4. 2027年8月から、70歳未満の高額療養費の所得区分は13区分に細分化される
ここからは、2027年8月診療分から予定されている見直しを確認していきましょう。
厚生労働省は、令和9年8月からは応能負担の観点から、現在の限度額から著しく増加することがないよう配慮しつつ、所得区分を細分化するとしています。
4.1 年収約370万〜約770万円の区分は3つに分かれる
70歳未満の区分は、住民税非課税を含めて5区分から13区分になります。
いまの年収約370万〜約770万円の区分は、年収約370万〜約510万円、約510万〜約650万円、約650万〜約770万円の3つに分かれます。月の上限額は順に「8万5800円+1%」「9万8100円+1%」「11万400円+1%」で、年間上限はいずれも53万円です。
4.2 年収約200万円以下の多数回該当は3万4500円、年間上限は41万円
年収約200万円以下の区分は、月の上限が6万1500円のまま、多数回該当が4万4400円から3万4500円に、年間上限が41万円になります。
厚生労働省の資料では、2026年8月から2027年7月の間も、この区分に該当すると確認できた方には年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払いするとしています。
5. 治療で働き方を変えて給与が下がったら、高額療養費の所得区分が変わることがある
会社員などが加入する健康保険では、高額療養費の区分は標準報酬月額で決まります。治療のために勤務を減らして給与が下がった場合も、区分が変わる場合があります。
5.1 固定的賃金が下がって2等級以上の差が出れば随時改定の対象
厚生労働省の資料によると、標準報酬月額の随時改定は、次の3つの条件をすべて満たす場合に行われます。
- 降給などで基本給などの固定的賃金に変動があった
- 変動月から3か月間に支給された報酬の平均月額にあたる標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が出た
- 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所で働く短時間労働者は11日)以上ある
標準報酬月額が下がれば、高額療養費の区分も下がることがあります。
5.2 2027年1月からは、療養のための時短などで報酬が急に減った方に特例を設ける予定
厚生労働省は、令和9年1月から、療養・育児・介護と仕事を両立するために勤務時間の短縮などを行い、報酬が大幅に減った方について、保険料や高額療養費の自己負担限度額の基礎となる標準報酬月額を特例的に扱う予定としています。
勤務を減らす前に、勤め先の担当部署や加入している健康保険に、区分がどう変わるかを聞いておくと見通しを立てやすくなります。
6. 高額療養費の年間上限に備えて、所得区分と領収書をそろえておく
年間上限の申請が始まるまでには時間があります。その間に手元でできることもあります。
6.1 所得区分は加入している医療保険の窓口で確かめる
厚生労働省は、高額療養費の問い合わせ先は加入している医療保険で変わると案内しています。マイナ保険証を使っている方はマイナポータルで、使っていない方は資格確認書で加入先を確かめられます。
6.2 医療機関と薬局の領収書を、8月から翌年7月の単位でまとめる
年間上限は8月から翌年7月までの1年で数えます。医療機関と薬局の領収書を、この区切りでまとめておくと、自己負担の合計を確かめやすくなります。
年間上限に入る自己負担の範囲や申請に必要な書類は、加入している医療保険の案内が出たら照らし合わせます。
7. まとめ
2026年8月診療分から、70歳未満の高額療養費の月の上限額は5区分とも引き上げられ、新たに年間上限が設けられました。年収約370万〜約770万円の区分の年間上限は53万円です。
月の上限に届かない自己負担が続いた場合も、1年分を合わせて年間上限と比べます。計算例では、医療費が毎月25万円なら12か月で37万円が払い戻しの対象になりました。
2027年8月からは所得区分の細分化も予定されています。自分の区分を加入先で確かめ、領収書を8月から翌年7月の単位でまとめておきましょう。