保険証を出して、そのまま受け付けてもらえた経験はないでしょうか。

そうした対応は、厚生労働省が移行期の暫定措置として認めていたもので、2026年7月31日で終了しました。一方、厚生労働省が公表した2026年7月のマイナ保険証の利用率は70.43%で、医療機関を受診した人の約7割がマイナ保険証を使っています。

この記事では、8月から窓口で何が変わったのかと、マイナ保険証の利用率がどう数えられ、地域でどれだけ違うのかを、厚生労働省の資料で確かめます。

1. 期限切れの健康保険証で受診できた暫定的な対応は、2026年7月31日で終了

まず、従来の健康保険証の扱いが2026年7月末までにどう変わってきたのかを、時系列で確認します。

1.1 従来の健康保険証は2024年12月2日以降発行されず、有効期限も2025年12月1日で終了

厚生労働省によると、従来の健康保険証は2024年12月2日以降は新たに発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行しました。

すでに発行されていた健康保険証の有効期限も、2025年12月1日で終了しています。

1.2 暫定的な対応は「2026年3月末まで」→「7月末まで」に延期のうえで終了

それでも窓口には、期限切れに気づかずに健康保険証を持ってくる人がいました。そこで厚生労働省は2025年11月の事務連絡で、期限切れの健康保険証や「資格情報のお知らせ」だけを持参した人にも、資格を照会したうえで3割などの負担割合で受診してもらう対応を、暫定的に認めていました。

この対応は当初2026年3月末までとされていましたが、厚生労働省は2026年3月25日付の事務連絡で、期限を7月末まで延ばすと伝えています。

本年7月末までの間は、これまでの暫定的な対応を継続することとするとともに、次回以降の受診時等にはマイナ保険証か資格確認書を必ず持参いただくよう、引き続き医療機関・薬局の窓口での呼びかけをお願いいたします。

出所:厚生労働省保険局医療介護連携政策課「マイナ保険証の円滑な利用に向けた対応について(周知)」(令和8年3月25日事務連絡)

厚生労働省の「資格確認方法について」のページでは、この対応も2026年7月31日で終了したと案内しています。

1.3 8月以降の受付では、マイナ保険証か資格確認書を示す

8月以降に医療機関や薬局の受付で示すのは、マイナ保険証を持っている人はマイナ保険証、持っていない人は資格確認書です。

マイナ保険証を持っていない人には、当分の間、加入している医療保険者から資格確認書が無償で、本人の申請によらず交付されます。マイナ保険証を持っている人に届く「資格情報のお知らせ」は、それだけでは受診に使えません。

マイナ保険証を持っていても、マイナンバーカードを紛失した人や更新中の人は、申請により資格確認書の交付を受けられます。

なお、停電や機器の不具合などでマイナ保険証による資格確認ができないときは、マイナポータルの資格情報画面などで確認する方法も示されています。

2. マイナ保険証の利用率は2026年7月に70.43%、受診した人の約7割が利用

次に、マイナ保険証がどのくらい使われているのかを、厚生労働省が毎月公表している利用率で見ていきます。

2.1 マイナ保険証の利用率は「マイナ保険証の利用人数÷レセプト件数」で計算する

厚生労働省が示している利用率は、医療機関・薬局が発行したレセプト(診療報酬明細書)の件数に占める、マイナ保険証の利用人数の割合です。

レセプトは患者が保険診療や調剤を受けたときに発行されるため、その枚数は医療機関・薬局ごとの患者の人数にあたります。レセプトの確定を待って集計するので、利用率が分かるのは診療月の翌々月です。

2.2 2025年12月の63.24%から、2026年7月には70.43%まで上がった

この数え方で見た利用率は、2025年12月が63.24%、2026年1月が64.62%、2026年4月が68.15%、2026年7月が70.43%でした。

マイナ保険証の利用率(マイナ保険証の利用人数÷レセプト件数)の推移1/2

マイナ保険証の利用率を2025年12月63.24%、2026年1月64.62%、2026年4月68.15%、2026年7月70.43%と並べた棒グラフ

出所:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」などを参考にLIMO編集部作成

2026年1月から7月までの半年で、5.81ポイント上がったことになります。

3. マイナ保険証の利用率は、都道府県と施設の種類で差がある(2026年4月)

全国の利用率が7割に近づく一方で、地域や受診先によって利用率には開きがあります。2026年6月の社会保障審議会医療保険部会の資料にある、2026年4月の内訳を見ます。

3.1 都道府県別では富山県が77.91%、沖縄県が55.31%

2026年4月の全国の利用率は68.15%でした。都道府県別で最も高いのは富山県の77.91%、最も低いのは沖縄県の55.31%で、22.60ポイントの差があります。

都道府県別のマイナ保険証の利用率(2026年4月・上位5県と下位5県)2/2

2026年4月のマイナ保険証の利用率について、上位5県と下位5県、全国の値を並べた横棒グラフ

出所:厚生労働省保険局「マイナ保険証の円滑な利用について」(第212回社会保障審議会医療保険部会 資料3)を参考にLIMO編集部作成

【上位5県】

  • 富山県:77.91%
  • 宮崎県:76.42%
  • 静岡県:74.47%
  • 福井県:74.44%
  • 鹿児島県:73.46%

【下位5県】

  • 和歌山県:63.09%
  • 大阪府:61.85%
  • 徳島県:61.19%
  • 高知県:59.05%
  • 沖縄県:55.31%

3.2 施設の種類別では、薬局の利用率が63.29%と低め

同じ2026年4月の利用率を施設の種類別に見ると、次のとおりです。

  • 病院:68.50%
  • 医科診療所:71.16%
  • 歯科診療所:71.52%
  • 薬局:63.29%

診療所では7割を超えている一方、薬局は6割台にとどまっています。

マイナ保険証の利用率は2026年7月に70.43%となり、受診した人の約7割が使うようになりました。その一方で、期限切れの健康保険証で受診できた暫定的な対応は7月31日で終わっています。

マイナ保険証を持っていないのに資格確認書が手元にない場合や、届いた書類の扱いが分からない場合は、加入している健康保険の保険者に問い合わせると確実です。厚生労働省も、資格確認書の交付について不明な点は保険者に問い合わせるよう案内しています。

ここからは、利用率と似た「利用登録割合」との違いと、マイナ保険証で受付ができなかったときの扱い、スマートフォンのマイナ保険証が使える施設の数を確認していきます。

熊谷 良子

「利用率」と一口に言っても、何を分母にしたかで数字は大きく変わります。

見出しの数字を見たら、注記にある計算式まで目を通しておくと、数字の取り違えを防げます。