知的障がいは、外見からは分かりにくいこともあり、本人が日常生活や社会生活のなかで抱えている困難が、周囲には伝わりにくい場合があります。療育手帳は、知的障がいのある方が各種の支援を受けやすくし、自立や社会参加を支える制度のひとつです。

厚生労働省の「令和6年度福祉行政報告例」によると、療育手帳の所持者は2024年度末で132万1350人となり、1年間で3万9881人増えました。18歳未満の所持者は34万316人です。

では、療育手帳を持つことで、どのような支援を受けられるのでしょうか。この記事では、東京都の「愛の手帳」を一例に、程度の区分や判定・更新の流れ、利用できる支援について紹介します。記事後半では、ハローワークを通じた知的障がい者の就職状況も見ていきます。

1. 療育手帳の所持者は約132万人。年齢別の人数も確認

障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類があります。療育手帳は、知的障がいのある方に交付される手帳です。

1.1 2024年度末は132万1350人、前年度から3.1%増えた

厚生労働省の「令和6年度福祉行政報告例」によると、2024年度末時点の療育手帳の交付台帳登載数は132万1350人でした。前年度より3万9881人、率にして3.1%の増加です。

2020年度末の117万8917人から、5年連続で増えています。

1.2 18歳未満は34万316人で、1年で4.6%増

年齢別にみると、18歳以上が98万1034人(前年度比2.6%増)、18歳未満が34万316人(同4.6%増)でした。18歳未満の所持者は、2020年度末の29万975人から約5万人増えています。

療育手帳の交付台帳登載数の推移を、18歳未満と18歳以上に分けて示しました。1/4

療育手帳の所持者数の推移

出所:厚生労働省「令和6(2024)年度福祉行政報告例の概況」をもとにLIMO編集部作成

2. 療育手帳は自治体ごとに名称や区分が異なる。東京都「愛の手帳」は1度から4度の4区分

療育手帳は、都道府県や指定都市ごとに交付の仕組みが定められており、名称や程度の区分は自治体によって異なります。ここでは東京都の「愛の手帳」を一例として紹介します。

2.1 東京都の療育手帳は「愛の手帳」

東京都では、療育手帳を「愛の手帳」と呼んでいます。東京都愛の手帳交付要綱に基づき、発達期(18歳未満)に何らかの原因で知的機能の障がいが起こり、そのために日常生活に相当な不自由が生じ、福祉的な配慮を必要としている方に交付されます。

なお、自閉症スペクトラム障害などの方は、知的障がいを伴うと判定された場合に愛の手帳が交付されます。知的障がいを伴わない場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象となる場合があります。

2.2 程度は1度(最重度)から4度(軽度)の4区分

愛の手帳の程度は数字が小さいほど障がいが重く、1度が最重度、2度が重度、3度が中度、4度が軽度の4つに分かれています。程度は、知能検査による知能指数(IQ)と日常生活の様子から、総合的に判断して決められます。

東京都は、18歳以上の場合の目安として、1度はIQがおおむね19以下、2度はおおむね20から34、3度はおおむね35から49、4度はおおむね50から75と示しています。ただし、これは判定基準の一部を例示したもので、最終的には総合判定で程度が決まります。18歳未満は、年齢に応じた基準で判定されます。

東京都の愛の手帳の程度の区分と、18歳以上の場合の知能指数の目安です。2/4

東京都「愛の手帳」の程度の区分

出所:東京都心身障害者福祉センター「対象者(愛の手帳Q&A)」をもとにLIMO編集部作成

3. 判定は18歳未満が児童相談所、18歳以上は心身障害者福祉センター(東京都の場合)

東京都の愛の手帳の交付を受けるには、判定を受ける必要があります。手続きの流れも自治体によって異なるため、東京都の例として確認します。

3.1 判定を受けて交付される

東京都では、18歳未満の方はお住まいを管轄する児童相談所で、18歳以上の方は東京都心身障害者福祉センターまたは多摩支所で判定を受けます。いずれも事前の予約が必要です。

なお、知的障がいがあるからといって、必ず手帳を持たなければいけないわけではありません。愛の手帳は、本人または保護者の申請に基づいて交付されます。

3.2 3歳・6歳・12歳・18歳で更新の申請

愛の手帳の交付を受けた方は、3歳、6歳、12歳、18歳に達したとき、またはその間に知的障がいの程度に著しい変化が生じたときに、更新の申請をすることになります。成長に合わせて、程度を改めて判定する仕組みです。

4. 東京都の場合、都営交通の無料乗車券や運賃割引の区分などがある

手帳を持つ方が受けられる支援の内容は、住んでいる自治体によって異なります。ここでは東京都の制度を一例として紹介します。

4.1 都営交通無料乗車券と、運賃割引の第1種・第2種

東京都交通局は、都内に住民票のある愛の手帳をお持ちの方などに「都営交通無料乗車券」を発行しています。通用期間は3年です。

また、愛の手帳には、JRや民営鉄道などの運賃割引制度の区分が記載されます。1度・2度の方は第1種で本人と付添いの介護人が、3度・4度の方は第2種で本人が対象です。割引の内容は、各交通機関に確認が必要です。

4.2 医療費の助成や手当も

東京都の心身障害者医療費助成制度(マル障)は、愛の手帳1度・2度の方などを対象に、医療保険の自己負担の一部を助成する制度です。所得制限があります。

東京都重度心身障害者手当は、心身に重度の障がいがあり、常時複雑な介護を必要とする方に月額6万円が支給される東京都の手当です。愛の手帳1度・2度と判定されただけでは対象にならず、条例で定める要件に該当する必要があります。

ここで紹介したのは東京都の例です。療育手帳の名称や区分、受けられる支援は自治体によって異なるため、お住まいの区市町村の障害福祉担当窓口で確認してください。