5. 無理なく老後を乗り切る!シニア世代が意識したい資産づくりの3つのコツ
こうしたデータから見えてきた特徴をふまえ、シニア世代が安心してお金と付き合うための3つの実用的なポイントをご紹介します。
5.1 働く期間を「資産の寿命を延ばす時間」と考える
健康に問題がなく無理のない範囲で長く働くことは、収入を得るだけでなく「貯蓄の取り崩しを遅らせる」という大きな効果があります。月5万円でも稼ぐことができれば、年間60万円の貯蓄を守ることができます。ご自身のペースに合わせて、短時間でも社会と関わりを持つことは、精神的な張合いにもつながります。
5.2 「取り崩しのマイルール」を決めておく
年金だけで暮らす世帯が4割を超える中、貯蓄を生活費にあてるのは決して悪いことではありません。大切なのは「毎月いくらまでなら取り崩してよいか」をあらかじめ計算しておくことです。「月に〇万円までは自由に使ってよい」というルールがあれば、貯蓄が減っていくことへの漠然とした不安をやわらげ、安心して生活を楽しむことができます。
5.3 新しい情報に触れ「学び続ける姿勢」を持つ
シニア富裕層に見られたように、新しい知識やテクノロジーに対して開かれた心を持つことは非常に大切です。お金の制度やお得なサービスは日々変化しています。スマートフォンを少し使いこなしてみるだけでも、家計管理が楽になったり、悪質な詐欺を防いだりする知恵が身につき、心に余裕が生まれます。
6. まとめにかえて
今回は、博報堂の「新富裕層調査2026」や厚生労働省、J-FLECの最新データをもとに、シニア世代のリアルなお金事情と家計管理のコツについて解説しました。世帯年収3000万円以上の60歳代の富裕層が生成AIを活用するなど高い学習意欲を見せる一方で、一般のシニア世代では働く方が増え、収入帯によって貯蓄額にも大きな差があることがわかりました。
老後のお金に対する不安は、どうしても「全体の平均値」と比べてしまいがちですが、人と比べる必要はありません。ご自身の現在の立ち位置を正確に把握し、健康を第一にしながらご家庭に合った無理のない家計管理のルールを見つけることが、穏やかなシニア期を送る一番の秘訣です。
これまで数多くの家計相談に携わってきましたが、「平均貯蓄額に届いていない」「もっと働かなければ」とご自身を追い詰めてしまうシニアの方は少なくありません。しかし、必要な生活費や働ける環境は人それぞれまったく異なります。
まずはご自身の受け取れる年金額と毎月の生活費の差額を「見える化(わかりやすく整理)」し、ご家庭ごとの取り崩しのルールを明確にすることから始めましょう。必要以上に不安を抱え込まず、心穏やかにシニア期を楽しむための第一歩としていただければ幸いです。
参考資料
村岸 理美
