東京都が公表した「都職員の給与の状況」によると、令和6年度に定年や勧奨などで退職した都職員の退職手当は、1人当たり平均2235万円でした。

一方、自己都合などで辞めた普通退職では、平均235万円です。東京都の退職手当は、退職の理由にかかわらず勤続年数ごとに同じ支給率を使って計算するため、金額の差は別のところから生まれています。

この記事では、東京都職員の退職金の平均支給額と勤続年数ごとの支給率を一覧にし、定年等退職と普通退職の差がどこで生まれるのかを確認します。

1. 東京都職員の退職金、令和6年度の平均支給額は定年等退職で2235万円

東京都の「都職員の給与の状況」には、前年度に退職した職員の退職手当の1人当たり平均支給額が、退職の区分ごとに載っています。まず、東京都職員の退職金の平均額を見ていきます。

1.1 定年等退職と普通退職の1人当たり平均支給額

令和6年度に退職した職員の1人当たり平均支給額は、定年等退職が2235万円、普通退職が235万円でした。普通退職は自己都合などによる退職、定年等退職は定年や勧奨などによる退職を指します。

東京都職員の退職手当 1人当たり平均支給額(令和6年度に退職した職員)1/2

令和6年度に退職した東京都職員の退職手当の1人当たり平均支給額を、定年等退職と普通退職で比べた横棒グラフ

出所:広報東京都「都職員の給与の状況」を参考にLIMO編集部作成

  • 定年等退職:2235万円(平均勤続年数34年11月)
  • 普通退職:235万円(平均勤続年数7年5月)

東京都総務局の「東京都の給与・定員管理等について」では、同じ令和6年度の平均支給額が千円単位で載っており、勧奨・定年が2234万6000円、自己都合が235万円です。いずれも全職種の職員の平均です。

1.2 平均勤続年数は定年等退職で34年11月、普通退職で7年5月

定年等退職の平均支給額2235万円は、普通退職の235万円の約9.5倍です。平均勤続年数は、定年等退職が34年11月、普通退職が7年5月で、勤めた期間に27年ほどの開きがあります。

2. 東京都職員の退職手当の支給率は、退職の理由にかかわらず勤続年数で決まる

東京都職員の退職手当は「職員の退職手当に関する条例」にもとづいて支給されます。東京都人事委員会のページでは、退職手当の計算方法と勤続年数ごとの支給率を公表しています。

2.1 東京都職員の退職手当は「退職時の給料月額×支給率+調整額」

東京都人事委員会によると、退職手当は「退職手当基本額(退職時給料月額×支給率)」と「退職手当調整額」を足した額です。支給率は勤続年数ごとに決まっており、表の見出しは「全退職事由共通」となっています。

2.2 勤続年数ごとの支給率一覧(全退職事由共通)

支給率は勤続1年の0.9月分から上がり、勤続35年で43.0月分に達します。36年以上も43.0月分です。

  • 勤続1年:0.9月分
  • 勤続2年:1.8月分
  • 勤続3年:2.7月分
  • 勤続4年:3.6月分
  • 勤続5年:4.5月分
  • 勤続6年:5.4月分
  • 勤続7年:6.3月分
  • 勤続8年:7.2月分
  • 勤続9年:8.1月分
  • 勤続10年:9.0月分
  • 勤続11年:10.2月分
  • 勤続12年:11.4月分
  • 勤続13年:12.6月分
  • 勤続14年:13.8月分
  • 勤続15年:15.0月分
  • 勤続16年:16.6月分
  • 勤続17年:18.2月分
  • 勤続18年:19.8月分
  • 勤続19年:21.4月分
  • 勤続20年:23.0月分
  • 勤続21年:24.5月分
  • 勤続22年:26.0月分
  • 勤続23年:27.5月分
  • 勤続24年:29.0月分
  • 勤続25年:30.5月分
  • 勤続26年:32.0月分
  • 勤続27年:33.5月分
  • 勤続28年:35.0月分
  • 勤続29年:36.5月分
  • 勤続30年:38.0月分
  • 勤続31年:39.4月分
  • 勤続32年:40.8月分
  • 勤続33年:42.2月分
  • 勤続34年:42.6月分
  • 勤続35年以上:43.0月分

勤続10年までは1年ごとに0.9月分ずつ、勤続20年までは1.2月分〜1.6月分ずつ、勤続30年までは1.5月分ずつ上がります。

3. 東京都職員の定年等退職と普通退職の差は、調整額と勤続年数から生まれる

支給率が同じでも、定年等退職と普通退職の平均支給額には約9.5倍の差があります。東京都職員の退職手当のうち、退職の理由で扱いが分かれるのは調整額の部分です。

3.1 東京都職員の退職手当調整額は定年等退職者のみに支給される

東京都人事委員会のページでは、調整額を「定年等退職者のみ支給」としています。自己都合などによる普通退職では、退職手当は基本額だけになります。

3.2 調整額は退職前240月分の職責点数の合計×1100円

調整額は、退職前240月分の職責点数の合計に、1点1100円の単価を掛けて計算します。行政職給料表(一)の例では、在職1か月当たりの点数は次のとおりです。

  • 第1号区分(5級職・主な職名は部長):35点
  • 第2号区分(4級職・課長):30点
  • 第3号区分(3級職・統括課長代理):25点
  • 第4号区分(3級職・課長代理):20点
  • 第5号区分(2級職・主任):15点
  • 第6号区分(1級職・主事):10点

東京都職員の退職金は、令和6年度の定年等退職で平均2235万円、普通退職で平均235万円でした。支給率は勤続年数ごとに全退職事由で共通で、勤続35年で上限の43.0月分になります。

差が大きいのは、平均勤続年数が27年ほど違うことと、調整額が定年等退職者だけに支給されることによるものです。自分の支給率は、勤続年数をこの一覧に当てはめると確かめられます。

ここからは、国家公務員の退職手当との支給率の違いと、ファイナンシャル・プランナーとして家計相談をお受けしてきた立場から、退職金の見込み額を試算するときの手順を見ていきます。

村岸 理美

今回のデータで注目していただきたいのは、支給率が退職の理由で変わらないのに、平均支給額には約9.5倍の差がある点です。差を生んでいるのは勤続年数と調整額ですので、ご自身の勤続年数と職責の経歴から見込み額を考えることが大切です。